KDDI総研セミナーで林 千晶が講演しました
「成長ではなく成熟を表す新しいインデックスが必要だと思うんです」
2012年1月24日、KDDI総研主催のセミナーで、ロフトワーク代表・林 千晶が講演しました。
テーマは「AI(アフター・インターネット)時代のビジネスデザイン」。
産業革命に匹敵する、「やさしい革命」
「最近、BIとAIという言葉をよく見かけるようになりました。紀元前後を表す、BCとADの境目にあるのはキリストの誕生ですが、BIとAIの境目にあるのはインターネットの誕生のこと。インターネットの登場によって、世の中の根本的な考え方やビジネスのルール、成功の仕組みが変わったのではないか…というのが、ビジネスの世界で語られていることです。
この、今起こっているAI(=アフターインターネット)の変化を、雑誌『広告』2012年1月号の特集では、"やさしい革命"と表現しています。まさに革命と言ってもいいほどの大きな変化が訪れています。インターネットが登場して10年以上経っちましたが、その変化はおそらく50年くらいかけて私たちの社会構造を大きく変えていくでしょう。それは産業革命に匹敵する大きな変化になります。血を伴うような革命ではないから「やさしい革命」。それが今、私たちの周囲で起きていることです。」
5つのキーワード
1 share(シェア)
・求められるのは「お金」と「好き」の両方を組み合わせたビジネス設計
・インターネットが無料のツールである時代は終わった
>>データ:シェアリングエコノミーの伸び
・情報のシェアに不可欠なクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC)
・"What’s mine is yours"の視点で考えたら、あなたのビジネスに何が起こるだろうか?
2 diversity(多様性)
・多様性は国力にも企業の利益率にも影響する
>>データ:the atlas of economic complexity
・ブロックと同じ。どれだけ複雑でおもしろいピースを持っているか
・日本は「阿吽の呼吸」のカルチャー。同じ方向を見ることで上がるスピードを重視してきた
・しかし、多様性がなければ新しい発想やイノベーションは生まれない
3 agile(敏捷さ)
・BI時代のビジネス設計は野球、AI時代はサッカーの感覚でなくてはいけない
・スピードを上げ、発想を広げるためのブレストが必要・作りこみすぎない企画書で提案サイクルを短くする
・MVP(Minimum Viable Product=必要最小限だけど動くもの)こそ重要
4 sustainability(持続可能性)
・理想の未来から逆算するバックキャストという考え方・エコロジー意識の時代に生まれた「エコジレンマ」という矛盾
・本質的な持続可能性を考える時代がきた
・企業目標に社会をよくしたいという視点がないと本質的なマーケティングはできない
5 creativity(創造性)
最後に、すべてのキーワードを束ねるときに必要なのがcreativity。diversityを重要視し、agilityを高め、sustainabilityな社会のために貢献し、shareしていく。それらすべてを束ねるには、creative mindがないとできない、だからcreativityが重要になってくる。
これからインターネットによっていろいろな問題が可視化され、インターネットが問題を生むのではなく、インターネットによって新たな問題や価値の根本からの問い直しが必要な中で、creativityを持ってnew potential(=新しい可能性)を追求していけたらいいと思う。
成長ではなく成熟を表す新しいインデックスを
以上、5つのキーワードを紐ときながら、林はAI時代のビジネスデザインに不可欠な「新しいインデックスの必要性」を提示しました。
「私はKDDI総研の、これから未来はどうなっていくのかを考える、『Vision2020』『Action2015』という研究会で、『もう成長の指標を捨てませんか』という話をして物議を醸しました。つまり、GDPなど成長を前提とした指標を見ると、今の経済は全てダメ…と、思えてしまう。
日本はもはや成長期ではありません。成長ではなく成熟を表す新しいインデックスで世の中を見ると、質的な成長をしているところはたくさんあるが、過去の量的な成長を図るインデックスで見てもネガティブなことしか出てこないんです。だから、次は質を見て行きませんか?
今日ご紹介した5つのキーワードは、これから私たちが高めていかなければいけない新しいインデックスになるのではないかと私は考えています」