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六本木アカデミーヒルズ オーディトリアム

loftwork "DAY2012 "CONNECT" Report

ロフトワーク恒例となった年に一度のビッグイベントが、2012年1月27日(金)、今年はさらにパワーアップして開催されました。題して「loftwork "DAY 2012" CONNECT」。ロフトワークと関わりの深い個性的なゲストスピーカー陣を6名も迎え、今注目の2つのキーワード「Lean Startup」「Social Engagement」を切り口に2部構成で展開。年初にふさわしい豪華な内容で、ワクワクするような未来に向け、来場者と共に2012年の最高のスタートを切りました。

第1部

Build→Measure→Learnのサイクルを回して2週間単位で仕事する

Opening Speechに立ったロフトワークの矢橋は、はじめに「2012年はCreative Approach for Innovationをテーマに、制作物を作ることにとどまらず、お客様と一緒にイノベーションを目指し、さまざまな角度から幅広くご支援できるパートナーでありたい」と決意表明。

株式会社ロフトワーク マーケティング 取締役 兼 CMO 矢橋友宏株式会社ロフトワーク マーケティング 取締役 兼 CMO 矢橋友宏

そのイノベーションを進める上で、本セミナーのテーマにも掲げた「CONNECT(ユーザー、クライアント、パートナー、そして社会とのつながり)」が重要になり、さらにそれを実践していくためのキーワードとして「Lean Startup」「Social Engagement」の2つに注目したと説明。今回のセミナーでは、この2つを柱としたプログラム構成で各セッションが展開されていきました。

第1部は、ロフトワークの林千晶による「Lean Startup」の解説でスタート。そもそもなぜ、Lean Startup(ムダのないスピード感あふれるビジネスの立ち上げ手法)に注目したのか?その理由を林は次のように語りました。

株式会社ロフトワーク 代表取締役 林千晶株式会社ロフトワーク 代表取締役 林千晶

「キリストの誕生前(BC)と後(AD)で時代を分けているように、インターネットの登場前(BI)と後(AI)という2つの切り口で考えてみると、スポーツに例えるならBIは野球、AIはサッカー。攻めと守りが入れ替わることのない野球と違い、サッカーでは、状況に応じて瞬時に守りにも攻めにも変わる。時代がどんどん複雑になり、周囲の変化が早くなってきている中で、今まさに、この判断と対応の早さ(Agility)が求められています。

世界のプレーヤーやトップ企業が2週間をひとつの単位として新機能やサービスをリリースしているというのに、数ヵ月、あるいは半年、一年単位で仕事を動かしていては太刀打ちできません。MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏の言葉を借りれば、世界が鉄砲の時代に移っているのに、日本は槍で闘うようなもの。だったら、2週間で何が出来るのかを本気で追求すべきでしょう。」

ロフトワーク自身もこの考えに基づき、プロジェクトマネジメントからプロジェクトデザインへとシフトしようとしています。もちろんこれは言葉遊びでもなければ、従来のやり方を否定するものでもありません。プロジェクトマネジメントの優れた要素を継承しつつ、そこにAgilityの要素を加えていくというものです。

六本木アカデミーヒルズの49階 オーディトリアム六本木アカデミーヒルズの49階 オーディトリアム

「プランニングのフェーズ、プロトタイプを作るフェーズ、それを作るためのチームビルディングの3つを大きく変革できれば、私たちも鉄砲の時代に移れるのはないかと思う」と林。具体的には、ブレストにポストイットKJ法を取り入れてみたり、“完璧な企画書(Maximum Visual Presentation)”を目指すのではなく、進化した開発ツールを活用して“必要最小限だけど動くもの(Minimum Viable Product)”をサービスのファーストバージョンとしてクライアントに渡したりといったことを実践しています。

さらに林は、「一年かけたプロジェクトはリスクが蓄積されていくだけ。2週間単位で仕事を動かしていけば軌道修正もしやすい。Build→Measure→Learnのサイクルを回すことが重要」と強調。最後に「不確実な時代に地図なんか要らない。行きたい方向を示すコンパスがあればいい。地図からコンパスへ、この発想こそがLean Startupです」と総括しました。

第1部 Lightning Talks

生き残りをかけ、消費者との即興劇を演じられる企業になる

「Lean Startup」をテーマにしたLightning Talksでは、ベストセラー「Hacks!シリーズ」の著者である株式会社ブルームコンセントの小山龍介氏がトップバッターで登場。林の話を受け、「サッカーのプレーヤーとして必要な要素はなんだろう?」と切り出した小山氏は、オシム監督がプレーヤーに求めていた「ポリバレント」を挙げ、次のように説明しました。

