株式会社レナウンは、1902年の創業以来「ダーバン」「アーノルドパーマー」など、有名ブランドの服飾品を扱い、ファッション業界をリードし続けてきた、 東証一部上場のアパレル企業です。そのレナウンはロフトワークをはじめ、パートナー5社の協力のもと2010年4月20日にECサイト「R-online “The Shop”」を開設。ロフトワークではWeb戦略全体のプロジェクトマネジメントを担当しました。さらに同年10月にはユーザビリティーを向上させるためにリニューアルを行い、この度サイトは1周年を迎えました。
「R-online “The Shop”」はこの1年間、どのようなマイルストンでサイトを成長させ、顧客との信頼関係を築いてきたのか。立ち上げから運用を開始したこれまでの1年についてEC事業チーム、チームマネージャーの斉藤淳氏にお話しをお聞きしました。 「我々がもっともこだわってきたことは、“実店舗のおもてなしをECサイト上でも実現させること”でした。顔や好みを覚えられたり、お客さまそれぞれにユニークな対応ができる、実店舗のようなきめ細やかなサービスをどのようにWeb上で実現し、お客様との信頼関係を築いていくかを常に模索していました。」(斉藤氏)
「サイトのオープンまでの準備期間がタイトなこともあって、昨年4月にまず立ち上げてからチューニングをしていくスタイルでした。立ち上げ直後からサイト検証と戦略の再構築を開始しました。その中で、リスティング広告による集客施策や、ユーザー調査などを改めて行い、10月のリニューアルでユーザビリティーを大幅に向上させました。具体的にはモデルを起用しての着用カットの追加や、大きさがきちんと伝わり、手に取るようにわかる詳細画像の充実化です。さらには商品のレコメンド機能を強化するなど、実店舗ならではの接客スタイルをどのように再現できるかを常に模索していきました」(斉藤氏)
こうして、顧客が実店舗の感覚で買い物をできる環境を提供し、CSにも力を入れたことで、課題も明確になってきたと斉藤氏は話します。
「ECサイトを立ち上げることについては、当初、お客様がECサイトに流れてしまうのではないかと、百貨店さんから懸念の声も想定していましたが、店舗のスタッフがECサイトの特集コーナーに登場し、お勧め商品やコーディネイトを紹介するなど徹底してお客様目線のコンテンツを作成しECと実店舗間の橋渡しを行いました。その結果、ECサイトも、 店舗と同じチャネルとしてお客様との信頼関係構築が出来るようになってきました。
それでもまだまだ、他のサイトのレベルには到達できていないと感じている斉藤氏。他社ECサイトより優位性を高めるために、「人の手」を介すことを重視していると言います。
「初めてお買い上げ頂いたお客様には商品とともに手書き調のメッセージカードを封入しています。また、この度1周年を迎えるにあたり、一部の優良顧客には、男性はダーバンのスカーフを、女性にはフラワーギフトやキャンドルセットをプレゼントさせて頂きました。」(斉藤氏)
このような、細やかなサービスはまさに実店舗のおもてなしをどのようにECで実現するかを考えていった結果生まれています。
株式会社レナウン 斉藤淳氏
一方で、レナウンには、1万円以下で買えるアーノルドパーマーから、5万円台以上が主力商品の高品位ブランドのダーバンまでが共存しています。価格帯・顧客層に差が出るため、サイト内構成に課題が残っていると斉藤氏は話します。
「そもそも顧客の嗜好も年齢も全然違うブランドを、同じプラットフォームで販売するということには少し無理があります。ブランドごとに入り口を分けるべきなのか、極論すれば、レナウンとして個性を出すべきか、あるいは特定のブランドの商品とサービスを売るために特化したサイトであるべきなのかを、サイトの機能をブラッシュアップしながら模索してゆくのが次の課題ですね。こうしたとき、互いに学びあえるパートナーとしてのロフトワークの存在は大きいです」 (斉藤氏)
直近ではブログの増設も視野に入れているといいます。そしてロフトワークをはじめとしたパートナー各社は売上数値も共有し、3ヶ月に1度ミーティングをするという完全な “仲間”としてお付き合いしています。発注者・受注者ではなく、フェアな関係でいられるからこそ、それぞれの分野のプロフェッショナルがひとつのコンセプト、“実店舗のような心のこもったおもてなし”へ互いに全力で邁進することができてきたのです。
そうした結果として、現在は毎月の売り上げ目標を達成するようになったといいます。さらに定性的評価としては、ECサイトで商品を見て、 店舗へ購入に行く、さらには実店舗で商品をチェックし、ECサイトで購入するなど、実店舗とECサイトの棲み分けとシナジーが生まれてきたといいます。
「まだまだ実現したいことの50%程度しかできていません。それでも、昨年10月くらいからPDCAが回りはじめ、今までは漠然としていた課題が明確になったことは成果のひとつです。表出した課題から、サイトが目指すべき今後の方向性が見えてきました。KPIに関しても常にチューニングを行い、効果測定ができているので、それぞれのKPIに対してどういった具体的施策が必要を常に模索しています。」(斉藤氏)
こうした成果の数々が生まれたことで、今はレナウンの会社自体も、ECサイトの成長性に着目し、中期経営目標のひとつとして、ECサイトの拡充が大きく位置づけられたといいます。そのため、今後は、社内横断的なプロジェクトチームを作り、EC担当ではない、各ブランドの担当者からも有益な意見を集めていく予定です。
レナウンとロフトワーク、互いに考えて作り上げる「R-online “The Shop”」の2年目はまだ始まったばかり。同サイトの今とこれからを、6/17(金)に開催する【ECセミナー ~プロが語るEC全体戦略と大手アパレル2社の成功秘話〜】で、斉藤氏にお話いただきます。ロフトワークだから可能になる、本当に商品に相応しいECサイトの姿を模索します。

レナウンとして個性を出すべきか、あるいは特定のブランドの商品とサービスを売るために特化したサイトであるべきなのかを、サイトの機能をブラッシュアップしながら模索してゆくのが次の課題ですね。こうしたとき、互いに学びあえるパートナーとしてのロフトワークの存在は大きいです。
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