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Webクリエイティブの面白さを知るイベント「dotFes」レポート

2008/10/24 ロフトワーク スタッフ  キーワード : 【 クロスメディア

Webクリエイティブの面白さを知るイベント「dotFes」レポート

2008年10月14日(火)に開催され、500人以上のWebクリエイターが都内の廃校となった小学校に集合し、世界で活躍するクリエイティブのプロから刺激を受けた「dotFes」。
Web Designing』誌と、クスールが主宰するこのイベントに、ロフトワークで活躍しているクリエイティブ・ディレクターたちも参加。4人のディレクターが、特に注目度の高かったセッションをレポートします。

 Contents
  ディレクター 橋本 健太郎 "UNIQLOCK が証明した、ロジカルなクリエイティブの可能性"
  シニアディレクター川井 敏昌 "TOMATOの素はハッピーなワークスタイルにアリ"
  ディレクター荒井 美奈子 "Behind Leading-Edge Design - Europe to Tokyo -"
  ディレクター志連 博彦 "精鋭クリエイターの個性が満開! クリエイティブ大喜利"

 dotFes とは ≫

UNIQLOCK が証明した、ロジカルなクリエイティブの可能性

UNIQLOCKプレゼンテーションUNIQLOCKが、いかにロジカルに組み立てられたサイトなのかを解説

クリエイティブ・ディレクター 橋本健太郎

クリエイティブ業界の話題をさらったのみならず、世界の三大広告祭においてグランプリを獲得した、あのユニクロのプロモーションサイト「UNIQLOCK」。その仕掛け人、田中耕一郎氏(projector)と、勝部健太郎氏(UNIQLO)2人のトークセッションを、ロフトワークの切り込み隊長として、私、橋本がレポートします!!
このセッションでは、「UNIQLOCKは、どうやって生まれたのか?」というプロジェクトの舞台裏や、田中さんと勝部さんからの次世代のクリエイターへ向けたメッセージなど、クリエイティブに携わる人なら興味津々の内容が語られました。

時計というシンプルな機能と、ヴィジュアルの斬新さによってたくさんの人々を魅了したUNIQLOCKですが、実は徹底してロジカルなWeb戦略が練られています。

UNIQLOCKUNIQLOCKのサイト(クリックで外部サイトにリンクします)

まずコンテンツという視点では、企業のグローバルな展開を視野に入れた「NONバーバルコミュニケーション」を軸に、ブランドのイメージ戦略に直結するUNIQLOCKのコンセプトづくりを行うこと。PC上の「時計」という機能には、見ることへの必然性がおさえられています。そして、新コンテンツを次々に発表することで、ユーザーの定着化を図ります。また、画質の徹底追及、5秒で切り替わる画面など、これらのクリエイティブの掛け算による効果も、すべて客観的な分析に基づくもの。

客観的な分析と着実なプロジェクト進行により、「UNIQLOCK」はプロモーションサイトの枠を超えたツール性と高いエンターテイメント性とを兼ね備えたWebサイトとなりました。また、WebにおけるPR戦略としての情報流通も周到に計画・準備されているという点は、さすがマーケティングのプロ! といったところです。

たった2人からスタートしたサイトが、世界から喝采を受けた

まるでアート作品のようなWebサイトの背景には、徹底された計画と市場分析が欠かせませんでした。また、制作の意思決定は、ほぼ田中さんと勝部さんの2人だけで行われていたというのだから、オドロキです! 普通の企業ではありえない決定プロセスも、ユニクロというチャレンジングな企業風土と、この2人の高いプロフェッショナル性があったからこそ実現したものでしょう。

そんな、世界から喝采を受けたクリエイティブを作り出した二人ですが、彼らが次世代のクリエイターたちに向けたメッセージもまた、作品同様にシンプルながらも説得力があり、非常に印象的でした。

”目的を達成する為のベストを問い続ける”(田中さん)

これは、クリエイティブな仕事をする人にとってはごくあたりまえのことですが、膨大な分析の作業からコンセプトを導き出し、それを貫いた田中さんならではの「重み」が感じられます。
私たちは、仕事の中で常に全ての手を尽くして「ベストな答え」を導き出せているかどうか。さまざまな障壁や制約条件に甘んじていないかどうか。日々クリエイティブの現場に立つ身として、改めて考えさせられました。

"企業が気づかない視点がほしい"(勝部さん)

これは、企業(クライアント)の立場に立つ勝部さんがクリエイターに向けて伝えたメッセージ。これは、クリエイティブが生み出す価値について、クライアントが本当に求めているものをシンプルかつ的確に表した言葉だと思います。クライアントやユーザーの予想や期待を越えたパフォーマンスやソリューションを提供することこそが、「クリエイティブの使命」であり、クリエイティブにはそれだけの力があるということです。

私も、この2人のように、クライアントのみなさんやクリエイターさんたち、プロジェクトに関わるみなさんと高めあう関係性を築き、世界の人々を感動させるクリエイティブを創り出したい! そして、いつの日か、逆に取材される立場で世界の舞台へ立ちたいな・・・と、そんな野望がむくむくと沸き起こるような、有意義なセッションでした。

