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Column コラム

Kennosuke Yamaguchi

マーケティング
山口 謙之介

五感で感じる森と飛騨。ヒダクマ秋祭り2016

こんにちは。マーケティングの山口です。

先日幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN 2016。ロフトワークは森とIoTをテーマに、飛騨での取り組みを紹介し、来場者のみなさんからたくさんのアイデアをいただきました。(具体的なアイデアはこちらでご紹介しています。)さまざまな方とお話するなかで、実際に自分の目でどんなことが起きているのかを見てみたいと思うようになりました。

そこで、FabCafe Hidaで開催された第2回ヒダクマ秋祭り2016に参加してきました。どのような人達が集まり、何が生まれているのか。レポート形式でお届けします。

祭りのコンセプトは「森を遊ぶ
森をフィールドに身体を動かし、創り、味わい、話して感じて、考える2日間です。

東京からレンタカーで約5時間。紅葉で色付く長野の山々を抜け、ヒダクマに到着すると、早速、野草で煎れたお茶が迎えてくれました。

飛騨の山で採れた野の草をブレンドした優しい味のお茶。エグミや草っぽさもなくすっきりとして呑みやすいお茶でした。

外国人のお客さんと近所の女の子がアクセサリーワークショップを体験中

綺麗にリノベーションされた空間

秋祭り全体を取り仕切るのは、FabCafe Hida女将の森口

ロフトワークからもスタッフが応援に。

森を学び、感じる

到着して最初のアクティビティは、森歩きツアー。ヒダクマから車で10分ほどの朝霧の森。その名の通り朝に霧がかかる森で、朝霧がでるのは豊かな森の証拠だそうです。

森の案内をしてくれたのは、飛騨の野山をよく知る太田さん。生い茂る草木や、飛騨地方の森の特徴を丁寧に案内してもらいました。

朴葉(ホオノキ)の葉がたくさん落ちていました。穴が空いていない綺麗な葉っぱは数百円の値段で取引されるとのこと。お小遣いを稼ごうと、探してみましたが、結構な確率で穴が空いていました。

桂の木の森は、落ち葉から独特の優しい甘い香りが漂っていました。

普段都会で生活しているとなかなか体験できない森林浴。久しぶりに気持ちが良い空気をたくさん感じることができました。

美味しそうなりんご。もうすぐお昼ご飯なので我慢。

飛騨の森を身体で感じた約1時間の森歩きツアーを終えて、ヒダクマに戻ると、秋のトマトやキノコなど山の恵がたっぷりの特製カレーが出来上がっていました。スパイスには飛騨の森で採取したクロモジという木を使っています。

森で身体を動かしてきた後なのでカレーの美味しさもひとしおです。

ハンドドリップコーヒーも好評でした。

話して聞いて考える

秋祭りの目玉の一つが、第一線で活躍されている建築家や、アーティスト、デザイナーによるトークセッションでした。モデレートするのは、現代の暮らしに関する知識を集め、未来の暮らしのあり方を提案している土谷貞雄さんです。

永く続くこと

最初のセッションは、建築家の山田貴宏さん(ビオフォルム環境デザイン室)による『自然と寄り添う暮らしのかたち』。パーマカルチャーをテーマにしたトークセッションです。

建築家の山田貴宏さん(左)と未来の暮らしのあり方を提案している土谷貞雄さん(右)

パーマカルチャーとはパーマネント(永久な)とアグリカルチャ-(農業)が組み合わされた言葉で、オーストラリアのビル・モリソンによって1970年代に定義されました。技術と産業が発達し、我々は自立したが、様々な関係性が失われた。と山田さん。住まいをハブとした社会関係資本の再構築の取り組みの例を紹介しました。

木目が美しいだけではなく、各住戸に設置された菜園のスペースにより隣人とのコミュニケーションが生まれるようにデザインされています。

パーマカルチャーという言葉を初めて聞いたという参加者も多く、みな興味深そうに新しい取り組みについて耳を傾けていました。

伝統建築、そして今の暮らしにあった住まいと街づくり

秋祭り2日目のトークセッションでは、『伝統建築、そして今の暮らしにあった住まいと街づくり』と題して、飛騨古川での大工業を経て、建築家になった直井隆次さんと、伝統工法での建築技術を継承する大工荒木昌平さんによるセッションが展開されました。

伝統工法での建築技術を継承する大工荒木昌平さん(左)と飛騨古川での大工業を経て、建築家になった直井隆次さん(右)

鉞(まさかり)や手斧(ちょうな)を使った昔ながらの工法。日本の伝統工法は跡継ぎの問題もあり、廃れてきた。せっかく高度な技術で作っても外から見えないため、どんな工夫がされているのかがわららない。それをきちんと伝えていかなければならない。と直井さんは語ります。

