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ソフトバンクロボティクス株式会社 Pepper Developer UX プレイブック制作

Pepper プレイブック制作

ソフトバンクロボティクス株式会社 Pepper Developer UX プレイブック制作

デベロッパーの体験向上を目指したUX5原則を策定

プロジェクト概要

  • 課題
    ・ロボットプラットフォームを加速させるための魅力的なアプリ開発が不可欠
    ・デベロッパーと共に成長していくエコシステムを拡張していく指針が必要
  • 目標
    ・デベロッパーのインサイトを紐解き、体験を向上するための原則を定義する
    ・今後のPepperデベロッパー事業における取り組みの方向性や指針を明らかにする
  • 成果
    ・実際の施策を進める際の足場として、UX(顧客体験)の5原則をまとめたPepperプレイブックを制作
    ・ワークショップを通じてデベロッパーの体験を向上する具体的な施策のアイデアを創出

Pepperの普及に向けデベロッパーエコシステムの形成と拡充へ始動

感情を持ったパーソナルロボット「Pepper」の企画・開発を手がけるソフトバンクロボティクス株式会社(以下、SBRと略)。Pepperの社会への浸透には、アプリケーション開発を担うデベロッパーの存在が欠かせません。そこで同社は、ロボットプラットフォームにおけるデベロッパーエコシステムの形成と拡充を目指し、デベロッパーの体験向上を目的とした「Pepper プレイブック」を制作。サービスデザインという手法を用いて、今後デベロッパー向け施策を考える指針となる5つの原則を定義しました。

プレイブック作成までの軌跡をプロジェクトメンバーと振り返ります。

- まずはプロジェクトの背景からお聞かせください。

縄田(SBR):ソフトバンクは30年ビジョンと呼んでいる自社の経営ビジョンにおいて、優しさを持った知的ロボットと共存する社会を実現することを掲げていますが、Pepperはこのビジョンに基づいて生み出されたプラットフォームになります。ただし、プラットフォームだけあっても仕方ありません。その上に乗るアプリをいかに魅力的なものにしていくかが重要になります。そのために必要なのが、ロボットプラットフォームにおけるデベロッパーエコシステムの形成と拡充でした。

ソフトバンクロボティクス 事業推進本部 事業開発部 コンシューマ&デベロッパー事業課(当時) 縄田 昇司氏

そこで、2014年9月の"Pepper Tech Festival 2014"を皮切りに、その直後に、Pepperのロボアプリ開発の体験スペース「アルデバラン・アトリエ秋葉原」をオープン。デベロッパー同士のコミュニティであるとともに、デベロッパーが継続的に学んだり、レベルアップしたり、新しいものとつながったりする場を作りました。いずれも多くの注目を集め、好調な滑り出しだったと言えます。

しかし、一方で課題もありました。1つは、ロボットビジネスのプラットフォームをグローバルなものにしていくこと。もう1つは、Pepperの普及を図るには、デベロッパーに閉じた世界で技術を追いかけるだけではなく、一般ユーザーが必要とするアプリ開発につなげるための働きかけが必要であることです。

これらを具現化していくとなると、内部リソースだけでは限界もあります。また、これまではデベロッパーのコミュニティをどう活性化するかというボトムアップの考え方で進めてきたため、世の中に対してどういうメッセージを発信していくのか、どういう手順でエコシステムを形成していくのかという視点が欠けていました。この部分でうまく連携できるパートナーを精査した結果、我々が求めていたことをズバリ提案してくれたのがロフトワークでした。

カワナアキ(ロフトワーク、以下LWと略):ビジネスプラットフォームにはサービス提供者や、ロボットの開発者や、最終的な消費者、アプリケーションを開発するデベロッパーなど多様なプレーヤーが存在しています。それぞれの体験をより良いものにするためにはどうすればよいか、という観点で提案を考えていきました。体験の向上により自己増殖的にプレーヤーを増やせれば、プラットフォームビジネスとして成功するだろうと考えたのです。

ロフトワーク プロデューサー カワナアキ

通常なら、コンシューマーを先に定義するべきであり、誰に向けた市場かが曖昧な状態でBtoD戦略※を考えることはまずありません。今回は、ソフトバンクという世界規模で確固たる地位を築いている企業が率先してロボットビジネスを展開することで、 “ポテンシャルのある市場”というメッセージングに成功していて、デベロッパーにとってインセンティブとなるユーザーがある程度保証されている、という仮説が立ったので、BtoDのユーザーエクスペリエンス(以下、UX)を定義するところから始めるという提案になりました。

※Business to Developerの略

デベロッパーの本音は?3セグメントのユーザ15名にデプスインタビューを実施

- プロジェクトをどのように進めていったのでしょうか?