「世界で会いましょう!」それが、2人からのもうひとつのメッセージ

橋本 健太郎(クリエイティブ・ディレクター)

大学時代にグラフィックデザインを専攻し、卒業後、大手広告代理店に入社。1年目で目標に対して200%の売り上げを達成する。2007年2月、「よりクリエイティブな仕事」を志し、ロフトワークに入社。コンテンツ開発から企業サイト構築まで、幅広い分野の制作に関わる。持ち前の人好き・お祭り好き精神からイベントプロデュースやプロモーション企画案件を得意とし、常に社内のムードメーカー的存在となっている。

「TOMATOの素」はハッピーなワークスタイルにアリ

雨にもかかわらず、メインホールの体育館は満員御礼状態

シニアディレクター 川井 敏昌

ロフトワーク唯一のシニアディレクター・川井です。私は、世界的クリエイター集団「TOMATO」の日本人クリエイター、長谷川踏太さんの講演の様子をお伝えします。

今回のトークショーでは「仕事の量とバランス」をテーマに、ロンドンでクリエイターとして働く長谷川さん自身の視点から、最近の日本のクリエイターのワークスタイルに対する提言をしていました。

長谷川さんいわく、幸せに働くためには、自分がやるべき仕事量は自分でコントロールし、仕事とプライベートのバランスをとるべき、とのこと。たとえば、ロンドンのフリー・クリエイターたちは、自分の仕事量や生活レベルを理解したうえで、その年に受けた仕事で収入がそれなりに得られていれば、それ以外の余分な仕事は断ってしまうそう。収入もほしいけど、プライベートを削ってまで無理に仕事をしない、ということのようですね。

一方で、日本のフリー・クリエイターは、クライアントの依頼を断ると、「次の仕事がもらえなくなるのでは」という不安から、キャパシティを超えても仕事を受けたりするケースが増えているように見えるのだとか。そのような無理な状況の中で、どんどん生活のバランスを崩し、精神や体を弱らせていく人たちは、長谷川さんの日本の友人にも多くいるそうです。

TOMATOはビジュアル・サウンド・インタラクティブなどさまざまなメディアで活動している、英国のクリエイター集団

ロンドンという場所では、クリエイティブの完成度の高い仕事を行い、更なる高みを目指すためには、その活力やアイデアを得るための時間を仕事以外の場所に持つべきというのが正しい考え方なのでしょう。事実、遊びが苦手な日本人でさえ、実際に仕事ができる人ほどプライベートで「ちゃんと遊んでるなぁ」というのは、私自身も感じています。

また、長谷川さんがWeb制作をやりだした頃は、そのプロセスはまるで犬小屋を作るときのようで、自分で材料を集めて、組み立てて、ペイントする感覚だったといいます。それはつまり、「作りたい」とイメージしたことを自分の手で創意工夫し、実現する、ある意味セルフプロデュースのようなものだったということ。でも今や、Webは多くの人や企業がかかわり過ぎていて、まるで高層ビルを建てる作業に変わってしまったことに、違和感を感じているそう。

長谷川 さんのライフスタイルを覗けるブログ

そもそもマス媒体と対照的な位置にあったWebが、マス媒体へと、その存在意義が大きく変わってきているということの、象徴となる意見なのかもしれませんね。

終始リラックスした雰囲気の中で行われたトークでしたが、その話題の中心にあったのは、日本のクリエイティブ産業の影に埋没している、制作現場の「ひずみ」に対する警鐘でした。世界の一線で活躍するクリエイターから見ると、日本のクリエイターの多くが心からクリエイティブを楽しんだり、バランスの取れた生活が送れるようになるまでは、もう少し時間がかかるのかもしれません。

川井 敏昌(シニアディレクター)

2000年 関西大学経済学部経済学科卒。人材派遣会社のコーディネートマネージャーを経て、外資系人材会社にてエージェントとして勤務。2006年9月よりロフトワーク入社し、シニアディレクターとして就業中。卓越したマジメント能力で数々の大規模サイト、大量コンテンツ開発を成功に導いている。 

LESS RAIN & Great Works "Behind Leading-Edge Design - Europe to Tokyo -"

3つの国のオフィスが共同で作り上げる、LESS RAIN のクリエイション

ディレクター 荒井 美奈子

インタラクティブ・メディアの領域で世界を舞台に活躍する、2つのクリエイティブ・カンパニー LESS RAIN と Great Works が魅せたセッションは、目指せ国際派ディレクターの荒井がお届けします!

