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MIT Media Lab(MITメディアラボ) 伊藤穰一 Joi
  • 10
    4月
  • 有料
  • 東京

レポート掲載中

アカデミーヒルズ49(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49階)

MIT Media Lab CREATIVE TALK #01

MITメディアラボ所長・伊藤穰一さんの「学び」考
〜「幼稚園で働き、変人が偉くなる世界」のつくり方〜

2013年4月10日、六本木アカデミーヒルズで「MIT Media Lab CREATIVE TALK」が開催されました。本イベントは、マサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボと、多様な先端テーマを共に考えて行く特別講座シリーズ。第1回目のゲストは所長の伊藤穰一さんです。

MIT Media Lab CREATIVE TALK #01 レポート

伊藤さんが提示したテーマは、「“教わる”のではなく、”学ぶ”」。自身の「9 Principles」(※) にも登場する考え方を軸に、学びの本質とその未来について語り、議論し、考えました。特に印象的だった5つのトピックを、伊藤さんの言葉を交えながらご紹介します。

MITメディアラボ所長・伊藤穰一氏

※伊藤穰一さんは、BI(Before Internet:インターネット登場以前)からAI(After Internet:インターネット登場以後)を迎え、変貌した世界を、9つのプリンシプルで説明しています。そのひとつが、”Learning over education(教育より学び)”。

THE PRINCIPLES:Resilience over strength, Pull over push, Risk over safety, Systems over objects, Compass over maps, Practics over theory, Disobedience over compliance, Emergence over authority, Learning over education

1. 何歳の頃が一番クリエイティブだった?

「つくる」が中心にある、MITメディアラボ (CC by Ewan McIntosh)

「あなたが幼稚園生の頃を思い出してください。絵を描いたり、粘土をこねたり、“つくる”ことをしていましたか? では、現在はどうですか?」

5歳児は皆、自由にクリエイティビティを発揮しています。でも、「立派な大人」になると、クリエイティブなことからは離れてしまうーー。「私たちは、そういう“教育”を受けている」と、伊藤さんは言います。

Kindergarten(幼稚園)。それが、MITメディアラボが考える、最も刺激的な「学び」の場。ブロックに没頭し、友だちと喋りながら次々と発見していくように、ラボの研究者は手を動かし、創造と対話を繰り返し、学びを深めていきます。

2. 「教育」の仕組みはいつ生まれた?

所長就任時、「大学中退」という異色の学歴も話題になった

「現在の教育システムの根幹には、産業革命以降の価値観があります。生産効率を上げるため、時間を守り、皆と同じ行動をとることが重視されます」

しかし今、「皆と同じことが出来る」のは、本当に必要なスキルでしょうか? AI時代(After Internet:インターネット登場以降)、社会は急速に変化しています。重要なのは、指示に従って行動する能力ではなく、柔軟性と想像力。だから、クリエイティビティが大切なんです。

3. カンニングは悪いことだろうか?

3.11の1週間後に設立されたチーム「SafeCast」。専門家を含む、世界各地100名以上のボランティアが関わっている。

「テストでカンニングをすると先生に怒られますよね。“一人で何ができるか”が、現在の評価軸だからです。でも僕は、3.11直後にカンニングをしました。“一番できるやつ”に答えを求めたんです」

伊藤さんが例に挙げたのは、福島の原発事故を受け始まった、ボランティア・プロジェクト「SafeCast」。

「当時、僕はボストンにいて、家族は千葉県。情報も知識も無く、とても不安でした。だから僕はネットで呼びかけ、世界中の専門家と繋がりました。一週間後には放射能関連の膨大な知識が集まり、一ヶ月後にはオープン・ハードウェアのガイガーカウンターが完成し、各地で測定開始。SafeCastは、国よりも速く、世界各地の放射線量をオンラインで公開できました」

ひとりで考え続けるよりも、人や知識をネットワークし、素早く実行すること。重要なのは、「The power of pull(必要なときに引き寄せる力)」

4. 「先生」って誰を指すの?

伊藤氏が提示した学びの理想図。従来の学校教育(ACADEMIC)と並行して、個人の興味を中心にしたプログラム(INTERESTS)、インターネットを介した学び合いの文化(PEER CULTURE)が、柔軟で創造的な思考を育む。

「学ぶのに先生は必要でしょうか? そもそも“先生”とは誰を指すのでしょうか?」

伊藤さんの学歴は、大学中退。それでも、MITメディアラボの所長に抜擢されたのは、「自分なりの学びを重ねてきたから」だと言います。キーワードは、「Interest(関心)」。

「子どもにギターを買い与えた後、あなたなら、何をしますか? 多くの親は、子どものために”先生”を探します。でも今の子どもたちは、YouTubeであっという間に弾き方を覚え、仲間とSNSで教え合うんです」

学び合いのためのオンライン・コミュニティは、現在、無数に存在します。その参加動機は、純粋な好奇心。学位が欲しいからではありません。MITメディアラボでも「Learning Creative Learning」という、P2P(個人対個人)の学びを重視する無料のオンラインプラットフォームを開設しました。

「先生がいないと何もできない……というのは駄目。教師は、場のコーチであり、哲学を教えてくれる人。子どもにとっては触れる人全てが”先生”なのです」

5. システムを変える? ムーブメントを起こす?

会場とのトークセッションでは、ロフトワーク代表で所長補佐の林千晶がモデレーターを担当。

トークセッションでは、会場からのコメントや質問、提案が相次ぎました。特に意見が集中したのは、教育システムの問題です。それに対し、伊藤さんが提案したのは、「システムは変えなくていい」という方法論でした。

「現在の教育システムは、とても堅牢で、複雑で、変えがたいものです。だから、MITメディアラボでは、システムの外側で実験しています。アメリカの場合は、学校教育の時間が短く、家庭教育を認める制度もあるのでやりやすいんですね。

権威に対して運動を起こし、エネルギーを消耗するよりも、システムの外側で自分がやってみること。小さくてもいい。変な人を集めて、ムーブメントを起こし、パターンをつくることが大事だと思うんです

六本木アカデミーヒルズもひとつの「学びの場」

「学校以外に興味を持つと反対されたり、親がやって欲しいこと以外は嫌がられたり。そもそもインターネット自体が危険視されていたり……教育システムの他にも課題は山積みです。

だけど、日本って“ちょっと変な人”は認められなくても、“宇宙人クラスの超変な人”は偉くなれる。不思議な国なんですよね。変な人、柔軟な思考の人、面白いアイデアを生み出す人……『変になってもいい』というライセンスはどうやったらもらえるのかなあ。そんな"外側”のアイデアを考えてみることに、ヒントがあるのかもしれません」

幼稚園のような場所で働き、そして“変な人”が活躍する世界。ワクワクする未来のヒントは、「学びのデザイン」にあるようです。これからも「MIT Media Lab CREATIVE TALK」では、MITメディアラボ・メンバーによるセッションが予定されています。お楽しみに。

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