西本(LW):ユーザー中心のデザイン思考に基づいたプロセスでプロジェクトを進めていきました。すでにあるアプリ開発の体験スペースである「アトリエ」を核に裾野を広げるため、まだコミュニティに参加していない人も含めインタビューを行い、彼らのインサイトに共感した上で、ペルソナやカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)を作成。そこで得たものをもとに、デベロッパーの体験を向上するための原則(UXの5原則)に落とし込んでいきました。

ロフトワーク シニアディレクター 西本 泰司

縄田(SBR):当初はグローバルなWeb統合プロジェクトとしてWebプラットフォームを整備する予定だったのですが、新規事業特有の紆余曲折に見舞われ、途中でゴール設定を変更せざるをえませんでした。結果的にUXの原則をまとめることに落ち着いたわけですが、ロフトワークがUXガイドラインの作成に豊富なノウハウを持っていたことに加え、アトリエの運営を通じて明らかになったファクトが豊富にあったため、非常にスムーズでした。


西本(LW):たしかに、アトリエという足場があったおかげでインタビューのプロセスは進めやすかったです。すでにそこにいる方たちといい関係が築けていたので、インタビューの対象者をご紹介いただいたり、当社が運営するFabCafeでもアトリエの中にいないような開発者との接点があり、対象者の枠を広げることもできました。リクルーティングの精度が高かったためインタビューでよいインサイトが抽出でき、それがペルソナやCJMの品質に繋がりました。

金山(SBR):既存のコミュニティを通じてデベロッパーが可視化されており、それを当社のメンバー間できちんと共有できていたので、ペルソナを作る際にも、この人にインタビューすれば確実にいいアウトプットが得られるだろうというティピカルな人たちを選定できたのだと思います。

石川(LW):Pepperを触ったことのないアプリ開発者、アトリエに出入りしているようなPepperデベロッパー、あとはPepperを使って何かを表現したい人たちの大きく3つに分けて、15名にインタビューを行いました。リクルーティングがスムーズだっただけでなく、精度の高い人たちを設定できたおかげで、1人2時間のインタビューで非常に有意義なフィードバックが得られました。

「UX原則」として腹落ち感ある言語化を実現。

- デベロッパーのインサイトを整理する中で、発見や気づきはありましたか?

金山(SBR):ハッとさせられるような気づきというよりは、face to faceで話を聴くことによって、ぼんやりと描いていたものが鮮明になったという印象です。

縄田(SBR):そうですね。デベロッパーが対価を得る手段、すなわちマネタイズできる機会が非常に重要なのだということを再認識しました。エコシステムは共存共栄です。そこに集う人たちの多様性を残しつつ、エコシステムそのものが拡大していくためには、デベロッパーのマネタイズが必要不可欠です。デベロッパーの利益を考えずに面白いモノを創造する、という発想もあるのでしょうが、デベロッパーが対価を得られる仕組みを考えないと我々も継続的に収益をあげることができません。

西本(LW):様々なデベロッパーの声を聴いていて感じたのは、改めてBtoD向けの活動をしている企業は、本気度を伝えるメッセージを発信する必要があるということです。運営主体が本気にならないと、本気のデベロッパーを集めるのは難しいと思います。

石川(LW):同感です。どれだけそこに自分がコミットして、どういうメリットがあるかを提示できないと、継続的に参加してくれるような人をつなぎとめることはできません。ここに開発者コミュニティを作る難しさがあります。

ロフトワーク パブリックリレーションズ 石川 真弓

- インサイトを起点に、具体的にどのようにしてUXの5原則に落とし込んだのでしょうか?

西本(LW):インタビュー結果から得られたインサイトから5つのペルソナを設定するとともに顧客体験を向上させるために注力して考えるべき事柄(機会領域)を定めました。それをもとにフランスからアルデバラン社※のスタッフを招き、アイデアづくりのワークショップを行い、顧客体験を向上させるアイデアを出していきました。

※フランス企業アルデバラン(ソフトバンクとPepperを共同開発した会社)

フランスからアルデバラン社を招いて2日間にわたりワークショップを実施

その後、アイデアの特徴的な瞬間をキーワードにし、それを抽象化して原則に落とし込むという形で落とし込んでいきました。こうして定義した5つの原則に従って新しいビジネスやイベントをデザインしていくのが、今後のスタイルです。

縄田(SBR):腹落ち感のある言語化ができたことが、このプロジェクトの大きなアウトプットでしょう。なんとなくわかっていたり、半分くらいはすでにできていることだったりもします。でもそれが言語化されていないと、今後ビジネスとしてグローバル展開していくとき、社内のステークホルダーに説明しにくいだけでなくプロジェクトを進めづらくなります。例えば、Webデザインを検討する際にも、好みや気分、トレンドに左右されてしまうでしょう。踏まえ所をしっかり押さえ、それを組織やチーム全体で腹落ちした上で実際のプロジェクトを進めていく。そのための橋頭保が築けたかなと思います。

- Pepperプレイブックが完成してみてのご感想は?

