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オリンパス株式会社  OPC Hack & Make プロジェクト

オリンパス株式会社  OPC Hack & Make プロジェクト 後編

ラフスケッチからはじまったオープンイノベーションへの挑戦

2015年2月5日、オリンパス株式会社はオープンプラットフォームカメラ(以下、OPC)「OLYMPUS AIR A01」を発表。ラフスケッチの構想から約5年。スマートフォンと連動して撮影から画像の加工、SNSへのアップまでを行える新しいコンセプトのカメラが誕生しました。その実現を可能にしたのが、ロフトワークとの「OPC Hack & Make Project」。オープンイノベーションをテーマに、共創によって挑戦する新しい映像体験の探究プロジェクトです。



偶然にも別の場所で同じ構想を温めていたオリンパス株式会社の石井謙介氏と佐藤明伸氏、メーカーのモノづくりのプロセスにパートナーとして加わったロフトワークの松井創、田中裕也、石川真弓、寺井翔茉、関口智子に、ここまでの道のりを振り返ってもらいました。ゴールを予測できないプロジェクトが険しくも楽しいものであったことは、7人のやりとりが物語っています。

プロジェクト概要

プロセス/クリエイティブ

キックオフ/製品コンセプト開発

プロジェクトの初期にまず実施したのが、プロジェクトメンバーによるワークショップです。7週間にわたる濃密なワークショップを行い、まだ発売の目処が立っていない段階から製品コンセプトとプロモーションについてディスカッションを重ね、チーム全体でコンセンサスを作りながらプロジェクトを進めました。

CI開発/ブランドサイト構築

コンセプトとターゲットをもとに、ユーザリサーチを開始。製品の魅力を一方的に伝えるだけではなく、外部のクリエイターやデベロッパーと「一緒に価値を創る」ために、HACKER文脈のデベロッパーとMAKER文脈のクリエイターがOPCを活用して新しいカメラを創る「OPCコミュニティ」を形成し、コミュニティを中心にOPCのファンになってもらうというシナリオを作成しました。

コミュニティビルディング

ミートアップイベントや、アワードを定期開催して、参加者を募りファンを増やしていきました。展示会や製品発表会の会場構成やクリエイティブもすべてロフトワークで制作。コミュニティデザインと、それに付随するコミュニケーションデザインを一貫して支援しました。

2014年に出展したEngadgetFesでのワークショップの様子/ワークショップや展示会の企画設計もロフトワークがプロデュースしました

プロジェクトメンバーの対談

偶然にも別の場所で同じ構想を温めていたオリンパス株式会社の石井謙介氏と佐藤明伸氏、メーカーのモノづくりのプロセスにパートナーとして加わったロフトワークの松井創、田中裕也、石川真弓、寺井翔茉、関口智子に、ここまでの道のりを振り返ってもらいました。ゴールを予測できないプロジェクトが険しくも楽しいものであったことは、7人のやりとりが物語っています。

松井(ロフトワーク):OPCの構想はどうやって生まれたのですか?

佐藤(オリンパス株式会社):2010年にデザインセンターの社員が操作インターフェースがないカメラのラフスケッチを提案したことに始まります。プロトタイプを作り社内で発表したものの、上手く進まず、悩んでいたところに石井と出会いました。当時MITメディアラボで研究を進めていた石井から、こちらにも似たアイデアがあると聞き、「こんな偶然は奇跡でなく必然だね」と話したのを覚えています。

オリンパス株式会社 事業開発室 事業開発第2本部 事業開発2部 開発グループ グループリーダー 佐藤明伸氏

石井(オリンパス株式会社):私は研究開発の立場でオープンイノベーションの可能性を探っていたのですが、オープン化の価値を社内に証明するには、社外の人を巻き込んで何かやる必要があると考えていました。各種操作インターフェースを持たないカメラは、使い方や価値のあり方を社外の人たちを交えて考えるにはよい材料でした。2012年春のMITメディアラボのスポンサーイベントでロフトワーク代表にOPCの構想をお話ししたところ、快く協力いただいたのが、2013年夏にトライアルで実施したハッカソンです。そこにオブザーバーとして参加してもらったのを機に、佐藤と一緒に製品を準備し始めました。

オリンパス株式会社 技術開発部門 モバイルシステム開発本部 画像技術部 研究1グループ 石井謙介氏

松井:私が佐藤さんと石井さんに初めてお会いしたのは2013年11月です。「製品企画・開発から発売に向けた活動を盛り上げてほしい。たとえば、ハッカソンやアプリ開発などができないか」という依頼でした。これを受けて12月に提案したポイントは3つ。「コンセプトの言語化」、「カスタマーディスカバリーの実施」、「クリエイター・コミュニティの形成」です。

