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未来をデザインする vol.6 Insurance & Technology -システムデザイン思考で考える新しい保険イベントレポート(前編)
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MONO

未来をデザインする vol.6 Insurance & Technology -システムデザイン思考で考える新しい保険イベントレポート(前編)

未来をデザインする vol.6 Insurance & Technology -システムデザイン思考で考える新しい保険イベントレポート(前編)

「未来をデザインする」と題したロフトワークのシリーズイベント第6弾が、2016年8月3日~4日の2日間にわたり、東京都江東区にあるコワーキング・スペースMONOで開催されました。​
第4回に続きアクサ生命保険株式会社の協賛開催となった今回は、不確実性の高い未来をバックキャストで考えていきながら、システムデザイン思考の技法を使って新しいサービスを創造していくという内容。「保険」というテーマに対して異業種・異職業の参加者がグループを作り、それぞれにアイデアを出し合いました。
今回はこちらのワークショップの様子を、参加者のひとりであるタムラカイ氏による参加者目線のレポートを前後編に分けてお届けします。

前編は東北大学名誉教授で合同会社 地球村研究室 代表でもある石田秀輝氏のキーノート・スピーチから「バックキャスト思考」について、後編でワークショップの全容をご紹介します。

特に石田氏によるKeynoteは「Webで調べてもきちんとバックキャスト思考について解説されたものがない」とのことで大変貴重な内容です。

レポーター自己紹介

こんにちは。
今回のレポーターを担当させていただくタムラカイと申します。

普段はインハウスデザイナーとして働くかたわら、ブログによる情報発信、ラクガキコーチと名乗ってのワークショップ開催や書籍の出版、最近は議論や共創の場を「描く」ことで活性化するグラフィックカタリストという肩書きでレコーディングやファシリテーションを行っています。

仕事柄「オープンイノベーション」という概念に興味を持っており、以前ロフトワーク主催のワークショップに参加した際に大変刺激を受けて今回のイベントへの参加を決め、同時に体験レポートも担当することになりました。

今回のテーマは「新しい保険」

本ワークショップの特徴は、イベントタイトルにもある「システムデザイン思考」です。ここでいう「システム」はITシステムのような単独のものではなく、「技術システムのデザインから、組織のデザイン、コミュニティのデザイン、経営や政策のグランドデザインまで、あらゆるシステムにおける構想提案、ソリューション提案」も含みます。

不確実性の高い未来を「バックキャスト思考」で検討し、様々な要素がどのように関連するかを「システムデザイン思考」で考えながら、新しいサービスを提案するというのがこのワークショップの大枠です。

そこで今回のテーマである「新しい保険」です。テクノロジーの進歩、地球環境の変化など、様々な要因でこの先今までになかった保険が生まれることが予想されます。
IoTをはじめ様々なテクノロジーが進歩し、様々なセンサー情報や遺伝子検査のデータを使うことで保険は大きく変わる可能性もあります。

これらを踏まえ、今回はSTEP1「未来を想像する」、STEP2「新しいサービスを創造する」、STEP3「新しい保険(を再発明/再定義/創造)する」という3STEPで進めていくプログラムとなりました。

「新しい」とは何か。「保険」とは何か。なにげなく見える今回のテーマの深さに参加者の顔つきが少し引き締まったような気がしました。

Keynote 制約のある未来を豊かにするためのバックキャスト思考

第4回と同じくイベントは東北大学名誉教授で合同会社 地球村研究室 代表でもある、石田秀輝氏のキーノート・スピーチでスタート。石田氏は25年間企業に勤める中で一度は「環境と成長は両立しない」との結論を出すも、このままではものづくりが衰退してしまうという危機感から東北大学に進み研究を行い「ものづくりの原点とはライフスタイルを作ること」という考えに至ります。

この考え方を支えるのが、バックキャスト思考です。

「バックキャスト思考」とは、理想の未来を描き逆算で現在からの方策を考えるもので、これにより規定路線ではない新しいやり方を見つけるというアプローチです。これに対し現状分析や過去の統計データの延長で未来を考えることを「フォアキャスト思考」といいます。

