• 6
    4月
  • 有料
  • 東京

レポート掲載中

株式会社ロフトワーク 8階

5年後のWebベストプラクティスを創造するクリエイティブ・シンキング講座 開催レポート

2012年4月6日、ロフトワークは、「5年後のWebベストプラクティスを創造するクリエイティブ・シンキング講座」を開催。

これまで、個別の案件やユーザー会では数多くの実践的なワークショップを行ってきたロフトワークですが、オープンな場での開催は今回が初。昨年までプロジェクトマネジメントを強みとする「総合制作代理店」としてお客様をご支援してきたロフトワークですが、2012年、さらに進化すべく「イノベーションを実現するクリエイティブパートナー」になるというビジネスミッションを掲げました。単にプロジェクトを円滑に進めるマネジメントだけでなく、お客様と一緒に考えプロジェクトそのものをデザインしていく…。その第一歩として開催されたのが、今回のワークショップです。

当日は約20人の企業Web担当者などが参加し活発なディスカッションが行われました。ロフトワークからもアシスタントとして齋藤みのりが潜入!『IDEA HACKS!』など数多くの書籍を執筆されている、講師小山龍介氏が紹介する最先端のクリエイティブ・シンキング手法を徹底レポートします。

未来から俯瞰して創造する「デザイン思考」とは?

小山氏がアイデア発案において推奨しているのがデザイン思考。過去や現在を分析することから真実を追求する論理思考とは対照的で、デザイン思考は未来に軸をおき、まだ世の中に生まれていないモノを発想するのに役立ちます。

未来から俯瞰して創造する「デザイン思考」とは?当日は約20名の受講者に加え、ロフトワークスタッフも数名参加しました

ん?待てよ・・・。私たちは新しい未来を発想しようとするときに、デザイン思考ではなく論理思考を使っていないだろうか!?

小山氏

ビジネスにおいて発案を迫られるシーンで、なかなか先進的なアイデアが浮かばない理由が見えてきました。では、小山氏のいうデザイン思考は具体的にどういった方法でアイデアを引き出していくのでしょうか。それは、未来から学ぶ方法論である”U理論”の活用です。

koyama_ws_20120406_fixU理論 ―小山氏のセッション資料より引用―

[U理論とは]

デザイン思考において3つのプロセスを経て発想します。

  •  a. センシング
    目の前の事象や感じたことを単純化せずに、世界と一体化しながらそのままを感じとります。手段としては、対象となるユーザやシーンを想定しペルソナを設定。EMPATHY MAPで対象を観察します。
  • b. プレゼンシング
    瞬間的なひらめきをキャッチするために、内省します。手段としては、ブレインスト—ミングを利用。人の直感とは、その人の何十何百という経験値のデータベースから一瞬で算出される解である、といわれています。その直感を最大限に活かすことで、不確実性から生まれるイノベーションを得ます。
  • c. リアライジング
    未来が見えたらそこから素早く動き始めます。昨今、ラピッドプロトタイピングという言葉がよく使われるようになりましたが、仮説を元に試作品をできるだけ早く制作し、即時に検証していきます。

さて、U理論のフレームワークを理解したところで、ワークショップ開始です!

考えるんじゃない!やわらか~い頭で感じろ!エアコンの売り上げをWebの力で伸ばすには。

ワークショップは、事前に分けられたチームで実施。まずは、個性を明らかにするツール、ハーマンモデルを利用し各自「思考スタイル」をチェック。この分析は、チームメンバーの思考を理解することに有効でした。「”冒険的”要素が強いみたい!」「うちのチームは、”組織的”な人が多いので計画的に進みそうですね。」など笑い声も交え和気あいあいとした雰囲気です。

ハーマンモデルで自分の思考スタイルを分析ハーマンモデルで自分の思考スタイルを分析

「価値観が異なるメンバーとは対峙する可能性がありますが、こういったツールでお互いの理解を深め多様性を受け入れればより強いチームになる」と小山氏。

ハーマンモデルで自分の思考スタイルを分析自分の思考スタイルを名札に貼ったシールで識別します

空気も和んだところで、いよいよ今回の課題が発表されました。

 「ブランド力はないが技術力のあるエアコンの指名買いが増えるよう、他社に先駆けたWebサイトを作ってください

私たちは、エアコンメーカーのWeb担当。今までにないWebサイト制作を経営陣から指示されました。どうすれば注目が集まるでしょうか…?

