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XPD2015 SPRING - Report  -
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レポート掲載中

六本木アカデミーヒルズ

XPD2015 SPRING - Report Part2

無知を知り、ターゲットユーザーと同じ思考プロセスになる

VAIO株式会社の伊藤好文氏は、2月16日に発表された新生VAIO「VAIO Z Canvas」の商品開発プロセスにフォーカス。クリエイターを重要なターゲットに据えるVAIO Z Canvasは、パフォーマンスを理由にデスクに縛られているクリエイターを解放し、いつでもどこでもプロレベルの創作を可能にすることを目指した商品です。その実現に向けて、同社は商品化プロセスを変えることに挑戦したのです。

VAIO株式会社 マーケティング・セールス&コミュニケーション部 商品プロデューサー商品企画担当ダイレクター 伊藤 好文氏

従来の開発プロセスとの大きな違いは、試作を公開してチューニングするプロセスを入れたこと。クリエイターと一緒に仕様を詰めていくと同時に、長期モニタリングも実施しました。「一回のヒアリングでは本当のニーズはつかめない。その人のワークフローや価値観、ライフスタイルも含めて認識することが大事」と伊藤氏。

商品化プロセスの違い

さらに、「作る人と使う人の対話は大事だが、それ以上に大事なのは、ターゲットユーザーと同じ方向を向けるようになること、もしくは同じ思考プロセスになること」だと強調。VAIO Z Canvasの開発においては、ターゲットユーザーと同じ思考プロセスになることで、 ユーザーの潜在ニーズにまで応えていくことができる。 ただ聞いたものを反映するのはなく、それを超えた提案ができます。

例)
●フォトグラファー視点での体験価値
Adobe Creative Cloudが快適に動き、美しいだけでなく正確な色のディスプレイを装備し、打ち合わせの場で修正ができる。
●イラストレーター視点での体験価値
視差および質圧感知により、まるで紙に描くかのように新しい創作表現が可能になる。
●漫画家視点での体験価値
デジタル機器を外に持ち出して構想を練り、ラフから色入れまでが軽快に行える。

「プロトタイプを公開することによって、我々自身が見つけられなかったチャンスが発見できる」と語る伊藤氏は、最後に、共創のプロセスに必要なことを次の3点にまとめました。

“共創”のプロセスに必要なこと

[共創のプロセスに必要なこと]

  • 無知を知る。
    作り手はクリエイターのことを知らないし、使い手はPCがどうあるべきかなど考えていない。お互いをよく知らないということを認識した上で、プロフェッショナルとしてできること考えていく。意図しない要求が出てきても、まず自分が無知であることを自覚した上で、そこを追求していくことが重要。
  • 量だけではダメ。深さが必要。
    最初のフィードバックと、2ヵ月後のフィードバックでは異なってくる。使っていくことによって、より深いところにあるニーズを拾い上げることが可能になる。
  • 向き合う→同じ方向を向く。
    同じ方向を向き、同じ思考プロセスになる。そのためにも、1)と2)が重要になってくる。

休憩時間に参加者の注目を集めた、5月発売予定のVAIO Z Canvas。

わからないことをわかるようにしよう

新しい体験を生み出すためには何が必要なのでしょうか。ロフトワークの棚橋弘季は、「最初はわからなくて当然。“わからないこと”にいかに向き合えるかが重要」として、「デザイン思考やサービスデザインといったツールはうまく使えば役に立つが、わからない状態で使うとツールに振り回されてしまう。どんなチャレンジをすべきかを明確にした上でツールに頼ること」と指摘。

ロフトワーク イノベーションメーカー 棚橋 弘季

そこでまずは、どういう体験を作っていくのかを探る作業が必要になります。たとえばフィールドワークなら、実際に現地に足を運び、顧客の行動を観察し、顧客の気持ちに共感できる状態を作ることになります。ただ、現場に行けば謎が解けるかと言えば、そうではありません。集めてきた情報を分類したり整理したりしながら意味づけしていくプロセス、すなわち、文脈をひもといていく作業が重要になります。

