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オリンパス株式会社  OPC Hack & Make プロジェクト

OPC Hack & Make プロジェクト

本記事は後編の事例記事です。前編は以下リンクから参照ください。

プロジェクトがオープン化を機に、戦略マップやメンバー間のズレを軌道修正

壁一面を使って描きなおした戦略マップ画

松井:MIT Media Lab@TOKYOでプロジェクトがオープンになり、いよいよ仮説の実証フェーズに入るわけですね。

石川:はい。OPCを理解し支持してくれるコミュニティの形成を目指すにあたり、最初にターゲットにすべきは、実際にHack & Makeできる人、それを支持する人です。作れる人、作りたい人にモノを渡したら何が出るのか?まずは賛同してくれる少数のクリエイター、デベロッパーに声をかけ、実証実験も兼ねて小さなパイロットプロジェクトから始めました。今振り返ると、少しずつ試しながらコミュニティを広げていく上で、核になる活動ができたと思います。

田中(ロフトワーク):プロジェクトがオープンになったのを機に、発売までの戦略マップも描き直しました。状況が変わりつつあっただけでなく、メンバー間で持っている情報にバラつきが見られるようになり、ちょうど見直しが必要なタイミングだったと言えます。思っていることをみんなで全部吐き出して、統一したフォーマットにまとめて全員で共有しました。

佐藤:それぞれが無我夢中で走り続けてきた結果、動きにズレが生じ始めていたのだと思います。ここで明確なゴールを決め、それを是として議論するための共通語が出来たのは大きかったですね。そこから半年間の活動を迷いのないものにする意味でも重要でした。

プロトタイプ公開日に向けてクリエイティブに注力し、見た目にも共感される活動を演出

松井:Hack & Make属性の強い来場者が多く訪れるEngadget Fes 2014(11月24日開催)をプロトタイプ公開日に定めてからは、クリエイティブにも一層力を入れるべく寺井が加わりました。

寺井:私が参加した当初は、公開日に向けたティザーサイトの名称もまだ決まっておらず、、外に情報を発信していくフェーズに向けて、まずは名称とロゴの制作を超特急で進めました。これらは、恐らくなくても活動はできたかもしれません。でも、動きがバラバラと言われていたように、拠り所を失いかけているところにこそ必要なのです。それを作るプロセスにおいてみんなで話し合ったことが重要だったりします。

シニアディレクター 寺井 翔茉

田中:名称やロゴは外に対するシンボルとして、それ以降の活動やコミュニケーションをスムーズにしてくれました。

佐藤:ユーザはどっちが楽しいかで判断します。やっている人が楽しくないプロジェクトは、使う人が楽しいわけがありません。楽しい雰囲気を醸し出す上では、製品だけでなく、デザインだってかっこいいほうがいい。見た人がかっこいいと感じるだけでも違います。しかもロゴはずっと生き続けます。このデザインは内外の評価も高く、新しいことをやるときには、こうやって小さい成功体験を積み上げていくことも大事だなと感じました。

最後の山場となったEngadgetFes2014で、プロジェクトの存在を一般に広くアピール

松井:プロトタイプ公開日となったEngadget Fes 2014では、プロトタイプの一般公開やパイロットプロジェクトのお披露目と同時に、30名のテスター募集を開始しました。

寺井:イベント用に準備したのはWebサイトをはじめ、概念を説明するダイアグラム、ステッカー、スタッフパーカー、展示パネル、アイデアコンテスト用の応募用紙など多岐にわたります。「イイ大人がワイワイ集まって何やら作っている部活動」をクリエイティブのコンセプトに、プロジェクトが大事にしてきた空気感を表現するように心がけました。たとえばWebサイトは、「OPC」というツールの取扱説明書として位置づけ、組み立てる前からワクワクする感じをイメージしたものです。

Engadget Fes 2014用に向けて様々なアイテムを準備

石川:製品のブース展示だけではプロジェクトの世界観が伝えられないと考え、FabCafeと共同出展したのですが、寺井の貢献もあって、当日は絶えず人だかりができる盛況ぶりでした。会場で実施した「OPC IDEA AWARD」に集まったアイデアは100件以上に上ります。

OPC IDEA AWARDに寄せられた沢山のアイデア

関口(ロフトワーク):イベント開始前はどれだけアイデアが集まるか不安でしたが、結果、アイデアをガラスに貼り付けるのも場所に困るくらいたくさんの方が応募してくださいました。アイデアを書いているみなさんの表情は大人も子供も同じように、活き活きとして楽しそうでした。なかでも子供は大人が思ってもみない発想をするので印象的でした。(「シャッターを切ると野菜が切れるカメラ」など)

佐藤:通常カメラのデザインは、製品発表まで門外不出。プロトタイプとはいえ、ほとんど製品の完成形に近い状態のものを、製品発表前に出すのは前代未聞で、とても勇気の要ることです。トップの理解、思い切った判断のおかげです。どんなに頑張っても、最後はそのジャッジがないと実現しません。会場に足を運んでくれた社員も多く、その後はあたたかい目で見守ってくれる人が増えました。

必要なのは地図ではなくコンパス。新しい映像体験の創造に向け、これからが本番

松井:テスター募集にも100件以上の応募がありましたね。

田中:当社は、オープンにアイデアを集めたプロジェクト実績が多数あります。ただ、これまでは見た目のデザインやイラストが対象でした。まったく違う層の人たちにリーチするため、インターネットだけでなく、リアルな場で会った人たちに声をかけ、情報を見せ、プロジェクトの熱を直接伝えてきました。それが応募数にもつながったのだと思います。

