Home > ロフトワークの強さ > キーワード・コラム > 広報活動は計測できる?広報が考えるべきアクセス解析の指標 [前編]KGI、KPI
広報担当者の皆さん、Webサイトの目標設定やアクセス解析はどうしていますか?
「アクセス解析研究会」
広報活動とWebサイト運用。切っても切れない関係ですが、どう戦略的に活用するか、またどう効果測定をするべきかは、大変悩ましい課題です。
広報的Web運用のヒントを得るべく、「アクセス解析研究会」に参加され、
「Webで成果を出すアクセス解析セミナー」では広報視点でのコンセプトダイアグラム設計や、戦略的なWebサイト運用を発表されていた、独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)企画部門広報室 荻野さんに、ロフトワーク広報担当の中田がお話を伺いました。
独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS) 企画部門広報室。
もとはデザイナーという、広報としては異色の経歴を持つ荻野さん。NIMSでは、研究機関という独特の立ち位置で、幅広いステークホルダーに向け、主にWebで情報発信を行う役割。アクセス解析セミナーでも論理的なWeb広報の考え方を発表されていました。
株式会社ロフトワーク パブリックリレーションズ担当。
ロフトワークのコーポレートサイトは、全体的な運用(解析/改善)はマーケティング部門のWebマスターが担当しているものの、ブランディングや見せ方の部分は中田が担当。マーケティングとは異なる視点で、KGI・KPIを設計し、施策に落としていくことが最近の課題。
中田 一会(以下、中田):まずは、独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)について教えてください。一般の企業ではなく、研究機関ということですが、具体的にはどのような組織なのでしょうか?
荻野寛(以下、荻野):私たちNIMSは、その名のとおり様々な「物質」や「材料」の「研究」を専門的にしている、文部科学省所管の研究開発系の独立行政法人で、2001年4月に旧科学技術庁所管の金属材料技術研究所と無機材質研究所の2つの国立研究所が統合して発足しました。
またNIMSでは、研究だけでなくその成果の普及啓発や、研究者・技術者の育成にも力を入れています。さらに、NIMSが所有する世界有数の設備の一部について、外部の研究者に対しても利用機会を提供するなど、日本の物質・材料科学技術の中核拠点としての役割を担っています。
NIMSの公式サイト(http://www.nims.go.jp/)
中田:社会的意義も責任も大きな組織ですよね。同時にステークホルダーも研究職から一般の方まで多岐に渡るでしょうし、広報としてはコミュニケーション方法と手段にかなり気を使われていると思います。NIMSにおける広報の位置づけ、荻野さんの役割はどういったものなのでしょうか?
荻野:私の所属する広報室は、言わばNIMSの顔にあたる部署です。NIMSのミッションのひとつに、「得られた研究成果の普及」というのがありますが、この研究成果の普及を中心に、NIMSの組織や活動を国内外の皆様に広くお報せするのが広報室の役目です。
広報室では、室長を筆頭に11名のメンバーで各業務にあたっています。主な業務は、取材・プレス対応、見学・イベント対応、広報誌やNIMS紹介パンフレットの発行、公式Webサイトによる情報発信等で、私はその中の、公式Webサイトを含むインターネットを活用した広報の企画立案や実施、更新を主に担当しています。また、過去の経験や特技を活かしてイベントの告知ポスター等のデザインや写真撮影などを行うこともあります。2009年度にはロフトワークさんのご協力で公式Webサイトをリニューアルした際にCMSを導入しました。私は導入責任者として、CMS管理や他部署のCMS導入支援、開発・利用サポートも行なっていますが、Webページの更新量も増加傾向にあるため、公式Webサイトの更新作業は、私がボトルネックにならないよう、パンフレット担当者と二人体制で行っています。
更新作業の内容は、他部署や研究ユニットから上がってくる原稿をチェックし、記事として掲載するのが多いですが、広報室主体のイベント関連ページを中心に、時には自分で記事を作成することもあります。更新以外では、アクセス解析やそれをもとにしたPDCA運用も一部担当しています。
広報誌「NIMS NOW」
中田:多岐に渡る広報媒体や荻野さんの業務の中で、公式Webサイトの位置づけはどういったものでしょうか?