株式会社ブルームコンセプト 代表取締役 共同経営責任者 小山龍介氏株式会社ブルームコンセプト 代表取締役 共同経営責任者 小山龍介氏

「要は、自分の役割を超えて一瞬の状況判断で対応できること。これを私なりに解釈するとインプロヴィゼーション(即興)であり、ソーシャルメディアにおいて企業が持たなければいけない素養です。今後市場で生き残れるのは、消費者との即興劇を演じられる企業。だと思います。」

さらに小山氏は、“即興劇”を演じる際の重要なポイントとして次の4つを提示。

・対象をじっくり体感する
・他人の意見をYesで受けてAndで展開する
・より深く観察して(エクステンション)発展させる(アドバンス)
・観客を設定する

中でも観客の設定は即興劇のクオリティを左右する重要なポイントであり、Lean Startupの実践には欠かせないとして、「超越的な他者の視線を取り戻すと、そこにクオリティを決定する重要な要素がある」とアドバイスを送りました。

トライアルを未来への試金石にして、ものづくりのプロセスを変える

続いて、今まさに小山氏の言う“消費者との即興劇”に挑戦中のオムロンヘルスケア株式会社から、富田陽一氏が登壇。はじめに富田氏は、通信機能付き機器を利用して健康管理が行えるサービス「WellnessLINK」の概要を紹介。すでに会員は12万人を超えたといい、「10万人も集まると、いろんなことがリアルタイムに事実として把握できる。この先の可能性への期待感も広がってきます」と富田氏は語ります。

オムロン ヘルスケア株式会社 国内営業本部 営業戦略課 富田 陽一氏オムロン ヘルスケア株式会社 国内営業本部 営業戦略課 富田 陽一氏

そんなWellnessLINKが次に注目しているのが「睡眠」です。誰もが毎日繰り返している行為なのに、実はよく知らないことだらけ。そこで2011年、ねむりと人びとの生活の関係をひもとくために、構想からわずか1.5ヵ月で、生活者と対話するためのサイト「ねむりラボ」をオープン。

ねむりラボねむりラボ

この「ねむりラボ」で徹底されているのが、次の3つの約束です。

・発想は自由に!
・基本はいいね!
・まず、やってみる。

「Facebookも活用していますが、自社コンテンツではカバーできない切り口(話題)で消費者と対話できるだけでなく、クローズドループでは、運営チームが自由な発想を共有し、いいね!で共感を図るようにしています。ここでいいね!が一番多かった案がラボに出ていく仕組みです」と語る富田氏は、「ねむりラボ」の将来を次のように展望しました。

「対話を通じて潜在ニーズを掘り起こし、自社のものづくりのプロセスを変えていきたい。『ねむりラボ』はマーケティングの新たなプットフォームであり、トライアルの場。そのトライアルが未来への試金石になっていけばと考えています。こうした取り組みができるのも、会社が睡眠という未知なる世界に踏み出す決心をしたことが大きい。」

コアを決め、オーディエンスを意識し、シミュレーションを繰り返す

第1部最後のセッションは、ロフトワークの新規事業「fab cafe」(ものづくりカフェ)のオープンに向け、プロジェクトを支援するトリプルセブン・インタラクティブの福田敏也氏です。Fabとは「Fablication +Fabulous」。誰もが自由にものづくりを行えることを目指すもので、「fab cafe」はその楽しさを味わえる場を提供しようとしています。

トリプルセブン・インタラクティブ 代表取締役 福田敏也氏トリプルセブン・インタラクティブ 代表取締役 福田敏也氏

レーザーカッターを使えば、市販のノートに自分だけのメッセージを入れることもできるレーザーカッターを使えば、市販のノートに自分だけのメッセージを入れることもできる

「クリエイターをネットワークして企業のニーズに応えてきたロフトワークが、今度はコンシューマービジネスに進出しつつ、そのあり方を模索しようとしている。ミッションとしては、Lean Startupという概念の中で、試しながら日本のマーケットの中でどう着地できるのかを探るところに力点がある。」

2010年10月に相談を受け、オープン予定は2月。単に時間がないだけでなく、ロフトワークにとっては新しい領域です。学習すべきことも多い中で、福田氏は主に次のような点をポイントに作業を組み立てていると言います。

・企画のコアを明確にする
・観客の視点を意識する
・理屈で考えたことが感覚的にどう検証されるのか、左脳的および右脳的シミュレーションを繰り返す

福田氏は、「何を検証したいのかを決め、正しいことを積み上げていきながらその先を考えない限り、成果物は大きなものにならない」と強調。Lean Startupの実践を通じて「fab cafe」がどんな形でオープンするのか、その成果に注目です。

第1部終了後のパネルディスカッションでは、ロフトワークの林をモデレーターに、ゲストスピーカー3名が会場からの質問に回答。速さと質を両立させる方法、Lean Startupにおける責任の所在、あるいは評価方法などについて質問が飛び出し、スピーカー陣はそれぞれに、自身の経験に基づく考え方やノウハウを披露。さまざまな見解がある中で、共通して“観客の視点”が強調されていたのが印象的でした。

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