クリエイティブディレクター西本泰司は、社内でファンクラブができるほどの人気者です。ロフトワークスタッフの学歴としては珍しく、バークリー音楽大学の作曲科を卒業。Webディレクターとしてキャリアを重ね、Web制作会社としてロフトワークは4社目です。2011年4月の入社と同時に、独特の安定感と柔らかいコミュニケーションで多くのプロジェクトを成功に導いています。
「ロフトワークに入るためだけに転職した」という西本が求めてきたもの、そしてここで得たものは何だったのでしょう。
ロフトワークで有機的に変化しながら、進化していきたい
「ロフトワークに入るまでは、起業もいいかなと思っていたのです。でもロフトワークに来て起業したくなくなったんです。なぜならロフトワーク自体が、常に有機的に変わり続けていて、型にはまっていないから。そんな環境に身を置いた時に、むしろ起業するということ自体が型にはまっていると思ってしまいました。”起業する”ことで逆に自分を型にはめてしまい、逆にやりたいことができなくなってしまうような気がして。それより、今はロフトワークで働く方が自分自身も自由でいられて、変化しながら、会社も進化していけるんじゃないか、と思っています」
そして西本がロフトワークを選んだもうひとつの理由は、代表の諏訪、そして林の人間性に惹かれたからでした。
「ロフトワークの社風には、代表2人の、明るくてポジティブな人間性が反映されていると思います。とても自由なのだけど、一貫してブレない芯があります。そして、何よりも二人がいわゆる「良い人」なんですね。"人間的に善良である"というか(笑) それに林の『プロジェクトマネジメント標準』を読んで感銘を受けたことも大きな動機の一つです。Webディレクターとして、自分が次に行くためにはここに行かなければと思いました。ちなみにロフトワークに入るために転職したので、保険はかけませんでした。ロフトワーク一社しか受けなかったんですが、前の会社は辞めてしまったんです(笑)」
ユーザー体験の追求こそが、高い創造性を生む
西本のものづくりの思想は、徹底したユーザ体験の追求にあります。
「作り手がひとりでどんなに巧妙なコンセプトを生み出しても、最終的なアウトプットはユーザ体験です。そして体験というのは、情報の送信者と受信者を繋ぐ部分です。常にそこだけを考えて作ることを意識していますね。よって、私にとって“いいもの”は、送信者と受信者にいい繋がりが生まれているものです」
西本は学生時代を現代音楽の作曲者として過ごした経験が影響してか、芸術一般に広い興味を持っています。そのため、ロフトワークで手がけることになった、『artmore』というアートイベント情報サイトが、入社後では一番印象的な案件だったとのこと。西本はこのプロジェクトでも、やはりユーザ視点に立つことから始めました。
アートイベントサイト『artmore』:http://artmore.jp
ふつうの家庭にもアートがあることが当たり前…という世の中にしたい
さて、そんな西本ですが、ロフトワークはもちろん通過点。その先にはどんな未来があるのでしょうか?
「もっとクリエイターと一般消費者を繋げてゆけるようなプロジェクトをしていきたいです。今、新しくロフトワーク1階のスペースにオープンする『FabCafe』に関わっているのですが、これはカフェ空間で"飲むこと"や"食べること"と同じように、"作ること"も楽しめる場所です。ここでは、レーザーカッターを使ってものづくりが楽しめます。コーヒーを飲みながら選んだデザインが、カフェを出るときにプロダクトになっている、という体験を通し、ものをつくる楽しさを日常の延長上に持ち込むという、クリエイティブなカフェです。私はというと、そんなFabCafeのWebサイト制作を担当しています。ここでは、今までものづくりに関わらなかった人にも楽しんでもらうための入り口として作っています。ロフトワークのクリエイターが、FabCafeでつくったプロダクトを一般の人たちに販売できたり、ソーシャル機能を使ってクリエイターと交流できる予定です」
「最終的には、どんな家庭にも絵がたくさん飾ってあるような、日常的に当たり前のようにアートを楽しんでいるような社会を作りたいんです」
と静かに話す西本は、クリエイティブディレクターとして、Webを通じて着実にその夢を実現しているように見えます。そして、アートやものづくりと一般生活者との距離を、心地の良いものにしていってくれるのではないでしょうか。