クリエイティブディレクター 田中 裕也

石川:FabCafeのようにクリエイターが集まる「リアルな場」を持つのも当社の強み。FacebookやWebサイトを中心としたオンラインでのコミュニケーションを設計する一方で、イベントの開催、そこから育まれるOPCのコミュニティづくりに、今もFabCafeを最大限活用しています。

FabCafeで開催されたギャザリングイベント

佐藤:テスター募集に100件以上集まったのはうれしい誤算です。これまでの活動の熱が伝わったのだと実感しました。もともと発売前にやることにこそ意味があると思っていましたし、今も「OLYMPUS AIR A01」の販促のためにやっているわけではありません。目指すのは新しい映像体験を創ること。だから、テスターという形にこだわったのです。決定した30人のテスターとの出会いも大事にしていきたいし、一回で完結せず、次につながるようにしていきたいですね。

松井:2015年2月5日、ついに製品として発売されることを発表。この日は、ブロガーの方々を当社の会場に招待し、「OLYMPUS AIR A01」と新しい映像体験を感じてもらう「OPC Hack & Make Gathering Blogger Event」も開催しました。製品発表に漕ぎつけた今、どんな思いですか?

石井:素直にうれしいですが、すでに課題も見えています。次のタイミングでどうするか、すでに佐藤と相談しながら動き出しています。私は通常、研究開発したものを事業部に渡すまでがタスクなのですが、このプロジェクトの成功はオープンイノベーションの成功でもあるという信念のもと、最後まで見届けるつもりです。

佐藤:達成感はあまりなく、逆に身が引き締まる思い。これからどれだけユーザーと一緒に、OPCを当たり前の世界にできるかが勝負です。そこをゴールとするなら、まだ今は土俵に立っただけ。次は形のないところに挑戦するわけですから、むしろこれからのほうが緊張します。ワクワクしすぎて最近あまり眠れません(笑)。

松井:“5年後の当たり前”を目指すのに必要なのは、地図ではなくコンパス。今後も青写真を描き直しながら新しい未来に挑戦していくのだと思いますが、全容を描き過ぎず、目指す方向をみんなで共有し、方向を常に確認しながら進んでいきたいですね。

お客様の声

オリンパス株式会社 石井 謙介氏

オリンパス株式会社技術開発部門 モバイルシステム開発本部 画像技術部 研究1グループ
石井 謙介氏

私は通常、研究開発したものを事業部に渡すまでがタスクなのですが、このプロジェクトの成功はオープンイノベーションの成功でもあるという信念のもと、最後まで見届けるつもりです。製品発表に漕ぎつけたことは素直にうれしいですが、すでに次の課題も見えています。次のタイミングでどうするか、すでに佐藤さんと相談しながら動き出しています。

佐藤 明伸氏

オリンパス株式会社事業開発室 事業開発第2本部 事業開発2部 開発グループ
佐藤 明伸氏

メーカーが今までのやり方を続けていても、イノベーションなど起こるわけがない。仲間と一緒に熱意を持って取り組み、みんなでアイデアを出し合い、またやってみる。私にできることは、MITメディアラボに学んだこの無限サイクルのエッセンスをプロジェクトに注入し、企業ではなく、一般の人と理念から分かち合うこと。一人で考えず、仲間と話して積み重ねていくこと。これからどれだけユーザを巻き込んで、OPCを当たり前の世界にできるかが勝負です。

制作チーム

このサービスに関するお問い合わせ

hajime matsui

プロデューサー
松井 創

我々だけで考えたことをそのままOPCの価値としてユーザに訴えても難しいと痛感し、ロフトワークではない外部のクリエイターやデベロッパーと「一緒に価値を創ること」に活路を見出しました。具体的には、HACKER文脈のデベロッパーとMAKER文脈のクリエイターがOPCを活用して新しいカメラを創る「OPCコミュニティ」を形成し、コミュニティを中心にOPCのファンになってもらうというシナリオです。

パブリックリレーションズ
石川 真弓

FabCafeのようにクリエイターが集まる「リアルな場」を持つのもロフトワークの強み。FacebookやWebサイトを中心としたオンラインでのコミュニケーションを設計する一方で、イベントの開催、そこから育まれるOPCのコミュニティづくりに、今もFabCafeを最大限活用しています。また、Engadget Fes 2014ではFabCafeと共同出展し、当日は絶えず人だかりができる盛況ぶりでした。会場で実施した「OPC IDEA AWARD」に集まったアイデアは100件以上に上ります。

Shoma_Terai

クリエイティブDiv. シニアディレクター
寺井 翔茉

私が参加した当初は、公開日に向けたティザーサイトの名称もまだ決まっておらず、、外に情報を発信していくフェーズに向けて、まずは名称とロゴの制作を超特急で進めました。これらは、恐らくなくても活動はできたかもしれません。でも、動きがバラバラと言われていたように、拠り所を失いかけているところにこそ必要なのです。それを作るプロセスにおいてみんなで話し合ったことが重要だったりします。

Tomoko Sekiguchi

クリエイティブディレクター
関口 智子

私は、BlogやFacebookなどオンラインのコミュニケーションと、毎月開催していたFabCafeでの「OPC Hack&Make Gathering」イベントの運営を担当していました。目の前でデベロッパーやクリエイターの方がアイデアを形にしていくのを見るのは本当に貴重な体験でした。これからもオンラインとリアルの両面から、様々なアイデアの実現を支援していきたいと思います。

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