Home > セミナー・イベント > WEB CREATIVE NEXT

WEB CREATIVE NEXT

クリエイターネットワークを運営するロフトワークと有限会社パズブロックはマイクロソフトの協力の元、2007年5月11日、次世代のWeb動画やアプリケーションを展望するイベント「WEB CREATIVE NEXT」を開催しました。

スピーカーにはニコニコ動画を運営する株式会社ニワンゴの取締役西村博之氏(ひろゆき氏)や、クリエイター向けツールを初めて発売したマイクロソフト担当者が登壇。ネット系メディアの記者をはじめ、大手企業のWeb担当者からクリエイターまで、定員150名を超える申込みがあり、盛況のうちに閉幕しました。

ひろゆき氏に刺されまくるロフトワーク諏訪!

パネルディスカッションでは、モデレータをロフトワーク 代表取締役 諏訪光洋がつとめ、スピーカーは西村博之氏(ひろゆき氏)、パズブロック 代表執行役社長 長田恒司氏という3名で、Web動画のビジネスやコンテンツの今後について議論しました。

2chからニコニコ動画と、話題のCGMサービスを提供し続ける西村博之氏。諏訪がYouTubeなどの盛り上がりを例に動画ビジネスの可能性について質問したところ、西村氏はWeb動画ビジネスの厳しい現状を紹介しました。トラフィックが増えるほど回線コストが増加するため、YouTubeにおいてもコストに比べると利益は決して大きいとは言えず、100万人の会員がいるニコニコ動画にしてもビジネス化はこれからとコメントしました。

YouTubeで映像の投稿や配信が手軽になるとともに、映像編集の環境も整ってきています。Flashや動画のクリエイターと接する機会の多い長田氏は、「動画クリエイターのスキルの向上」と「従来届かなかった人に仕事が到達している」と感じています。

西村氏もクリエイターの広がりという話題を受け、ニコニコ動画に投稿したFlashクリエイターがテレビ向けのコンテンツを作るケースを紹介しました。

また、「ニコニコ動画は、クリエイターのモチベーションとなるお金とレスポンスの、レスポンス部分を強く刺激する」と長田氏。アップロードした動画の上に、あたかもリアルにコメントが書かれていくような感覚が、多くのクリエイターのモチベーションになっているのだろうと分析しました。

「今後ウェブの動画が一気に盛り上がるのではないか!」と考え、ひろゆき氏に賛同を求めたロフトワークの諏訪が、ひろゆき氏に「まだまだですよ」と冷や水を浴びせられる姿が会場の人々やメディアに印象深く残ったようでした。

著作権、コンテンツホルダー次第

イベントの事前アンケートで、もっとも関心の高かったテーマが著作権。

諏訪が「出版社とコミックの原作をパロディとして使うコミケ(コミックマーケット)のように、原作者と原作をベースに話を作る作者の住み分けができている世界もあるが、動画はどうなるだろうか」とパネラーの二人になげかけました。西村氏は、「コミケが(必ずしも)著作権のバランスをとっているとは言えない。しかしコミケの作者が上達して大手出版社と契約するという共存関係があるので、出版社はほとんど争ったりしない」と解説しました。

西村氏は著作権が親告罪であるという点にも触れました。コンテンツの使用を「違法だから訴える」ことも、「流行っているからそれに便乗しよう」と判断するのもコンテンツホルダー次第だと西村氏。代表的な例がニコニコ動画で話題になった「レッツゴー!陰陽師」。もともとゲームのおまけ的な位置づけで提供されたプロモーションビデオですが、ユーザがニコニコ動画で「陰陽師」の動画を楽しんでいたところCDが突然人気に。これに気づいた「陰陽師」の製作者は、ニコニコ動画に問い合わせたもののデータの削除は求めず、逆に新たにDVDも制作してヒットにつなげました。

西村氏「今後も動画に関する技術や機材の進化は続くので、最終的にはアイデア次第です」。

Expressionの可能性

マイクロソフト 春日井良隆氏は、マイクロソフトが初めてクリエイター向けに開発した製品を紹介しました。従来、マイクロソフトは企業向け製品を提供してきましたが、今年に入ってからWeb構築やデザイン関連のツールとしてExpressionを、プラットフォームとしてSilverlightやWPFを発表しています。

春日井氏は今回の一連のツールや技術の最大の特徴が「デザイナーと開発者との間のスムーズなデータ連携」だと説明します。

現在、Microsoft ExpressionにはWeb構築をはじめとする4つのパッケージと、これらを統合したスイートパッケージがあります。

RIAやWebアプリケーションを制作する場合、デザイナーが画像処理ソフトなどでデザインして、そのデザインにロジックを組み込むために開発者に渡すという流れが一般的です。Expressionでは、UIのデザインにXAMLというXMLベースのマークアップ言語を使用しているため、このデザイナーと開発者との間のやりとりに間違いがなく、スムーズに進められます。