金山(SBR):まだプレイブックに従った具体的なアウトプットが出てくる段階にはないので、実際にどう機能したかについては語れませんが、作るプロセスそのものに大きな価値があったと思います。Pepperのプロジェクトを始めて4年になりますが、異なる立ち位置にある当社のステークホルダーのPepperやこの事業に対する思い入れ、ビジョンなどを一つの形にまとめ、Pepperのプラットフォームビジネスやデベロッパー事業の方向性を明確化することに、これほど本格的に取り組んだのは初めてでした。

ソフトバンクロボティクス 事業推進本部 事業開発部 コンシューマ&デベロッパー事業課(当時) 金山 大輝氏

アキ(LW):デベロッパー側のインサイトとプラットフォームを提供する側からのインサイトをきちんとマージしていかないと、金型が合わずうまくいきません。そういう意味で、アルデバラン社と、ソフトバンクロボティクスの両者を交えてワークショップを行い、Pepperビジネスの方向性を明確化できたことは今後ビジネスをドライブさせていく上で、とても、よかったと思います。

- 今後の展望をお聞かせください。

金山(SBR):せっかく具体的な施策のアイデアも生まれたので、取りかかれるものから順次具現化していきたいですね。

縄田(SBR):一方で、収益を生み出すことが会社の目的であることからすると、コミュニティが会社にもたらすメリットをきちんと説明し、いかにビジネスにつなげていくかが課題です。コミュニティのビジネス化というよりは、デベロッパーにいかに稼いでもらうかという観点で考えていかなければなりません。彼らが利益を得ることで結果的にPepperが売れ、利用シーンが増えるのです。今後こうした方向性でデベロッパー戦略を練っていく際の“タネ”となるアイデアは、今回のワークショップのアウトプットや、UXの5原則で表現できたと思っています。

アキ(LW):BtoCが止まればBtoDの繁栄はないですし、BtoBが止まればBtoCもBtoDもありません。B、C、Dの補完関係を踏まえて、実際にエコシステムをどう動かしていくかが今後のテーマの一つになりそうですね。本日はありがとうございました。

本インタビュー後、都内で開催されたソフトバンクロボティクス主催のPepperデベロッパー向けイベント「Pepper App Challenge / Pepper Innovation Challenge」の会場にて、Pepperを用いたビジネスの支援プログラムやロボアプリ開発をマネタイズできる仕組みなどが初めて発表されるに至った。これらは今回導き出されたデベロッパーの体験向上を目指すUX5原則にも深く関連する内容であり、既に今回の取り組みを生かしたデベロッパー向け施策検討が開始されている。

▼Pepper for Biz向けロボアプリの開発者などを総合的に支援する「Pepperパートナープログラム」について
http://www.softbank.jp/robot/news/developer/20151130a/

▼パートナープログラム
http://www.softbank.jp/robot/developer/program/partner/

▼アトリエサテライト
http://www.softbank.jp/robot/developer/atelier/others/

▼Pepper App Challenge / Pepper Innovation Challenge
http://www.softbank.jp/robot/special/app-challenge/

Event Information:Pepper開発現場にみる、理想のユーザ体験を創るデザインプロセスを学ぶ

お客様の声

shoji nawata

ソフトバンクロボティクス株式会社事業推進本部 事業推進部 プロダクト事業課 課長
縄田 昇司氏

腹落ち感のある言語化ができたことが、このプロジェクトの大きなアウトプットです。なんとなくわかっていたり、半分くらいはすでにできていることだったりもします。でもそれが言語化されていないと、今後ビジネスとしてグローバル展開していくとき、社内のステークホルダーに説明しにくいだけでなくプロジェクトを進めづらくなります。例えば、Webデザインを検討する際にも、好みや気分、トレンドに左右されてしまうでしょう。踏まえ所をしっかり押さえ、それを組織やチーム全体で腹落ちした上で実際のプロジェクトを進めていく。そのための橋頭保が築けたかなと思います。

daiki kanayama

ソフトバンクロボティクス株式会社事業推進本部 事業開発部 コンシューマー&デベロッパー事業課
金山 大輝氏

まだプレイブックに従った具体的なアウトプットが出てくる段階にはないので、実際にどう機能したかについては語れませんが、作るプロセスそのものに大きな価値があったと思います。Pepperのプロジェクトを始めて4年になりますが、異なる立ち位置にある当社のステークホルダーのPepperやこの事業に対する思い入れ、ビジョンなどを一つの形にまとめ、Pepperのプラットフォームビジネスやデベロッパー事業の方向性を明確化することに、これほど本格的に取り組んだのは初めてでした。

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パブリックリレーションズ
石川 真弓

Pepperを触ったことのないアプリ開発者、アトリエに出入りしているようなPeppeデベロッパー、あとはPepperを使って何かを表現したい人たちの大きく3つに分けて、15名にインタビューを行いました。リクルーティングがスムーズだっただけでなく、精度の高い人たちを設定できたおかげで、1人2時間のインタビューで非常に有意義なフィードバックが得られました。