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CMS選定の表ワザ・裏ワザ 前篇

2009/11/06 キーワード : 【 CMS 】 【 Webサイト

10/28に開催した、主要CMS徹底解剖セミナーに先立ち、自社にあったCMSの選定について、楽天株式会社の清水さんとメール対談を行いました。

※この文章はASCII.JPで掲載された「プロだけが知っている、CMS選定の表ワザ・裏ワザ」の記事を一部編集して転載しています。

著者プロフィール

諏訪光洋

株式会社ロフトワーク代表取締役社長
1971年米国サンディエゴ生まれ。慶応大学総合政策学部(SFC)を卒業後、JapanTimes社が設立したFMラジオ局「InterFM」(FMインターウェーブ株式会社)立ち上げに参画。クリエイティブ業務を経た後、同局最初のクリエイティブディレクターへ就任。1997年渡米。School of Visual Arts Digital Arts専攻を経てNYでデザイナーとして活動。1999年クリエイティブの新しい形の流通を目指しクリエイターネットワーク「loftwork.com」の構築をスタートし株式会社ロフトワークを林千晶と共に設立。2003年 代表取締役に就任。

http://www.cms-ia.info/

清水 誠

楽天株式会社 編成部。CMS/IA実践者
1971年東京生まれ。国際基督教大学を卒業後、凸版印刷にてモールサイト「CPJ」や3Dアバターチャット「WorldsChat/J」の立ち上げに参画。2000年からはUS系のWebインテグレータ「Scient」「Razorfish」にて、数多くの企業へユーザビリティ、情報アーキテクチャ、コンテンツ管理に関するサービスを提供した。2004年からは発注者側へシフトし、IAやCMS、Webを活用した改善プロジェクトをリードした。現在は楽天にてアクセス解析の標準化と全社展開を推進しながら、IAやCMSに関する研究と実践を続けている。個人サイトは「実践CMS★IA」

昨今のCMSの普及状況について

諏訪 実際のところCMSの普及は始まったばかりだと思います。「なぜCMSを導入するのか」という問いに対して、この3年は「運用の現場が破綻しつつあるから」との“対処としてのCMS導入”が多かった。最近になってようやく経営企画層による企業情報の「見える化」、あるいはWebマーケティングを戦略的に考えてCMSを導入するケースが徐々に増えてきています。それでもまだCMS導入が「目的」で、手段ではないプロジェクトがほとんどです。

清水 CMSへの過信は危険ですね。「コンテンツ」とはいったい何なのか? データとの違いは? どうすることが「管理」なのか? コンテンツを理解し、付き合い、活用していく考え方やプロセス、体制作りが重要です。極端な話、システムとしてのCMSを導入しなくても、コンテンツは管理できます。

諏訪 そうですね。清水さんのいらっしゃる楽天ほどではありませんが(笑)、大きな売上をあげているファッション系ECサイトの運用体制を一例に出すと、そのサイトではCMSを導入せずに2ヶ月ごとに30人以上のデザイナーとコーダーがサイトをスクラップ&ビルドしている。ExcelとDreamweaverを使った昔ながらの管理体制です(笑)。でもコンテンツをマネジメントし、PDCAサイクルが回り、十分利益が出ているのだから「それで良い」という判断ももちろんあると思います。なかなか普通のサイトでは真似ができないと思いますが(笑)。

清水 システム導入の有無に関わらず、「コンテンツは管理する必要がある」という考え方は必須だと思います。CMS導入は、IT部門が長い間管理することを避けてきた、クリエイティブで柔らかい「コンテンツ」とは何者なのか? どう管理すべきなのか?——を真剣に考え始めるきっかけになると思うんです。だから最初は失敗しても、次の改善につながれば意味はある。試行錯誤を何年か続けて現場の考え方やスキル、組織としての体制やプロセスを洗練させていくことで、コンテンツをうまく管理できるようになっていく。CMS製品は、こうした成長を加速するノウハウと仕組みが詰まった“スターターキット”のようなものだと思います。

オープンソースCMSと商用CMS。両者のメリット・デメリット

清水 オープンソースのCMSは、開発者が自分で使いたいシステムを作って使っている。商用のCMSは、企業や組織で必要とされるシステムやソリューションを提供することでベンダーが利益を上げている、という点が決定的に違うと思います。