荻野:数ある広報活動の中で、公式Webサイトやパンフレットは、一般の方から専門的な方まで、広い階層の方々がご覧になることを想定して作っています。幕の内弁当のような感じとでも言えば良いでしょうか。ただ、トーン&マナーとして“研究所らしさ”“NIMSらしさ”を感じさせる表現にしたり、一定以上の規模の情報やターゲットを絞りたいものについては特設サイトを用意して、そちらに誘導するように心がけています。企業のコーポレートサイトみたいな感じですね。
中田:なるほど、Webサイト間の関係性は、一般企業と近いんですね。では、ずばり、公式WebサイトのKGI(目標達成指標)・KPI(評価指標)はどう設定されていますか?
荻野:公式WebサイトのKGIはNIMSの継続的な認知度向上と利用者との関係構築ですので、一概にここが上がればゴールというものは存在しませんが、強いて言うなら、継続的なUU増加やリピート率・平均PVの維持になるでしょうか。一方でKPIは、組織名による流入数とその平均サイト滞在時間および平均PVだったり、検索・ニュース系サイトからのプレス記事流入数とその直帰率、ページ滞在時間だったり、企業・大学からの研究系情報への流入数と滞在時間、平均PVと関連HPへの離脱だったりと、いろいろ考えられると思います。
NIMSは公的な機関ですから、税金の一部で運営されています。ですから広報の役割も、国民の皆様に広くNIMSの事や活動内容をお伝えすることだと考えています。どのような目的でどのような研究がされ、また、どのようにお金が使われているのか、研究が世の中にどのように役だっているのか、などを正しくご理解いただくのが重要ですし目的でもあるわけです。また、企業との共同研究や企業への技術移転などを通して、研究成果を社会に役立ててもらうことも同じくらい重要です。そのためには、まずは、一人でも多くの皆様にNIMSの事を認知していただくということが、一つのゴールになると考えました。
中田:認知度向上は、特にコンシューマ以外に向けた事業を手がける組織にとっては、大きな広報的課題のひとつだと思います。具体的にどう計っているのか、KPIの詳細を教えていただけますか?
荻野:KPIについては、まず、組織名での流入が、年度でどれだけ変動し、また滞在時間や一人あたりの平均PVがどうなっているかを見るようにしています。これは、NIMSについて何かしらの情報を見たユーザーが公式サイトに訪れ、何かの情報を探して認識した事に繋がる可能性が高いからです。もっとも、一定の割合で関係者がブックマークがわりに組織名を入力しているケースも考えられますが、これは過去の年度もその割合は同じということにして、特に係数を掛けたりはしていません。
また、年間50件以上のプレスリリースを出しているので、研究成果名での流入やプレス記事を実際に読まれているかも重要な指標となります。研究成果がどれだけ認知されたかという事に繋がる数字ですから。最近は、同時に参照元にニュース系のサイトがどれだけあるかもチェックしています。これは、新聞やテレビで扱われなくても、ニュース系サイトで記事にされ、プレス記事ページのPVが増加するケースも出てきたからです。
さらに、企業や大学など、研究関係者と思われるユーザーなら研究系の情報へ、それ以外のユーザーなら一般向けの情報へ、どれだけリーチしているか、また内容が読まれているかということで、特定ページへの流入や滞在時間にも注意しています。その他には、全体UUと平均PV数も参考程度に気にしています。平均PVを維持しながらUUが前年比で10%以上増加していれば、閲覧している人が増加している傾向にあると考えられますので。
「アクセス解析セミナー」で荻野さんが発表したコンセプトダイアグラム
中田:とても明快な指標ですね。参考になります! 事業会社でいえば、企業名とブランド名での流入、ニュース媒体からの流入でしょうか。特定のページに関しては、ロフトワークでいうとスタッフコラムや講演レポートのような、ブランディングコンテンツのページPV数やUUが、広報的指標になりそうです。
次回、後編として、広報的アクセス解析のレポ—ティングと施策を荻野さんから伺います!
部署・役職 : パブリックリレーションズ
武蔵野美術大学卒業後、IT関連出版社に入社。IR(投資家向け広報)を経て、ケータイ世代向けのメディア事業に参加。モバイルサイト運用や、電子書籍/紙書籍の企画編集を手がける。2010年にロフトワーク入社。オウンドメディア/ ソーシャルメディアコンテンツの企画編集、コラボレーション企画、スタッフ・ブランディング等、ロフトワーク全体のメディア化とコミュニケーションを担当している。
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