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ロフトワーク8階 イベントスペース

第三回ソーシャルエンゲージメント研究会~2012年の戦略を立てる編~

ソーシャルメディアをめぐるWeb担当者の悩みを企業の枠を超えて共有し、解決への糸口を探ろうと発足したソーシャルエンゲージメント研究会。株式会社良品計画/くらしの良品研究所コーディネーターの土谷氏を講師に、全3回のプログラムで構成された研究会もいよいよ最終回。第1回、第2回で考えてきたことをベースに、各社が具体化したコミュニケーション戦略とは?2012年4月10日に開催された第3回目の様子をレポートします。

[参加企業(五十音順)]
エースホーム、Z会、ネクスウェイ、明治大学、ロフトワーク

場当たり的にならないためにも先を見通した戦略計画が必要

全3回にわたって考えてきたのは、コミュニケーションを通じてどう売上を上げるかではなく、自社の価値をどう伝えていくのか、そのために何を表現していくのか。コミュニケーションの軸となる考え方を学んだ第1回、良質のコンテンツを生み出すためにアンケート設計に取り組んだ第2回。これらを総括する回となった第3回のワークショップは、具体的なコミュニケーション戦略への落とし込みが目標です。

土谷 貞雄氏

はじめに講師の土谷氏より、各社から事前に提出された宿題(アンケートの設問作成)のフィードバックがあり、いずれも完成度は確実に上がっているものの、まだまだ課題は多いとの指摘。やはり重要なポイントは、本人も気づかないような潜在的な欲求を聞き出すことであり、そのためには、誰に聞いているのか、その人の行動をどれだけ想像できるかが肝になります。

マーケティング 吉澤 瑠美

続いて、フィードバックを踏まえつつ今回の課題に取り組むにあたり、ロフトワークの吉澤瑠美がワークショップ内容を説明。主な内容は、各回で積み上げてきたことから具体的な戦略を導き出すための設計シートの作成です。吉澤は、「大義、キーワード、仮説、実際のアンケート、そして今回考えるコラムなど、各回で出てきたポイントがどうつながるのか。その相関関係を俯瞰できるシートになっています。先を見通したコミュニケーション戦略を立てるための基軸として役に立つはずです」と語りました。

 

1.大義を見直す

2.キーワード/大仮説を立てる

3.仮説を立てる

4.アンケートを作る

5.コラム展開を考える

6.イベント展開、商品・サービス開発を考える

設計シートについて説明をする土谷氏設計シートについて説明をする土谷氏

これを補足する形で土谷氏は、「アンケートも、コラムも、ものづくりも大事。今年一年間こんな風にやっていこうという計画がないと場当たり的になってしまう。その前提となる仮説は、小さくてもいいから常識の延長線上でないものにすること。普通はこう考えないだろうという線を探ってみてほしい」と強調。シートを短時間で完成させるのは難しいため、制限時間内に1レーン埋めることを目標に各社が作業に取り組みました。

2012年の戦略を立てます

<Z会>

Z会 伊豆蔵氏

[大義]
人の成長

[大仮説]
人は目標があると成長する、好きなもの・人がいると成長する

[仮説]
・親が期待する子の目標は本人の目標と反比例する
・目標を宣言すると成長する
・親が成長する姿を見せると子どもも成長する

[アンケートの設問]
・子どもが成長したと感じたときはどんなときか
・子ども成長したときに達成させたい目標があったか
・目標は親が決めるのかどうか(子どもと親の両方に質問)
・自分自身が成長したか(子どもと親の両方に質問)

[コラムのテーマ]
・目標の見つけ方
・子どもの成長スイッチはどこにある?
・親の勉強法

[イベント展開]
・子どものやる気の出るタイミングを測定するイベント
・目標をシェアできるようなイベントやサービス

[商品・サービスへの反映]
目標到達度を可視化できる仕組みやサービス

 

「Z会がやろうとしているのは、子どもの成長はどうして起きるのか、その仕組みを発見すること。わかりやすいのでうまくいくと思います。子どもに成長させるのではなく、親が成長することに子どもの成長のカギがあるという視点は興味深いですね。」(土谷氏)