ただここで注意したいのが「未来から考える」と言っても、そもそもの目指す方向性が間違っていては意味がないということです。

2045年には人工知能が人間の知能を超える、いわゆる技術的特異点(シンギュラリティ)に到達すると言われています。再生医療の発達、自動運転、仮想通貨など様々な変化が起き始めていますが、このような世界が人や社会にいい影響をもたらすのか論理的に言える人がいないことが現状です。
誰も判断できないから、ただただひた走ってしまう、しかしこれは右肩上がり成長が前提だった産業革命時代の思考パターンであり、そのような前提はすでに破綻していると石田氏は指摘します。

そのためバックキャスト思考で描く未来には2つの限界を考慮する必要があります。
それが「外的限界、地球環境の劣化」と「内的限界、物質的消費欲求の限界」です。現にこの2つの限界が社会の閉塞や、少子高齢化の原因になっているとのことです。

1.地球環境の限界

地球環境の劣化には「資源、エネルギー、生物多様性、水、気候変動、人口、食料」という7つのリスクがあります。

エネルギーを例に出すと、成人男性が生きるために必要なエネルギーは2,400kcalと言われています。しかし日本人が実際に1日平均で使っているエネルギーは127,000kcalと実にその50倍に上ります。これは例えば移動の際に歩くか、自転車を使うか、車を使うか、などの要因で大きく変わってくるのです。

人間は快適性や利便性を追求して様々な技術を発展させてきました。一方でそのことが地球環境に大きな負担をかけているのも事実です。ただ、私たちは一度手に入れてしまった利便性を手放せないという業を抱えています。

我慢が解決するのであれば法律で縛ってしまえばいい。でもそれでいいのか。ワクワクドキドキを与えることが、これから企業にもとめられる役割、存在価値である」と石田氏は言います。

2.物資的消費欲求の劣化

「物を欲しがらない若者、売れなくて困る時代」などと言われているが、普及率100%を超えて売れるはずがなく、原因は次世代の価値観が見えていないことだと石田氏は指摘。

さらに、「日本人の86パーセントが将来に対して不安を感じており、この割合は新成人で90.9パーセント、中学生で66パーセントにもなる」と続けます。言ってしまえば大人が若い世代に夢が与えられていないのです。

資本主義社会が生み出した個の肥大化

「1970年代以降、この2つの限界の背景にかつてあったアニミズム型の社会構造が資本主義に進み、個(人)が共同体や自然から離脱し個の肥大化が進んだことがあげられる」と石田氏。

その一例として「エコ・ジレンマ」という言葉があります。テクノロジーやサービスが個の中で完結してしまい、エコテクノロジーが導入されてもCO2排出量は減らず、結局はただ大量生産・大量消費の免罪符になってしまっているという現象のことです。
これは典型的なフォアキャスト思考で、本来エコテクノロジーは、ライフスタイルを変えるべきもののはずです。

つまりフォアキャスト思考は地球環境と豊かな暮らしが天秤にかかっている状態。その典型である省エネ、節水、節電はただの我慢でしかなく、多くは長く続きません。

バックキャスト思考は制約の中でどうワクワクドキドキ豊かに生きるかを考えること。「制約のない思考はバックキャストにならない」と石田氏は強調します。

ポスト資本主義の新定常化社会を目指して

「考えなければいけないのはポスト資本主義の新定常化社会。しかし、今更アニミズム型の社会には戻れない。これを知った上で次の社会をどう描くかが求められている」とさらに続けます。

このような状況で石田氏は新たな取り組みとして「物々交換やフリーマーケット、自転車ブームなど徐々に予兆が現れてきている。フォアキャスト思考の人がバックキャストの未来をのぞけるように、予兆分析を始めている」と石田氏が手がける事例を紹介しました。

依存型ライフスタイルと、自立型ライフスタイルの「間」

現在の依存型・完全介護型のライフスタイルと、自立型・自給自足型のライフスタイルの間に「間(ま)」がある。石田氏曰く「ここが宝の山であり、それをどう埋めるかという『間抜けの研究』をしている」とのこと。

最後に「ワークとライフがオーバーラップし、1、2、3次産業という枠を外して先に何が見えてくるか、制約のある未来の豊かな生活をぜひバックキャストで考えてみてください」とアドバイスしました。

深く濃い石田氏のお話はもちろんすぐさま理解できるものではなかったものの、これまでなんとなく聞いたことがあった「バックキャスト思考」に足りなかったもの、その上で私たちが考えなければいけないことのヒントが散りばめられていました。

このインプットを受けてどのようなアイデアが生み出されたのか、ワークショップの内容や見どころを知りたい方は後編をお楽しみに!

ー 後半に続く

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