製品化の目途が立つ前にプロジェクトが始動!約3ヵ月かけてOPCの価値を言語化

松井:企画にはトップクリエイターたちに尖ったアプリを作ってもらう企画もありましが、それは敢えて採用しませんでしたね。

佐藤:面白いアイデアでしたが、OPCは我々にも未知の領域です。いきなり彼らにすべてを委ねて大きな花火を打ち上げられても、活動が追いついていきません。他にもいい提案がありましたし、もう少し先でもよいと判断しました。でも、企画の全体としてはロフトワークには勢いを感じましたし、好感が持てました。どれも社内では出てこないアイデアでした。

松井:提案内容に共感いただき、2014年1月、製品化の目途が立っていない段階からプロジェクトがキックオフしました。最初の3ヵ月は、オリンパスとロフトワークとで週一回のワークショップを毎週計7回実施し、OPCの価値やコンセプトを言語化していきました。

週一回のワークショップを毎週計7回実施し、OPCの価値やコンセプトを言語化

石井:メンバー間で共通理解やコンセンサスを得られたのは大きな成果です。その前にも、社内の限られたメンバーでは散々議論していましたが、開発メンバーのモチベーションを高めるのに非常に役立ちました。実際、その人たちが頑張ってここまでのものを作ったわけですから、まさにチームビルディングです。

佐藤:「ぜひやりたい」という開発側のエンジニアやデザイナーが業務を超えて集まり、みんなが「面白い!」と感じてくれたのが良かったですね。当時の参加メンバーはその後も協力してくれていますし、中には自主的にチームを作って活動しているメンバーもいます。徹底的に議論を重ねた7回のワークショップで、プロジェクトの土台が出来た、ということでしょう。

外部のクリエイターやデベロッパーと「一緒にOPCの価値を創る」共創による場づくりへ

松井:ワークショップで出てきたコンセプトとターゲットユーザを掲げてユーザーインタビューを行うわけですが、OPCの“新しさ”を理解してもらうのにずいぶん苦しみました。そこで、我々だけで考えたことをそのままOPCの価値としてユーザーに訴えても難しいと痛感し、ロフトワークではない外部のクリエイターやデベロッパーと「一緒に価値を創ること」に改めて活路を見出したのです。具体的には、HACKER文脈のデベロッパーとMAKER文脈のクリエイターがOPCを活用して新しいカメラを創る「OPCコミュニティ」を形成し、コミュニティを中心にOPCのファンになってもらうというシナリオです。

プロデューサー 松井 創

ちょうどこの頃は、私が関わっていたKOILがオープンしたり、当社内でもオープンイノベーションがテーマになっていたり、世のオープンプラットフォーム事情を参考にしたりする中で、共創による場づくりを通じてイノベーションが起こる予感はありました。一方で、ようやく製品化の目途が見えてきたこともあり、2014年4月頃からは、いよいよ発売までの期間をどうデザインするかという本格的な議論に入ることになります。石井さんと佐藤さんと一緒にボストンのMITメディアラボにも足を運びました。

佐藤:そのとき、MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏が言われた「4つのP」には感銘を受けました。Peers(仲間)・Passion(情熱)・Project(プロジェクト)・Play(楽しむ)。仲間と一緒に熱意を持って取り組み、みんなでアイデアを出し合い、またやってみる。この4つは、非常に大事な無限サイクルです。さらに感心したのは、MITメディアラボの学生たちが否定から入らず、必ず「Yes」と言ってから意見していたことです。

メーカーが今までのやり方を続けていても、イノベーションなど起こるわけがない。イノベーションを起こすのに必要なのは、こういう人たちと、こういうプロセスだと実感しました。私にできることは、そのエッセンスをプロジェクトに注入し、企業ではなく、一般の人と理念から分かち合うこと。一人で考えず、仲間と話して積み重ねていくこと。いきなり4つのPを全部実現するのは難しくても、まずは「Peers」と「Passion」だけでプロジェクトは回り出すだろうと思ったのです。

開発コミュニティの形成に向け、MIT Media Lab@TOKYOでプロジェクトを初お披露目

松井:2014年5月からは、開発コミュニティの形成に向けて企画を具体化していくために、当社の石川が加わりました。

石川(ロフトワーク):私は週4勤務の社員として広報を担当し、週1日はGIZMODOやEngadgetなどのメディアで記事を書いたり、ブロガーとしても活動しています。私がこのプロジェクトに参加したのは、OPCに興味があるメディアやブロガーに情報を届けやすい立場だったことも理由のひとつです。

パブリック・リレーションズ 石川 真弓

参加して最初の山場が、MIT Media Lab@TOKYO 2014(7月10日開催)でのプロジェクトの初お披露目でした。製品が出るとも出ないとも言わない段階でオープンにするわけです。オープンにできること・できないことのジレンマもある中、プロジェクト発表までの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、当日の様子は各種メディアで取り上げられ、Twitter上での反響も非常に大きかったです。

東京、虎ノ門ヒルズで開催されたMIT Media Lab @TOKYO 2014でのアンカンファレンス

石井:オープンイノベーションを実践しようとするときは、企業としてのコミットメントが一番重要で、オフィシャルな発表が最初のステップです。それが7月10日でしたから、やっとここまで来たかと感慨深かったですね。

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