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Column コラム

Smart Craft Studio参加レポート

Yipin_Huang

Fab Master
黃 宜品

世界の学生が飛騨に集合!?

2016年5月28日、イベント「Smart Craft Studio」が飛騨市のFabCafe Hida(岐阜県飛騨市 古川町)で行われました。飛騨牛と美しい風景で有名な飛騨市の経済を支えているのは、林業と木工業です。飛騨には長い歴史を持つ伝統的な組み木技術が残されています。「Smart Craft Studio」は、株式会社飛騨の森でクマは踊る(Hidakuma)と株式会社ロフトワークによって開催され、参加者には、台湾交通大学、カナダのトロント大学、アメリカのパーソンズ美術大学 、日本の情報科学芸術大学院大学、東京藝術大學の学生と教師の皆さん、及び飛騨市の木工職人さん達が招待されました。FabCafe Hidaを拠点とし、3週間の木工・デジタル製造技術の勉強を経て、様々な国から集まった学生たちに、デザイナーとして新たな要素を見つけ出してもらうのが目標です。

現地を探索する

二日連続の現地探索は、FabCafe Hidaがある飛騨古川が出発点でした。朝に散歩しながら、古川の有名スポット:飛騨古川まつり会館、飛騨の匠文化館、三嶋和ろうそく店、壱之町珈琲店、酒蔵、鯉が泳ぐ夏の瀬戸川を巡り、飛騨を知るはじめの一歩となりました。翌日の早朝には、なんと安峰山の登山道を歩きました。まるで別世界に足を踏み入れたかのようでした。古い巨木がそびえ立つ森の中で、飛騨の様々な木について学んだり、長年自然と共に生きてきた農家が家の前で栽培している高山野菜を見学したりしました。

次に訪れたのは、飛騨市の高山です。ここの風景は古川とは大きく変わり、昔の町がほぼそのまま残されているほか、かつて酒造だった国の重要文化財の吉田家住宅もあります。吉田家は1908年に建てられたもので、住宅内には綺麗な梁と柱、高い屋根による広大なスペースが広がっていて、2016年の今見ても、モダンな雰囲気が溢れています

木材と木工芸を知る

組み木博物館と木工房の参観、職人の皆さんに会う機会も逃せません!飛騨の匠文化館所蔵の組み木には、一般的に見る千鳥格子のほか、様々な複雑な組み木もあります。こうした組み木は建築に使用される事はなく、木工職人たちが余暇を利用して競い合った結果のようにも見えます。館内の大きな机の上には様々な組み木が置かれていて、思わず自分でも職人のように分解したり組み立てみたりして、己の限界に挑戦してみたくなります。

木が採伐されてから家具になるまでの過程を辿り、次は西野製材所へ行き、原木の皮むき、木取り、乾燥等の加工について勉強しました。

その次に行ったのが田中建築です。田中建築は古川で有名な建築会社で、FabCafe Hidaの内装やリフォームも田中さんによるものです。田中さんは去年から自分の家を建てているので、学生たちに家の建て方、自分の家についての構想を熱心に紹介してくれました。

飛騨産業株式会社の家具陳列館では、自社の技術の木材における応用成果を紹介してくれました。飛騨産業が開発した木材圧縮技術によって、軟らかめの杉の木を硬度の高い木材に作り替え、これを様々な家具に使うことができるのです。

研究所で木材が圧縮される現場を見学し、説明を受けることで、この技術の独特さが直に伝わってきました。圧縮機が木材の中の水を脱水させる仕組みにより、木材の硬度が上がると同時に、なんと曲げても折れなくなります。この性質により、木材の応用範囲が広がり、成形や織物等、様々な可能性が生まれるのです。想像力も無限に広がります。

木工実習

「Smart Craft Studio」での始めての木工実習は、飛騨産業の実習教室で行われました。実際に作品を作るには板目と正目の木目を知る必要があります。切る前に木目の流れを考え、完成品が木目により曲がってしまうことを避けなければいけません。最初の授業は簡単で、小さな工具箱を作りました。二回目の授業では自分の箸と曲木を作りましたが、その前に「木材を切る前に、断面の木目の流れをどう予測すればいいのか」という小テストがありました。まず自分でその答えを推測し、紙に描き出してから、木工所で木を実際に切って答え合わせをしました。

曲木は椅子の背や手すりなど、様々なところに使えるので、曲木作りは飛騨産業で必ず体験することになっています。職人さんたちが鋭い鉋で紙のように薄い木片を木材から削り出す姿が印象的だった上、連日の実地見学から得た木工制作への理解により、学生たちはみんな手の中の小さな木材と真剣に向き合っていました。それは、職人さんたちが木工に注ぐ真剣さや自律心、伝統へ敬意を示すひとときでした。

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