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Column コラム

MORE THAN プロジェクトを成功に導いた5つのこと

補助事業への挑戦

みなさんは行政の補助事業と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。「お金を無駄にばらまいているだけでしょ」「行政のやることはかっこ良くないんだよね」という声はよく聞きます。
では、そんな格好わるくって無駄だと思われている補助事業や委託事業。実際にどんなプロジェクトが進行しているか知っている方はどれくらいいるのでしょうか。私も担当してみて実感したのですが、そう思われても……という事業は確かに存在してはいるけれど、実はとっても有益なプロジェクトも沢山あるんですよ。

ロフトワークは、経済産業省の補助事業である「MORE THAN プロジェクト」の事務局を2年間担当してきました。このプロジェクトは日本固有の商材を有する中小企業が、外部人材であるプロジェクトマネージャーを中心とするプロジェクトチームとタッグを組み、海外販路開拓を目指すというもので、そのプロジェクトチームが行うプロデュース活動に対する謝金や旅費が補助金対象となっています。

MORE THAN プロジェクトでは、徹底的に結果にこだわり、補助事業では珍しいと言われる程、多くの成果(商談成立件数)を導きだしていること、そしてそれを可能にしたプロジェクトの設計そのものにも高い評価をいただいています。

その成功のキーポイントを以下の5つの視点から紐解き、行政の補助事業が、どれほど課題を真剣に捉え、未来にインパクトを起こそうとしているかをお伝えできればと思います。

MORE THAN プロジェクトを成功に導いた5つのこと

01 点ではなく面で挑む
02 オープンなコミュニティをつくり、広げる
03 見せ方・伝え方にこだわる
04 事務局は厳しく、愛をもつこと
05 「ブランド」としての構築を目指す


01 点ではなく面で挑む

MORE THAN プロジェクトでは、点ではなく「面の力」で挑戦することを中軸にプロジェクトを設計しました。
MORE THAN プロジェクトは、中小企業単体ではなくチームを組んで挑戦することが基本形です。海外展開に必要な様々な知見・経験を持つプロジェクトチーム(プロジェクトマネージャーやデザイナー)が中小企業とタッグを組むことで、単体では突破できなかった海外市場への参入や現地ニーズのリサーチ、商材の改良・開発、海外における商談へのアプローチが可能になります。

採択事業者の審査においても、中小企業単体の良し悪しだけではなく、「チーム力」の強さを重視して選定しました。実際に、連携が強いチームほど多くの成果をあげている印象です。


02 オープンなコミュニティをつくり、広げる

プロジェクトを進行する上でもっとも大切にして来たことのひとつは、MORE THAN プロジェクトが“コミュニティ”であるということ。

その仕掛けとして、年4回ロフトワークの自社スペースを利用して連携促進会議を開催。プロジェクトチーム同士、また海外展開に知見のあるアドバイザーとのネットワークを形成し、それぞれのナレッジを共有したり、課題を皆で解決していける関係性の構築に努めました。
また、その活動をMORE THAN プロジェクト内輪のコミュニティに留めず、海外進出を後押しするような外部とのコミュニティを形成するための大規模なプレゼンテーションイベントを開催し、プロジェクトチームのネットワーク拡大に寄与しました。

経済産業省、ロフトワーク、プロジェクトチーム、アドバイザーやイベント参加者。関わる人すべてがMORE THAN プロジェクトのコミュニティメンバーとなり、アットホームな空気感と良い意味でのライバル心を芽生えさせ、それらが混じり合った程よい緊張感は、成功の要因のひとつでしょう。


03 見せ方・伝え方にこだわる

事務局が運用するプロジェクト経費の、多くを費やして行ってきたクリエイティブワーク。採択事業の取り組みを伝えるべき人に伝えること、そしてそれぞれの魅力が伝わるべき形で伝わることを徹底してきました。

制作したクリエイティブツールは、クリエイターの選定からこだわり、プロジェクトの魅力を高めてくれるツールとしてクオリティを追求。結果、プロジェクトチームの皆さんからも評価が高く、事業年度が終わったあとも、皆さんのパートナーとして共に海を渡って活躍しています。

