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Experience Design 2014 開催レポート
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六本木アカデミーヒルズ

Experience Design 2014 開催レポート

商品やサービスそのものの価値を高めるだけでなく、その商品やサービスを使うユーザの体験に主眼を置いたユーザ・エクスペリエンス(UX)やユーザの体験と企業全体のビジネス成果に主眼を置いたカスタマー・エクスペリエンス(CX)のデザインに注目が集まっています。ロフトワークは2014年3月12日、この2つの現在と未来について考えるイベント「Experience Design 2014」を開催。新しい顧客体験を生み出すためのヒントを求めて予想を上回る参加者が集まりました。午後にはワークショップ形式の分科会も行われ、気づきに溢れた有意義な一日となりました。

ユーザ視点での体験のリデザイン

株式会社ロフトワーク 代表取締役 林 千晶

オープニングスピーチの冒頭で、「昨今の企業は、新しい体験を生み出さないと市場では戦えなくなってきている」と指摘するロフトワーク 林千晶は、新しい体験を考えるにあたり、自社のサービスやプロダクトからではなく、ユーザ視点で体験をデザインし直すことの重要性を強調。

また、そこには劇的に進化しているテクノロジーの存在が欠かせないとして、「10数年前には夢物語だったものが現実のサービスとして実現できる時代になってきた。つまり、これまでの体験をデザインし直そうというときに、そこには大きな可能性が広がっているということ」と語ります。

今回のイベント自体も「カンファレンス」という体験をリデザインしたものであり「よくあるプログラム構成ではなく、自ら参加することで得られる体験を、どれだけ高められるかという観点で設計した」と林。午後にはワークショップによるインタラクティブセッションが用意され、午前中のトークセッションでの話を自分なりに解釈し、他の参加者と共有し、理解するという流れでエクスペリエンスデザインを考えていきました。

frogの実践するエクスペリエンスデザインとは?

frog Executive Creative Director Mr.Brandon Edwards

キーノートスピーチに登場したのは、世界屈指のデザインファームfrogでエグゼクティブクリエイティブディレクターを務めるBrandon Edwards氏(以下、ブランドン氏)。同社が実践するエクスペリエンスデザインについて解説しました。公共施設のデザインからスタートした背景を持つブランドン氏は「エクスペリエンスデザインも建築から学べるところは多い。それは発明の概念です。両者には“未来を設計する”という共通点がある」と指摘。

ブランドン氏セッション資料より

いずれも中核にあるのは“今までにない新しいものを創り出すこと”。建築では、古代から現在まで「今までにない新しいものの創造」を繰り返してきているが、重要なのは何千年のときを経てもなお圧倒される何かがあることだとブランドン氏は説明します。また、「我々は人類の体験を高度化することに注力している」として、エクスペリエンスの次の時代を考えるとき、またその可能性を考えるとき、次の3つを実践していると説明します。

エクスペリエンスデザイン―ブランドン氏が注目する3つのコンセプト

    1.ダイナミズム
    デザインするものにはダイナミズムがあるべき。frogでは、新しい製品やサービスについて、最初の10秒にはどんな感じがするだろう?10分経ったらどんな感じに変わるだろう?10週間後は?10ヵ月後は?と10刻みで考える「10の規則」を実践している。
    2.共生
    自然界にある共生の概念をプロダクトを生み出すプロセスにも応用。他にどのような影響を及ぼすのか、どんな反応を創り出すことが出来るのかを考え、何と共生するのか?共生する相手の特徴は何か?を突き詰める。
    3.システム
    ますます複雑化する膨大なデータへの対応が不可欠であり、複雑なものをシンプルにする上でテクノロジーの活用が重要なカギを握る。技術者をはじめ、デザイナー、ビジネスの関係者、さらには最終顧客にもきちんと理解でき、使ってもらえるものにすることが大事。 

 

さらに詳細なプロセス、メソッドも紹介されました。

エクスペリエンスデザイン―2つのメソッド

    [フェーズ1] 戦略・ビジョンを考えマッピングを行う
    ・誰のためにデザインするのかを念頭に置き、仮説を立てる。
    ・現場に出向いてリサーチする・カスタマージャーニーマップを使ってタッチポイントのマッピングを行う。
    ・実現可能性だけでなく、ビジネスとしての継続性までを見据えたコンセプトを模索する。
    ・必要なパーソナリティやスキルを持った人を集めてチームビルディングを行う。
    [フェーズ2] 最初のアイデアを有形なものにする
    ・アジャイル/リーンなメソドロジーを採用する。
    ・2週間単位でプロジェクトを振り返り、タスクを見直す。
    ・確実性が低いところからプロトタイプを始める。
    ・先に述べた「10の規則」を使って反復しながら検証する。

 

最後に紹介されたディズニーランドの成功事例が、こうしたアプローチで広がる可能性を強く印象づけていました。

うれしい未来って何?これからは、全社員がUXデザイナーに

千葉工業大学 デザイン科学科 教授 山崎 和彦氏

プロダクトデザイナーとしての経歴を持ち、現在は千葉工業大学デザイン科学科にて、HCD(人間中心設計)などを通じた製品、情報、空間、サービスにおける「体験」のデザインを研究する山崎和彦氏は、戦略の重要性について考察。UXにおける戦略とは、「UXのビジョンを描き、実現化のためのロードマップを作ること」であり、具体的には次のようなアプローチが必要になるとします。

みんなにとってうれしい未来をUX視点で描く

未来を描いていれば、必ずそこに向かっていく。ただし、企業の未来を考えるにあたっては、最終顧客だけでなく、社員にとってもうれしい未来を考えないと片手落ちになる。

時間軸でユーザの体験をマッピングする

時間軸でユーザの体験やユーザにとっての価値を考え、ロードマップに入れていく。ユーザ中心のロードマップからあるべき姿を視覚化していき、それをどういうステップで実現していくかを考え、技術ロードマップと刷り合わせていくことが大事。

    ユーザ中心のロードマップの作成手順
    1)対象ユーザの設定
    2)対象ユーザごとの現状のエクスペリエンスシナリオの定義
    3)対象ユーザごとの未来のエクスペリエンスマップ作成
    4)対象ユーザごとの時系列を考慮したロードマップの作成

     

    「とはいえ、うまくいかないケースも多い。会社のフレームを見直さない限り、UXという考え方を小手先だけで導入しても活用できないからです」と語る山崎氏は、今までの組織のやり方や意識を変えるトランスフォーメーションが重要だと強調。そこで、これまでの状況を違う視点で捉えるリフレーミングの手法が紹介されました。

    既成の枠から外に出て考えるリフレーミング

    山崎氏セッション資料より

    リフレーミングの手法例

      リードユーザ
      敢えて極端なユーザに着目して、そこから新たな視点を得る。
      体験ワークショップ
      自分が体験するだけでなくチームと一緒に体験する。自分と違う視点になってみることが重要。みんなで発想したほうが新しい発想が生まれる。
      体験プロトタイピング
      ユーザが体験することを感じられるような状況を作る。
      外部とのコラボレーション
      社内だけで考えていても新しい発想ができない。社内よりも社外、さらにはグローバルな視点が入るとなお良い。

       

      「タッチポイントは各々の社員に存在するわけでなので、プロダクトやサービスだけでなく、組織や仕組みも含めてUXをデザインしていかないと、お客様にとって本当に満足のいくタッチポイントは実現できない」と山崎氏。「全社員がUXデザイナーになることがポイント」という言葉が、これからのUXを考えるヒントになりそうです。

      Event Information:Pepper開発現場にみる、理想のユーザ体験を創るデザインプロセスを学ぶ

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