着眼点を変えると新しい可能性がどんどん見えてくる

約30分間課題に取り組んだ各社は、その成果を順に発表。決して夢物語ではなく、実務に直結する計画とあって、各社とも説得力のある内容になりました。中でも完成度の高かった2社について、その概要を紹介します。

<明治大学>

明治大学 白石氏

[大義]
卒業時に明治大学で良かったと思ってもらう

[大仮説]
卒業時に「成長できた!」「可能性を見出せた!」と感じたとき、この大学で良かったと思ってもらえる。

[仮説]
・もっと厳しくしても、それに見合う成長や気づきや発見があれば、歯を食いしばって付いてくる
・親以外の他人に厳しくされたい、叱られたいという欲求が潜在的にある
・自分でやると決めたことをやりきったと実感したときに成長を感じる

[アンケートの設問]
・日本的な徒弟制度に憧れがあるか
・全寮制を素敵だと思うか
・一限の授業を週に何回取っているか
・1つの科目でレポートは平均何枚書くか
・学部の必修の講義以外に自主的にどんな講義を受けているか、学外でどんな活動をしているか

[コラムのテーマ]
滝行のススメ

[イベント展開]
滝行ツアー(※すでに座禅はやっている)

[商品・サービスへの反映]
エキスパートコースなど、今よりきついカリキュラムの実現

 

「土谷さんから、実は学生は厳しく突き放されたり叱られたりすることを求めているのでは?というアドバイスがあったので、どんなに今の学生がまじめなのかを定量化してみたいと考えました。」(明治大学 白石氏)

「まじめ度を定量化するのはとてもいい着眼点ですね。なぜかというと、社会や企業に発信すべき明治大学の学生像を見つけ出していくことになるからです。学生のモチベーションも上がるし、大学をブランド化することにもなる。本来人間には向上心がありますから、愛のある鍛え方ができるのであれば“厳しいけど未来がある”というイメージをメッセージとして伝えられるでしょう。まだまだ可能性がありそうだし、滝行のススメなんてコラム、私が書いてみたいくらいです。」(土谷氏)

成長もイノベーションも考えることも“書くこと”から始まる

各社が発表を終えたところで、土谷氏は全3回を総括するポイントとして、次の3つを改めて強調。 

 

1.売らない:まずは売りたい気持ちを抑えて、コミュニケーションとしてどうあるべきかを考える。

2.大義を考える:共感を得るためには明確なビジョンが必要。

3.新しい知がある:知らなかったことに気づいてもらう仕組みがないと面白くない。

 

さらに土谷氏は、モノを書くことの重要性に言及し、「成長もイノベーションも、考えることも、すべて書くことによってしか生まれない。コラムは書けば書くほどうまくなるし、書けば書くほど考える。考えた人はさらに考える。会社に戻って、ぜひ書くという第一歩を始めてみてほしい。その際は必ず締切を設定すること。この書くことのススメを私からみなさんへのエールとしたい」と語りました。

全員でワークショップ

全3回にわたるワークショップを経て、多くの学びがあったソーシャルエンゲージメント研究会。最後に、「自分たちの思いや考えをどう発信するかではなく、相手が聞きたがっていること、求めていることを伝える必要がある。そのためには、まず相手を知ることです。想像したり、実際に聞いてみたりして、伝えるべきことを深めていく。それがソーシャルエンゲージメントというテーマにつながるのではないでしょうか」と吉澤。

各社それぞれに課題を抱えつつも、本研究会への参加をきっかけに、大きな可能性を秘めた新しい一歩を踏み出すことになりそうです。

参加者のアンケートより

「3回の研究会、大変興味深く、何より楽しかったです。1回、2回目は思うようにうまくアンケートを設定できませんでしたが、3回目にしてようやく、教えていただいていることに近づけたと思います」
「すごく面白かったです!この研究会がきっかけで自分たちの考えがすごく深まりました
毎回、同じことに取り組んでいたのだなあと気づきました。そしてそれが土谷さんからのメッセージなんですね」

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