WPFはデスクトップのリッチなエクスペリエンスを実現する技術で、グラフィカルな表現を豊富に使い、ユーザインターフェースの優れた企業向け・一般向けアプリケーションの開発が可能となります。

また、春日井氏は4月に発表されたばかりのSilverlightを紹介しました。Silverlight はFlashのようにブラウザでリッチなコンテンツを閲覧するためのプラグインです。

InternetExploereやFirefoxに対応するクロスブラウザであるとともに、多彩な.NET言語に対応できる柔軟なプログラミングモデル、効率的なメディア配信などの特徴を紹介しました。

Silverlight、WPF、Expressionにより、マイクロソフトは次世代にむけたWebの効率的な開発環境を整え、クリエイティブ市場への意欲的な参入を果たしました。

制作会社においついたユーザエクスペリエンス

Webアプリケーションの開発、デザイン制作をてがける株式会社アゼストは、進化するマイクロソフトとアドビシステムズの制作・開発環境を制作会社の視点から比較し、将来のWebクリエイティブについて展望しました。

Flashの制作やAjax、.netによるWeb開発を得意としてきたアゼストは、WPFの発表直後、他社に先駆けてアプリケーション開発をてがけます。そのひとつが「NHKアーカイブスオンデマンド」。WPF技術を効果的に採用し、人の趣味・趣向にあった番組を様々な切り口で紹介する次世代オンデマンド映像配信システムを開発しました。

アゼストは、マイクロソフトのExpressionシリーズやSilverlight、アドビのFlashやApolloに対して、「技術がそろい、制作会社の活躍の場が増えてきた」と期待を寄せます。

従来、制作会社がリーチできなかったクライアント側の開発は、マイクロソフトのExpressionやSilverlightの登場で身近なものとなりました。またアドビのApolloの登場で、ブラウザの中でしか動作できなかったFlashが、デスクトップ上でも動かせる環境が実現しました。「新しいからこういうことができるという段階から、アイデアやクオリティが重要になる時代に変わった」とアゼスト マネージャー 秋葉 卓也氏。

また、マイクロソフトが最近イベントでよく使うUX(ユーザエクスペリエンス)というキーワードは「制作側にとってすでになじみのある概念」と指摘。制作会社はDTPやCD-ROM制作の時代からユーザエクスペリエンスを意識した制作をしてきました。プラットフォームやアプリケーションの実行環境を整え、ようやくクリエイティブが取り組んできたユーザエクスペリエンスに追いついてきたマイクロソフトやアドビ。秋葉氏は、制作の幅が広がる現状を歓迎し、着実に技術を検証して、社会に提供していきたい、と締めくくりました。

参加者アンケート

・西村博之氏、マイクロソフト、制作会社の視点がバランスよく見られた。
・動画が気軽に使える環境ができていることがよくわかった。今後の自社Webをさらに魅力的にしていくために、今回のイベントは参考になった。
・ひろゆきさんの軽快なトークと、XAMLというデザイナ⇔開発者間での作業連携しやすい言語が興味深かった。
・最初のディスカッションでの「アイデアが大事」が印象に残った。
・新しいツールの説明はわくわくさせるものがあった。だんだん開発ツールやコンテンツがシームレスになっていると感じた。
・動画コンテンツで金を稼ぐのは難しいと改めて感じた。
・動画コンテンツの可能性と収益性の見解を聞けて良かった。
・デザイナーにとってはマイクロソフト製品は縁遠いものだが、今後はアドビと同じように使うのかもしれないと思った。でもインターフェースが少し硬い。
・マイクロソフトのEpxressionのデモが面白かった。
・Expressionはベクター管理できるところや、コードがさわれるのが良い。
・開発⇔デザインの悩みは日常的に感じており、具体的にXAMLでどのように連携できるかもっと詳しく知りたいと思った。
・アゼストの話が興味深かった。
・アゼストの技術要素マップがおもしろかった。
・WPFとsilverlightに興味をもった。Vistaを持っていないが、買おうと思ってしまった。今回のイベントは大変楽しく、参加してよかった。
・ニコニコ動画などの話が興味深く、おもしろかった。無料でこういうセミナーをひらいていただくのはとてもありがたい。今後もやっていってほしいとおもう。

ロフトワーク諏訪のコメント

「今回、ひろゆき氏とのパネルディスカッションという貴重な機会に恵まれました。結果としてはひろゆき氏の厳しい意見の前に、モデレーターとして苦しみましたが(笑)、洞察としては鋭い部分も多く、苦しみながらもとても楽しく貴重な時間を過ごすことができました。

私の苦しいパネル進行は別に、皆さんにはひろゆき氏の視点を知っていただけ、春日井氏のスマートなプレゼンテーションによるマイクロソフトのクリエイティブに対する取組みの可能性を感じてもらえる貴重なイベントになったのではないかと思います。」

お問い合わせ

株式会社ロフトワーク セミナー・イベント担当 : お問い合わせ時間10:00~18:00(土・日・祝祭日を除く)

TEL 03-5459-5123



Copyright© 2000-2010 Loftwork inc. ALL Rights Reserved.