「集めて、並べて、ストーリーを組み立てていく編集作業のようなことを通じて、自分もわかるし、相手にも伝えられるようになる。カスタマージャーニーマップもそう。顧客の行動の流れを視覚的に配置することで物語を作っている。一方で、ワークショップのようなイベントで、まさに体験を通じて伝えていく、わかってもらうことも必要になってきている」と棚橋。

また、体験をデザインしていく上では、さまざまな商品やサービスの効果的な組み合わせ“間のデザイン”を考えるのもポイントです。とはいえ、そこでも“わからないこと”の繰り返し。“わからないこと”のマネジメントが今の課題だと指摘する棚橋は、「業務ならPDCA、プロジェクトならPMBOKなどがあるが、イノベーションの場合は不明瞭な部分が多いため、リーンスタートアップなどの手法が出てきている。他の人が“わかる”状態を作るために、こうしたことを実践していく必要がある」と説明しました。

ワークショップで実践!体験をデザインしてみる

セッションパートが終了したところで、ライブパーソンジャパン株式会社の花田敦志氏、株式会社インテージの三浦ふみ氏、株式会社岡村製作所の遅野井宏氏の3名より、このあとに予定しているワークショップの内容が紹介されました。

ライブパーソンジャパン株式会社 花田 敦志氏(左)株式会社インテージ 三浦 ふみ氏(中)株式会社岡村製作所 遅野井 宏氏(右)

Workshop1:リアルとデジタルのエクスペリエンス(ライブパーソンジャパン株式会社)

自分自身がお客様として体験したことで、嬉しかったこと、嫌だったことをその理由と共に提示し、その体験を自社のサービスとして改善するためには何をしたらよいか、チームでアイデアを出し合う。「本日は営業要素を極力排除して、リアルとデジタルのエクスペリエンスについて考えていく。自分のお客様と同じ方向を向く体験をしていただけると思う。」(花田氏)

Workshop2:リサーチ活用による顧客体験の創出(株式会社インテージ)

何千何万というデータをすぐに取得できる世の中になり、得られたデータから、どうインサイトを読み取るかが重要になってきている。そこで、よりよい顧客体験を創出するためのリサーチについて一緒に考える。「お客様が何を考えているのか、顧客体験をよりよいものにしていくためには、どこに課題があり、改善の余地があるのか。リサーチを活用して御社の顧客体験をひもとく方法を見つけていきたい。」(三浦氏)

Workshop3:ゆるやかなつながりから生まれるイノベーション(株式会社岡村製作所)

3人1組のチームで、自社にとって当たり前でも他社にとってはスゴイことを洗い出してもらい、それらを組み合わせることで提供できる新しい体験を考える。「自社と他社をゆるやかに接続し、中の情報を適度にオープンにしながら新しいイノベーションを起こしていくようなワークショップにしたい。」(遅野井氏)

各社のライトニングトークをうけて、参加者は各ワークショップルームに移動し、それぞれのテーマで、体験のデザインに取り組みました。

各テーマ別にワークショップを実施。体験のデザインを体感

オープンに向き合うと、次の新しい体験が見えてくる

ワークショップ終了後、花田氏、三浦氏、遅野井氏が、各会場の様子と成果を報告。「面白い意見や斬新なアイデアが出て、気づきにあふれていた」(花田氏)、「エクスペリエンスにリサーチが貢献できると確信した」(三浦氏)、「最初のワークから熱くなった。これを機に、自社や自組織に対するエンゲージメントが深まったと思う」(遅野井氏)など、いずれも実り多きワークショップだったようです。

各会場のワークの様子と成果を報告

すべてのプログラムを終え、クロージングスピーチに立ったロフトワークの代表取締役社長の諏訪光洋は、「販売促進のためのマーケティング以上に、体験ときちんと向き合うのは大変。対話を重ねたり、現地に足を運んだりなど、時間もかかるし、フィードバックを受けて、否定をダイレクトに受けることも大事になる」と説明。その上で、「体験と向き合う方法はいろいろあるし、一つの会社、一つの部署だけでやる必要はない。顧客と一緒に作っていくこともある」として、今日の場がその一つであることを強調。ここでのゆるやかなつながりから、次の新しい体験が生まれる日がくるかもしれません。

ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪光洋

Event Information:Event Information:XPD2016 SPRING - Data x Design -

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