また、工期や費用で効率化された現代の建築の現場は楽しくないのでは?と疑問を投げかけたのは、荒木さん。

昔の道具は、現代ではほぼ使う必要がないものだが、興味本位で使い始めたら、その楽しさに目覚めたといいます。現代の工具での作業に比べると大幅に工数はかかるけれども、1本1本の木材を木目を把握しながら、丁寧に建材にしていく作業はモノを作る楽しさが詰まっているのだそう。

直井さんは、木で作った継(ツギ)も機械で作った継も、精度という意味では殆ど変わらないといいます。手作りを好む人、機械でもよい人、その両方のニーズに対応できる必要があるとまとめました。

技術を開放するデザイン

伝統建築のセッションに続いては、最新の手法を駆使したモノづくりの現場が紹介されました。360° BookFabCafe Tokyoのファサード を手がけるDOMINO ARCHITECTSの建築士大野友資さんと機械がアートを作り出す可能性を示した代表作「Plotter Drawing」を発表して話題のデザイナー深地宏昌さんによる、トークセッションです。

大野さんは、伝統的な技術と、最新のモデリング技術などを駆使して様々な作品を手がけています。トーク冒頭、伝統技術とのコラボレーションの事例を紹介。

360° BookやFabCafe Tokyoのファサード を手がけるDOMINO ARCHITECTSの建築士大野友資さん

職人が持っている技術を設計に取り込むにあたり、自分たちがやりたいようにやるだけではなく、手作業に必要な条件をルール化してデザインを行うと語る大野さんは、設計したデータが製造データとしてそのまま使えるようになったことで、設計側から高い精度のデザインができるようになったのが大きな革新で面白いところと語りました。

深地さんは、代表作「Plotter Drawing」について紹介しつつ、FABとは何か。を改めて解説するところから自己紹介をスタート。3Dプリンタやレーザーカッターなどのツールは整いつつある今、場を伴うコミュニティの重要性が高まっているといいます。

そこで、深地さんは場とコミュニティが共存するFabCafe Hidaに実際に滞在しながら、「FAB」は飛騨で何ができるかを検証しました。町並みや森、工場などのリサーチ・ヒアリングを経て注目したのは、「枯渇する広葉樹」と「余る針葉樹」の問題。木工用としての利用が難しい「杉」をデジタル技術で加工した木目の美しいスツールを紹介しました。

デザイナー深地宏昌さん

伝統技術を受け継ぎ、今の暮らしにあった住まいづくりに活かす直井さんと荒木さん。新しい技術や機器による問題解決や今までにない世界の創造を行う、大野さんと深地さん。古き良き営みの継承と新しい挑戦が交差する非常に濃密な2つのトークセッションが展開されました。

モノづくりを体感する

FabCafeの機材とHidaの木材を組み合わせた、木工ワークショプも開催されていました。

福田香子さんによる、野菜をモチーフにしたアクセサリーづくりワークショップ、『summer veges × Laser Cutter』。

3Dプリンタを組み合わせたコーヒーテーブル作りや、深地さんによる杉の木を使ったコースターデザインのワークショップなど各所でモノづくりの実験が行われています。

香りの体感ということで、飛騨の森の素材を活かしたリフレクソロジストの松田旬古さんによる香りのスプレーワークショップや、飛騨の地酒を使った「お酒のBar: 飛騨と酔う」も盛況。

全身で感じる

秋祭り大トリはサウンドクリエイターYosi Horikawaさんによるライブパフォーマンス。FabCafe Hida内にある蔵の内部で行われたライブはYosiさんが飛騨の森や各地で録音した音を組み合わせた自然の音によるパフォーマンスです。蔵内の反響の良さも相まって圧巻のサウンド体験が味わえました。文字でしかお伝えできないのが残念です。

座布団の上に、正座や胡座で目を閉じて聞いている様子だけを見ると、静かな印象ですが、実際には、全身で感じるほどの大きな音でとても迫力がありました。Yosiさんの音楽はこちらで体感できます。

オープンから半年が経ったFabCafe Hidaは、森と伝統技術に限りなく近い立地で、最新の工作技術を取り込んだ実験を、じっくり、かつ楽しみながらできる場として、様々な視点をもったモノづくりに関わる人の交差点になっていました。

交差点に集う人たちとの交流から、全く新しい木材の利用や商品が生まれてくるのかもしれません。早速今週末(11/4)から、キングストン大学で建築を専攻している学生がヒダクマに滞在しているようです。歓迎会と送別会は、参加自由のようです。是非足を運んでみてください。

さらに、11/20(日)FabCafe Tokyo(渋谷)にてFabCafe Tokyo ヒダジャック!の開催が決定しました。秋祭りで展開されたお酒や展示の一部もやってくるようです。是非チェックしてみてください。

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