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オープンイノベーションを促進させるアワード活用:loftwork Project Guidanceレポート
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オープンイノベーションを促進させるアワード活用:loftwork Project Guidanceレポート

オープンイノベーションを促進させるアワード活用:loftwork Project Guidanceレポート

2017年6月27日、「オープンイノベーション」をテーマにしたloftwork Project Guidanceを開催。近年さまざまな企業で導入されているオープンイノベーションは、成功事例がある一方で、ともすると手段が目的にすり替わってしまいがちです。今回のガイダンスでは、アワードと連携したヤマハの共創プロジェクト事例を振り返ることで、改めて企業がオープンイノベーションに取り組む意義について考えました。

オープンイノベーションを加速させる13の施策

ロフトワーク プロデューサー 松井創

前半はプロデューサー松井創が、ロフトワークの取り組む「企業の新しい価値創造」について解説しました。冒頭で、ロフトワークの取り組むイノベーションは目的ではなく、新しい価値創造のためのひとつのプロセスであると再定義。

「イノベーションは企業が新しい価値を創造するための事業を、急激に飛躍させる瞬間に効力を発揮します。進化論にたとえるなら、突然変異の起爆剤に近い役割を持つのです」と強調しました。

イノベーションはあくまでも、新しい価値創造のための一つの手段

新しい価値を生み出すための一つの手段として、オープンイノベーション(共創)のポイントについても触れました。

オープンイノベーションは、大企業が外部のスタートアップやクリエイターと連携することにより、ノウハウや人材を柔軟に行き来させ、イノベーションを加速させる取り組みです。具体的に必要な施策は、下記の図版に示されている13項目。

その中で最も大切なのがコミュニティの在り方です。「コラボレーションしたい相手と作るコミュニティ像が、どうあるべきなのかを考える必要があります。最近ハッカソンでの共創が非常に盛り上がっていますが、往々にして手段が目的化しがちで、何のためにやるかがはっきりしない事例もあります」と松井は指摘しました。

オープンイノベーションに必要な13の施策。

インキュベーションからコミュニティづくり、外部への発信など、持続可能な事業体を作るためには、人や情報が循環するエコシステムを機能させることが不可欠です。ロフトワークは、オープンイノベーションを促進し、価値の高い成果物やその先にあるインパクトを生み出すために、アワードを活用しています。

ヤマハとの共創プロジェクトで、なぜアワードを導入したのか?

松井は引き続き、ヤマハと取り組んでいる共創プロジェクトをケーススタディに、アワードの価値について解説。オープンイノベーションにアワードを活用することで期待される効果は、下記の3つです。

2014年から2015年の2年に渡って、ロフトワークはヤマハと「新しい演奏体験をデザインする」というテーマで、ハッカソンと演奏体験を融合させた「Play-a-thon(プレイアソン)」を実施。
Play-a-thonではデザイン思考をベースに課題解決型のアプローチでプロトタイピングを進めました。

しかし、ユーザーの課題や技術が先行し、“何のために作るのか?”や“社会にどの様なインパクトが残せるのか?”など、新しい価値創造に必要な視点が弱いという課題が明らかになりました。

このような背景から、2016年に取り組んだ新しいプロジェクトでは、社会や文化に与えるインパクトと新しい価値創造のために必要な「なぜヤマハが共創に取り組むのか?」というPOV(Point of View)創出と価値発見をチャレンジポイントに設定。

さらには、FabCafeが主催するグローバルアワード「YouFab Global Creative Awards(以下YouFab)」とヤマハのコラボレーションを提案。具体的な施策としてヤマハ特別賞を設置して、世界中から既存の価値観にとらわれない自由なコンセプト(社会的な問い)と作品表現を募りました。

YouFabでは、アワードを下記の4つのフェーズで進めています。

YouFabのプロセス。設計、募集・プロモーション、審査、アウトプット活用の4つのフェーズで進行している。

ヤマハ×YouFab ─ コラボレーションの背景

後半はヤマハ株式会社の畑紀行さんと、ロフトワークの鈴木真理子が登壇。ヤマハのオープンイノベーション戦略と、YouFabとの共同事業について解説しました。

ヤマハ 研究開発統括部新規事業開発部VAグループ 畑紀行(左)/ロフトワーク PR・YouFabディレクター 鈴木真理子(右)

最初に登壇したのはヤマハの畑さんです。彼はヤマハに入社して10年近く電子楽器の部署を経験した後、15年前から新規事業に取り組んでいます。近年は、同社の神谷泰史さん(現在海外留学のため休職中)と共にデザイン思考を取り入れながら、イントレプレナーのプラットフォームを社内に作り外部との共創を進めてきました。しかし、やがてそこに限界を感じます。

「デザイン思考は人の困りごとを解決するソリューション型のアプローチです。しかしヤマハは、もともと問題解決型の会社ではない。むしろアートのような、見た瞬間はよく分からないけれど、欲しいと思わせたり感情を揺さぶるものを作ってもいいのではないかと思いました。そこで、ユーザーの課題からスタートするデザイン思考よりも、もう少し未来からアプローチするアート思考を取り入れたチャンレンジをしました」と、自身の実践から感じた課題と、YouFabとのコラボレーションの背景を語りました。

YouFab ヤマハ特別賞「エモーションのスイッチ」とは?