登場したのは、ロンドンを拠点にベルリン、東京と展開するLESS RAINと、ストックホルムを拠点としてバルセロナ、ニューヨーク、東京へと展開をするGreat Works。インタラクティブ・メディアに関わる2社が、それぞれの活動紹介を中心として海外展開の取り組みを話してくれました。

3つの国にオフィスを持つLESS RAINのカーステン・シュナイダー氏は、1つの巨大プロジェクトをそれぞれのオフィスで分割しながら取り組んだ実績を紹介。そのスケールの大きさに驚くとともに、海を越えたプロジェクト運営の可能性を感じました。
おもしろかったのは、日本のクライアントから提示された英語コピーが、ネイティブから見ると意図した内容と全く違う意味になってしまった、というエピソード。解決策として、クライアントの意思を汲み取りつつ、よりネイティブの肌に近いコピーを提案したということでした。国内外で通用する仕事をするには、柔軟性に富んだコミュニケーション能力も必要なのか! と感心することしきり。。

Great Works の皆さんが好きな日本食はお好み焼きなんだとか

かたや、Great Worksのデビッド・サンディン氏は、素敵なオフィスの様子や、彼らが手がけた仕事の数々を映像とともに紹介。黒を基調としたクールなデザインのキーノートで、AudiやMTV、話題のH&MやIKEAなど、世界に名だたる企業との制作事例を紹介しました。また、彼らの「Webサイトやサービスなどを制作したときは、ローンチ(サービス開始)からがスタートだ」と考える姿勢は、クリエイティブに関わる側としても、とても新鮮でした。

企業のグローバル展開には欠かせない、国際的なプロモーションプロジェクト。そのリューションとして、常にクールなクリエイティブを提供する両社がもつ、グローバルな仕事観を知ることができたのは、今回のセッションに参加した大きな収穫でした。

1時間の中で2社が語るという構成上、「もっと聞きたい!」と思う箇所もあったり、目標であった『名刺交換』はできなかったものの(実はガックリ)、クリエイティブで国際展開を目論むloftworkも、参考となるエピソードが満載の、充実したセッションとなりました。

荒井 美奈子(クリエイティブ・ディレクター)

編集プロダクションを経て、ロフトワークに入社。クライアントの目指すゴール実現にむけ、よりよいクリエイティブを提供すべくまい進。人並みはずれたコミュニケーション力で顧客の信頼とハートを獲得するディレクター。Webサイト構築から、読み物系のコンテンツ開発、デザインディレクションを得意とする。

精鋭クリエイターの個性が満開! 「クリエイティブ大喜利」

同じお題でも、出演者によって全くアプローチ方法が異なります

クリエイティブ・ディレクター 志連 博彦

レポートのトリとして、Web業界では泣く子も黙る精鋭クリエイターが一同に会した「クリエイティブ大喜利」を、いつも新しいアイデアと発想を求めているロフトワーク志連がお伝えします!

このセッションでは、事前に「○○を作成してください」というお題が用意されており、それに対して各クリエイターがネタ(=クリエイティブソリューション)を披露するというプレゼン企画です。

著名なクリエイターが集まるセッションに、僕自身も胸を膨らませて会場入りしたわけですが、実際のセッションはまさに期待以上! 例えば、「せっかちなユーザーを待たせないローディングを作成してください。」というお題に対し、ペーパーボ-イ家入さんは「黒い画面を表示して、ユーザーが身だしなみを整えられるようにする」というソリューションを提案。しかも、長時間見ていると、カツラが表示されるというおまけ付。

激しく動くほど、ローディング時間が減るというサイト・・・確かに退屈はしませんね!

一方、imaginative深澤さんは雑誌を表示させ、美容院のようにそれを読みながら待つことができる仕組みを紹介したり、「ローディング?」と、「?」を表示することで待たせていること自体をあいまいにするなど、「なんだそりゃ!」と言いたくなるような脱力系アイデアを提案します。また、電通中村洋基さんは、Webカメラで自分を映し、激しく動いた分だけローディング時間を短縮できる仕掛けを作るなど、普通は想像もつかないような斬新なアイデアを披露しました。

ストレートな答えを出す人もいれば、中にはお題の主旨を度外視して、笑いにもっていく方も・・・とにかくいずれのアプローチも独創的。そして、全てのネタに技術力とクリエイティブ力とがにじみ出ており、出演した方々の実力に感服しました。

どんな仕事にも共通して言えることだと思いますが、特にクリエイティブの仕事においては、多角的で柔軟な発想を持つことは大切です。「クリエイティブの答えは1つではないんだ・・・」出演クリエイターの方々がもつ自由な視点が、とても刺激的なセッションでした。

どんな物ができるのか、じっさいにご自身のサイトで試してみては?

最後に1つ、「クリエイティブ大喜利」で最も会場が沸いたネタをご紹介します。

coming soon generator

これは、「とあるティザーサイトで、ユーザーの期待を煽る COMING SOON...を作成してください。」というお題に対して電通・中村さんがジェネレーターを作ってしまったというアイデア作品です。簡単な文字入力で、映画のトレーラー風MOVIEが出来上がります。アイデアと技術が上手くシンクロしている好例ですね!

志連 博彦(クリエイティブ・ディレクター)

大学卒業後、デザイン会社のグラフィックデザイナーを経て2006年ロフトワークに入社。持ち前の企画力・デザイン力を活かし、クリエイティブディレクターとして、Webサイト構築からパンフレットデザイン、コンテンツ開発など幅広い分野のクリエイティブに対応する。

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