a. センシング
まず手始めに、「未来に軸をおいた発想」の練習。「現在」あるWebサービスを挙げて、その「過去」と「未来」を書きこんでいきました。例えば「リコメンド機能」。現在あるリコメンド機能は、ユーザが閲覧・購入した商品から志向を分析して、興味を持つ可能性が高い商品を表示して薦めてくれます。ユーザを特定せずにすべてが表示される「売上ランキング」の進化形と言えます。これに対し未来形としてあがった回答は「志向が近い友人の購入履歴によるレコメンド」。しかし、小山氏は「その機能は既にありますね」とバッサリ!小山氏が挙げた回答例は「アタック25式レコメンド」。企業がユーザに見てもらいたいはずのレコメンドをあえて隠すことで、ユーザに見たい!と好奇心を持たせ、よりゲーム感覚に近くするというものでした。一見、そんなまさか…と思うような飛躍した案ですが、新しい発想を生み出すデザイン思考では、これくらい飛躍したアイデアが求められるのですね。

ここから、本題。「25歳女性入社して3年、毎日終電まで働いているが美容へのこだわりが強い」など、年齢性別だけでなく仕事や趣味嗜好まで細かく設定されたペルソナが各チームに与えられました。さっそくチームで、与えられたペルソナを観察していきます。使用するのはEMPATHY MAP。想像力を膨らませ、設定されたペルソナの言動や価値観をブレストで列挙していきます。

EMPATHY MAPEMPATHY MAPを埋めていきます

b.プレゼンシング
次に、詳細に観察したペルソナになりきり、「ペルソナが5年後にほしい価値」を直感的に出していきます。まずは個人ワークでできるだけ多く書き出し、その後、チームブレストで出てきたアイデアをカテゴライズしました。

個人ワーク中5年後にほしい価値とは何か?思いつくままに書き出していきます

c.リアライジング
最後は、エアコン指名買いまでのストーリーを設定し、チームごとの発表の準備です。

ホワイトボードにまとめて、各チームから最終プレゼンが行われ、参加者の投票で最優秀チームが決定しました!

プレゼンテーション

栄えある1位は、25歳バリキャリ女子をターゲットとした「王子様☆エアコン」。3Dのイケメン王子が仕事に疲れた女子を癒す。ネットワークさえあれば、いつでもどこでも王子が貴女をサポートしてくれる!というWeb機能つきエアコンでした。私も指名買いしちゃいそう!

王子様☆エアコン優勝チームのホワイトボード

王子様☆エアコン優勝チームには小山氏から著書のプレゼント!

ここれではご紹介できない、他のチームの案も「アタック25式レコメンド」に負けない飛躍的なアイデアで、会場は大盛り上がりとなりました!既存商品をWebを使ってどのように指名買いをさせるか、というお題設定でしたが、皆さんがいうようにこれからはプロダクトとWebは連携してくるということに僕も気づかされました、と最後に小山氏はコメントされました。

ビジュアライズと具体案を武器に、ステークホルダーを動かす!

より多様的な側面から検証し、説得力を高めるためにも、このワークショップを3回繰り返すこと、と小山氏

リスク回避に秀でた論理的思考と比較すると、デザイン思考は成果の保証がしにくいという側面があります。より多様的な側面から検証し、説得力を高めるためにも、このワークショップを3回繰り返すこと、と小山氏。繰り返す過程において、メンバーを換えてみたり、方向性をより絞り込んだりしながら、見えてきたウィークポイントを重点的に検証。それでも同じ着地点に至るようであれば、かなり高い成果の保証ができるといえます。ロフトワークのプロジェクト初期段階にも、クライアントとこういった発案のワークショップを設けることで、プロジェクトの最終目標や新たなる可能性を探ることができるかもしれないと、改めて感じました。

デザイン思考は、論理思考では生み出すことのできない、ビジュアライズや具体案を創りだせることが最大の強み。未来のヒットを生み出すには、今からデザイン思考を根付かせステークホルダーを巻き込んだ未来創造へと舵をきっていくことが、成功の秘訣といえるのではないでしょうか。

今回のワークショップに参加し、ただ漠然と飛躍した意見を出していくのではなく、飛躍にあたってのベクトルや着地方法を事前に確認し合うことで、アイデアをより有効的なものへと進化させるのだと感じました。人が持つ直感を正しい方法で導くことで、誰も見たことがない素晴らしいアイデアへと成長させていくことができる。どうやら、宝の地図は私たちのひらめきのなかに埋もれているようです。デザイン思考という強力な磁石を手に入れれば、夢が叶うのも遠くないかもしれないですね。

コメント

blog comments powered by Disqus

次回セミナーのご案内

  • 4
    6月

MIT Media Lab CREATIVE TALK#2

MITメディアラボとアカデミーヒルズがコラボレーションしてお届けするCREATIVE TALKシリーズ。 2013年6月4日(火)第2回目の講座は、MITシビック・メディア・センターのディレクターで...

このイベントに申し込む

お申し込みを受け付けております。

MIT Media Lab CREATIVE TALK#2 Rethinking Civics in a Digital Age ~これからのデジタル時代の個人の力を考察する~