 開発者がアジャイルに手を動かせるのなら、オープンソースのCMSをカスタマイズした方が、ゼロから自社開発よりも楽かもしれない。でも、コミュニティ型の開発、特に海外ベースの場合はほとんどコントロール不能です。予期しない方向転換や品質低下が起こった場合は全部自社で巻き取って運用していく、ぐらいの体制が必要です。

 商用CMSの場合は、ベンダーが既存顧客への配慮(アップグレードや移行)やサポートに力を入れるので、企業ユーザーとしてはオープンソースよりも安心できます。その反面、歴史が長くユーザー数が多いCMS製品は進化が遅いので、派手さに欠ける。

諏訪 清水さんが言われる「オープンソースのCMSは、開発者が自分で使いたいシステムを作って使っている」という言葉にCMS開発の本質があると思います。商用CMSは、実はおどろくほど色々な「思想」を持っています。

 「思想」は、どこのマーケットをターゲットにするかで違います。たとえば100人未満の小さな大多数の会社に使われることを想定するのか、1000人程度の企業なのか、10万人のグローバル企業をターゲットにするのかでインターフェイスと機能は大きく変わります。サイトの運用・保守をする担当者のリテラシーによっても違います。販売先が情報システム部門なのか、広報なのか、経営企画層なのかでも変わります。そういった「誰に使ってもらうのか」を考えた上で、商用CMSは開発されます。

 一方でコミュニティベースのオープンソースCMSは「自分たちが使いたい」ことで作るので、意外に似ている。開発者の方々は否定するでしょうが、少なくとも私はそう思います(笑)。自由な構造、必要とされる高いリテラシー、豊富な機能、プラグイン構造、整理されていないUI(笑)。オープンソースのCMSを企業が採用する場合、運営者全員が開発者が求めるリテラシーを身につけ、思想をある程度理解する必要があります。

清水 そういえば、オープンソースのCMSは全部似ていますね。違うのは使う技術とコミュニティのノリだけ。サークルみたいなもので、気に入ったら参加して使えばいい。

CMS製品ごとに異なる「テンプレート」の考え方

清水 テンプレートって、CMSの考え方がもっとも濃く反映されますよね。そもそもなぜ、テンプレートが必要なのか?

諏訪 先ほどのオープンソースの質問にもあった思想に関わってくる問題ですよね。僕はCMSにはそれぞれ哲学がある、と言っています。Webサイトはそもそもいかようにも作り方があるし作り手もさまざま、できあがるサイトも千差万別、業種も規模も機能もさまざまです。CMSの開発者は、CMSで「何を実現してあげたいか」を考えます。中堅企業の5人くらいのWeb担当者の運営負荷を下げるのか、大企業の世界中のブランチサイトの情報統制を実現するのか。想定する用途によって開発の「哲学」が生まれ、哲学によってテンプレートの考え方も変わってきます。

 たとえばMovable Type(MT)など小規模なCMSの場合、デザイナーでもテンプレートが作成できますが、エンタープライズクラスのCMSの多くはプログラマーでないとできません。さらに業務設計まで踏み込んだコンサルタントの力も借りなければ、完全なテンプレートができないものもあります。これはどちらが良い悪いという問題ではありません。大切なのは、自分たちの組織にどのCMSの哲学が合っているか、ということだと思います。

清水 商用CMSのベンダーには、その哲学をもっと明確にアピールしてもらいたいですね。機能でも価格でも実績でもなく、誰がどんなコンテンツをどう管理する時のどのような課題を、どう解決すべきだと考えているのか?

 僕がCMS(に限らず制作・開発支援のソフトウェアやサービス)に15年間こだわってきたのは、この哲学の探求のためのようなものです。CMS製品を評価することで、製品を作った企画者や開発者とWebコンテンツ管理のあり方について間接的に議論できます。「なるほど!」と感動して、ベンダー以上に惚れ込んだCMSもありますよ(笑)。

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諏訪 光洋

執筆者

部署・役職 : 代表取締役社長

1971年米国サンディエゴ生まれ。
慶応大学総合政策学部(SFC)を卒業し、FMラジオ局「InterFM」の設立に参画、同局最初のクリエイティブディレクターへ就任。
1997年渡米。School of Visual Arts Digital Arts専攻を経てNYでデザイナーとして活動。2000年クリエイティブの新しい形の流通を目指しクリエイターネットワーク「loftwork.com」の構築をスタートし株式会社ロフトワークを林千晶と共に設立。2003年 代表取締役に就任。

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