Webサイトでは国内外含めてタイムリーな情報発信を行い、国内外からの多くの問い合わせに繋がりました。

Facebookは約6,000のいいね!を獲得。週に2-3件の配信を行い、プロジェクトの進捗やニュースなどを発信しました。


冊子・動画・タブロイド・リーフレットなど、質の高いPR用のツールを制作し、インパクトの強いPR・コミュニケーションが出来ました。


展示会およびPRイベントではプレゼンテーションの演出も徹底し、各チームの取り組みにPR面で貢献。イベントでのプレゼンテーションも良い緊張感の中で行われ、貴重な経験の場となりました。


04 事務局は厳しく、愛をもつこと

この事業に参加したプロジェクトチームの皆さんは、口をそろえて事務局は厳しかったと言います。例えば、月次に提出が義務づけられていたレポートの提出期限。一日でも遅れようものなら、提出するまで徹底的に連絡をとり続けました。

レポートに限らず、それはもう例にあげたら書ききれないほど、徹底して連絡を取りあい、プロジェクトマネージャーに厳しすぎるのでは無いかと言われるくらいに課題を設けていました。

ただ、闇雲に厳しくしていたわけではなく、事業年度終了後も終わりのない挑戦を続ける事業者の皆さんにとって、少しでも事業年度内に成果を出し、今後の発展に繋がればと願う故の愛の鞭だと考え、あえて厳しい姿勢で挑んでいました。

事業年度の間は、毎月はしんどいといった声も聞こえましたが、終わって振り返ってみると自身の活動の軌跡が見える貴重なツールとなったと言ってくれる人がほとんどです。

妥協のないプロジェクト進行を行うことが、その後の事業継続に貢献していると実感しています。

MORE THAN プロジェクトWebサイト Monthly Reportページ


05 「ブランド」としての構築を目指す

「ロフトワークさん、この事業は経産省らしくない事業にしてほしい。」
「いや、経産省だからこそできることで価値のある事業にしたいです。」

これは、2年前に補助事業を受託して、経産省の方と最初の打合せで交わした会話です。

私たちはMORE THAN プロジェクトをひとつのブランドにしたいと思ってプロジェクトを進めています。なぜなら、海外展開を目指すときの“登竜門”になりたいという思いがあるから。

だから、必要なチャレンジを様々な視点で展開してきました。

行政の役割と民間の役割を互いに理解し高め合うことに労を費やし、クリエイティブエージェンシーが一緒に取り組むからこそうまれる価値をつくる。その結果、胸をはって自慢できる、本当の意味での“ブランド”を構築していく。

まだまだブランドとして、事業自体の認知度が広がっているとは言い切れません。しかし、今までの補助事業に対する評価を高めることに、少しは貢献出来たのではないかと感じています。

挑戦は続く

2014年度のプロジェクトチームは全16チームのうち15チームの商談が成立し、 合計の商談成立数も160件という成果でした。そして、2年目の2015年度はプロジェクトチームの数は13チームと少なくなりましたが、12チームが商談を成立させ、商談成立件数も155件と、2014年の成果にはわずかに届かずでしたが、1チーム当たりの成果は大きく発展しました。

2015年度の支援事業はこの春をもって終了。事業者の皆さんの挑戦はまだまだここからが本番です。事務局であるロフトワークも、2年間で培ってきた経験をもとに3年目の挑戦に向けて準備を進めています。

具体的な海外進出ノウハウや知識を体系化させ、オープンデータとしてこれからの挑戦者達に公開すること。そして、地域の方々にその情報が確実にリーチする仕組みをつくることが次の目標です。

MORE THAN プロジェクトのような「本気」の取り組みは、日本にはまだまだたくさんあります。希望の種が、様々な場で芽吹き、新しい伝統を作っていくーー。
そんな日本の未来を考えるだけで、ワクワクしてきませんか?

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