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夏真っ盛り、みなさんいかがお過ごしでしょうか?「海水浴」、「キャンプ」、そして「部屋にこもってコラム執筆」と夏にも色々な楽しみがありますね。
…グチはこのあたりにしまして、連載『HTML5がやってきた! Vol.3』ということで、とうとう最終回です。
前回まではHTML5の新機能を紹介してきましたが、今回は「HTML5」の出現でWebの世界は、あるいは我々のディレクターの現場はどう変わってくるのか、そのあたりを考えてみたいと思います。
HTML5をめぐる言説にはさまざまなトーンものがあり、どれが本当でどれがウソなのか分からなくなってきますが、一つ確実なのは「HTML5の普及は確実に進行している」ということです。
Vol.2でご紹介したように、HTML5によって、ユーザーのローカルPCとWebはシームレスに繋がることになりそうです。例えばデスクトップ上の一つのJPEG画像を加工し、プレビューし、Webページにアップするまでの一連の作業をブラウザ一つで行うこともできるかもれません。HTML5が今後ますます普及すれば、極端な話、OS依存のアプリケーション一切無くし全てのアクションをブラウザ経由で行う、などといったことも技術的には不可能ではありません。
ただし、この夢のような話も、現実になるまでにはもう少し時間がかかりそうです。W3Cがいくら夢の仕様を掲げたとしても、現実がそれに追いつくにはそれなりの時間が必要だからです。
技術面からいえば現状のWebブラウザのHTML5への対応状況がまだまだだということです。今後、Google ChromeやSafariといった開発スピードの比較的早いブラウザが先陣を切ってHTML5の新しい機能に対応していくでしょう。
また企業も、他の言語からHTML5というWebベースの言語への移行にどこまでコストをかけて良いものか、状況を窺っているところです。最近では、AdobeとAppleというアメリカの二大メーカーがFlashとHTML5をめぐって論争を繰り広げました。
ご存知のように、iPhoneやiPadといったAppleのパーソナルデバイスはFlashではなくHTML5に対応しています。
Appleは、MacやiPhone、iPadというモノを売って利潤を得る今までのやり方から、iTunesやApp Storeといったチャネル内で「サービス」を提供するビジネスモデルへと大きく舵を切ろうとしています。そしてアプリ開発のベースをHTMLのようなWebに特化した言語に置きたいというのが思惑のようです。
事の是非はどうであれ、これによってまた、この世界でのHTML5のプレゼンスが向上したことは確かです。
話がそれましたが、Apple、Google(そしてその傘下のYou Tube)といった巨大企業が旗振り役となり、こぞってHTML5を取り入れようとしています。結果、HTML5の普及が今後も進んでいくと予想されます。
ただし、HTML5の普及によって、明日からはっきりと目に見える形でWebの世界が変わるというわけではありません。その変化は、注意しなければ気付かない程度の小さなものから始まるはずです。4.0から5.0へのメジャーバージョンアップであるにも関わらず、です。
開発者はトレンドと後方互換を気にしながら、少しずつこの新しい技術をつまみ食いしていくはずです。言い方を変えれば、W3Cがつくるのは「仕様としてのHTML5」であり、「現実のHTML5」は開発者と我々ユーザーによって作られる、ということになります。
さて、話が少し大きくなってきたところで、最後に今後のHTML5をめぐる状況をいちディレクター視点で見てみたいと思います。ここから話は一気に具体的に(卑小に)なります(笑)。
これは今後の制作サイドにとって結構重要な問題です。
今までは一般的に、HTMLコーディングは「コーダー(マークアップエンジニア)」、Flashによるリッチな表現は「フラッシャー」、Web全体のデザインは「デザイナー」と呼ばれる人々が担当してきました。HTML5である意味Flashのような動きのあるサイトも作れるようになります。またHTML5とともに普及していくであろうCSS3の指示する内容は「デザイナー」の領域まで及んでいます。
となると「じゃあ誰に頼めばいいの?」という問題が浮上してきます。
個人的な推測では、いま「コーダー」「フラッシャー」「デザイナー」という棲み分けは当分のところ変わらないと思います。いくらHTML5やCSS3が優秀とはいえ、Flashで表現できることの全て、あるいはデザイン全般の領域をカバーできるほどには万能ではありません。ただし「コーダー」「フラッシャー」「デザイナー」それぞれの職能は緩やかに拡大していき、コアスキル+αの知識が求められる時代になるでしょう。
これも、気になるところです。Vol. 1で紹介したように、HTML5によって、セマンティックなWebが今後も進行したとすると、ページ内の広告を取り除いて、「article」といったいわゆる「本文部分」だけ読むということも理論的には可能だからです。
もし、新しいブラウザで広告を排除してページを見るということが一般的になった場合、広告の価値というものはどのように変化するのでしょうか?
このように、ディレクターサイドからみると、細かい疑問は尽きません。
ただし、それ以上にHTML5という新しい技術への期待は大きいものです。今後、誰も見たことがないような新しいサービスやデザインがWeb上に出現することを楽しみにしています。
3回にわたりHTML5について書いてきましたが、いかがだったでしょうか?
あくまで一般的な目線に立って書いてみました。その結果、技術的な部分では少し厳密さを欠く表現になっていますが、それでも「なんとなくHTML5ってこういうものなんだ」というところを掴んでいただけたら幸いです。そして数年後に「当時はあんなこと言ってたな」と思い返していただければ。
Webの世界は日々進化しています。これを「覚えるコトが増えて大変だ!」と捉えるか「持ち球がまた増えた」と考えるかは人それぞれかと思います。ただ「与えられた状況を最大限楽しみなさい」というのがロフトワークの教えですので、私もこの10年に一度というこの変革期を思う存分楽しみたいと思います(笑)
最後に、ここ最近で一番ステキなサイト(もちろんフルHTML5です!)を紹介して3回の連載を終わりたいと思います(ありがとうございました!)。
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