次に、YouFab ディレクターの鈴木がアワードの概要を「YouFabはデジタル(情報世界)とフィジカル(物質世界)を横断する創造性と可能性を表彰するのグローバルアワードとして、FabCafeのネットワークを使い世界中から作品を募集しています」と解説。

ソリューション型のアプローチではない、新しい共創プラットフォームを作りたいという畑さんの想いを受けて、ロフトワークはYouFabとヤマハのコラボレーションのゴールを3つ設定しました。

1.ヤマハだけでは創出しづらい新しい価値創造のシーズ(問い)を共創プラットフォームを通じて発掘すること
2.社会的な価値創造を目指すクリエイティブ・クラスターとの共創を通じて、将来の事業パートナーを獲得すること
3.新規事業のインキュベーション・アクセラレーションに繋がるアイデアと人材を社内外から発掘すること

YouFab 2016「ヤマハ賞」の募集テーマは「エモーションのスイッチ」。ヤマハのスローガン『感動を・ともに・創る』にも通じるコアコンセプトと、人の心を揺さぶるその瞬間を「スイッチ」と名付け、心が動く瞬間を作品として表現するという試みです。

このコンセプトはFabCafeのグローバル拠点を通して世界各地にも共有され、結果的に147作品が27カ国から集まりました。その中からヤマハ賞を受賞したのは、文字を読み上げることで失読症の人をサポートをする眼鏡「OTON GLASS(オトングラス)」。

さらにヤマハは自社がヤマハ賞として選定したOTON GLASSへのアンサー作品として「emoglass」のプロトタイプを自社で開発し、双方の作品がインスパイアを与え合うという新しい形での企業とクリエイターのコラボレーションが実現しました。



この一連のコラボレーションを通して畑さんは「オープンイノベーションにおいて一番大事なのは、何のためにやるのかという、最初の約束や定義です。そして、プロジェクトの真ん中に立つ「人」が大切。しかも、その人はただアサインされた人ではなく、“こういう世界を実現したい”というビジョンを元々持っている人間であるべきです。そのような人がスタート時点にいないと、新しい価値は生み出せない。つまり、アイデアというよりは、「人」を見つけて一緒にやっていくことがすごく大事だと思います」とコメントしています。

担当者の本音─社内外での理解を得る戦略/品質担保のコツ

ガイダンスの最後に行われた質疑応答では、新規事業に関わる部署を経験した人の多くがぶつかる課題について議論が交わされました。

Q:新しい企画や事業計画に対する上司や経営陣の理解をいかにして得るか?

A:そのコミュニケーションの方法について、畑さんは「デザイン思考のような考え方は、ベースにあるのが課題解決型のアプローチなので、実は上の世代への受けがいいんです。ただ、会社によるベンチャー企業への投資や新規事業を創出するためのプラットフォームを作るとなると、経営側としても覚悟が求められるので、そう簡単には判断できなくなるでしょう」と回答。

松井は、上司の置かれた立ち位置によって取るべきアプローチが変わるとコメントしています。「組織には、リスクを取らないといけない創造系の上司と、リスクがないようにしないといけない保守系の上司がいます。上司がどちらの立場から見ているかを見極めることが重要です。また保守系の人に対しては、その事業がどのような創造性を持ち得るかを伝えることも大事なところだと思います」。

Q:募集したアイデアから新規事業を生み出す場合に、いかに品質の担保するか?

A:畑さんは選ぶ側が主観的な判断軸をいったん脇に置いておくべきだとコメントしました。「まずは集めたアイデアに対するユーザーの反応を見る必要があります。最初はイマイチだと思っても、ユーザーインタビューを何回か繰り返して改良していくうちに価値が向上するので、応募の時点では判断ができない。主催する側が、きちんとそのアイデアをもんであげることが、品質を上げることにつながると思います」。

オープンイノベーションもふくめ、新規事業を成功させるためには社内外との調整が重要です。その際に具体的な事例は良い検討の材料となるはずです。今回のガイダンスでの学びが、各現場で新たな価値を創造する一助になることが期待されます。

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