Home > セミナー・イベント > めざせ3月!まだ間に合うCMS導入によるサイトリニューアル
本来なら終わりがあるはずなのに、伸び伸びになることの多いサイトリニューアルのプロジェクト。コストをかけて作ってはみたけれど、運営の手間もかかるし、いっこうに効果の上がらないサイト・・・。そんな企業のWeb担当者が抱える共通の悩みに応えるために、2007年10月30日、株式会社ロフトワークはCMS導入の足掛かりとなるセミナーを開催しました。
今年度中のリニューアルを検討している企業のWeb担当者を対象とし、その名も「めざせ3月!まだ間に合う~」と題された今回のセミナー。14時~17時の3時間、満員御礼となった東京ステーションコンファレンスの会場は、個性的な講師陣の話に耳を傾ける出席者の熱気で、あふれかえっていました。
セッション資料
目的を達成するためのCMS選びのポイント
* 完全版のセッション資料は希望者にメールにて送付とのことでしたが、希望者多数のため、このページから完全版の資料をダウンロードする方法に変更になりました。
トップバッターとして登場したのは、企業のWeb活用を支援する情報メディア「Web担当者Forum」の編集長を務める株式会社インプレスR&Dの安田英久氏。
「何のためのサイト?数値目標は?と聞かれて、すぐに答えられますか?」と安田氏。実際、インプレスR&Dインターネットメディア総合研究所が Web担当者2,000人を対象に行った調査結果でも、「明確に決まっていない」「わからない」が全体の10%を占めたというから驚きです。目的の決まっていない事業などあり得ないことを考えると、いかにビジネス上の目的に合致していないサイトが多いか、ということになります。「目的がないところに目標が決まるはずはない。目標が明確でないのに、いったい何をがんばればよいのか。だから効果測定もまるでなっていないんですね」(安田氏)。
何を置いても、まずはサイトのビジネス目的を明確にすることからスタートすべきである、ということです。目的には、売上や利益の増大、見込み顧客の獲得、イメージアップ(ブランディング)、マーケットリサーチ、既存顧客のサポート、IR、人材募集などの直接的な目的に加えて、これらを行うためのコストの削減やマネタイズ(サービスをお金に換える)なども含まれます。
サイトの目的によって、CMSの導入目的が変わるだけでなく、さらに選択すべきCMSも変わってきます。つまり、今何をすべきか、どこを優先すべきかを考える重要なプロセスです。安田氏も「ここを明確にしておかないと、あとで間違いなく失敗する」と強調。考えられるCMS導入の目的として、次の6つを示しました。
CMS導入の目的
・現場のスタッフがコンテンツを入力/更新できるようにする
・製品データベースなどとつないでページを自動生成できるようにする
・更新のワークフローを明確に定めて運用する
・サイトのデザインを統一する
・ナビゲーションや一覧を自動的に生成する
・コンテンツを自動的に多様な切り口で提示する
CMS選びのポイント
・システムや価格の基本要因
「出力は静的HTMLか動的生成か?」「インストール型かASP型か?」「ライセンス単位は?」「別途必要なソフトウェアなどはあるか?」「保守料は?」など、CMSの価格が何によって決まるのかをしっかり把握し、サイトをどう成長させていきたいかに合わせて検討します。
・ワークフローの機能
承認システムの有無だけでなく、何段階まで対応しているか、承認要求や却下連絡はメールで送られるか、緊急対応のためのユーザー権限の設定ができるかなど、詳細を確認します。
・SEOとの相性
SEOが最も投資対効果の高い集客手法として評価されていることからも、重要なポイントです。SEOの順位に影響を与えるような要素が、CMSの機能として網羅されているかどうかを確認します。
・管理機能
公開時間の指定、ステージング、ロールバック、サイト全体のプレビュー、社内のユーザー認証システムとの連携、過去記事の検索など、管理機能が充実しているかどうかを確認します。
もちろん、あくまでも選択のポイントであり、すべてが網羅されていなければいけない、ということではありません。個々のビジネス目的、CMSの導入目的に合わせて、何が必要かを見極めることが重要です。さらに安田氏は、発注時の心得について、「RFP(提案依頼書)の作成をCMSベンダーや制作会社に任せっきりにしないこと。特定のCMSでしか実現できないような項目が盛り込まれてしまうことがあります」と語り、Web担当者の果たすべき役割の重要性を強調しました。
セッション資料
CMS導入によるWEBリニューアルのためのプロジェクトマネジメント
続いて、株式会社ロフトワーク取締役の林千晶が登壇。「CMS導入によるWebリニューアルのためのプロジェクトマネジメント」と題し、敢えて「失敗だらけのCMS導入」というネガティブな切り口から、CMS導入の成功に向けたアプローチに迫りました。まず林は、「CMSの導入プロジェクトが失敗に終わるケースは非常に多い。
CMSの導入リスクが高いことは事実です」と語り、実際にあった5つの失敗例を紹介しました。
[ケース1]CMS化した意味がない!
コンテンツブロックの見直しやSEO対策などを後に回し、既存のサイトをそのままCMS化したため、CMSのメリットが活かされない不完全なサイトが完成。
[ケース2]あるはずの機能が実現できない!
機能の実装方法や作業内容を確認しなかったために、欲しかった機能が実装できないことが判明。
[ケース3]スケジュールが間に合わない!
トップページの動線ばかり気にしすぎて、テンプレート化の準備が遅延。仕方なく、予定していたリリース日を延期。
[ケース4]予算がオーバー!
ライセンスでほとんどの費用を使い果たしてしまい、CMSのテンプレート開発費が不足。さらに1枚のテンプレートの開発に、予想以上の時間と手間がかかることが判明。
[ケース5]CMS導入が形骸化!
各部門の統制が取れないまま、いびつな形で導入され、かえって仕事が増えてしまうような使いにくいサイトが完成。
すべて本末転倒です。ここに、「なぜCMS導入に失敗するケースが多いか」という重要なヒントが隠されています。林は、「ツールを選んだらもう大丈夫!と思っている人がまだまだ多い。これが大きな間違いです。実はスタートラインに過ぎないのです」と強調した上で、失敗につながる主な要因として次の3つを挙げました。
1.ナビゲーション設計の難しさ
一昔前に比べて、あらゆるサイトが大規模化しており、数百ページ~数千ページに上るサイトも少なくありません。それに伴い、ナビゲーション設計の重要度も難易度も確実に高まっています。このことを認識せず、従来のプロモーションサイトを作るようなイメージで進めれば、プロジェクトが空中分解するのは当然です。
2.社内調整の難しさ
CMS導入においては、複数の事業部のニーズをまとめて、テンプレートを作成したり、ナビゲーションのルールを設計したりする必要があります。特に一番稼いでいる部署を説得するのは大変であり、また重要でもあります。プロジェクトチームには、事業部に依存しない決定権を持たせるのもポイントです。
3.情報設計の軽視
どこにどのようなコンテンツが入り、どのように連携すればサイトの目的を達成できるのか。デザインより、まずは情報設計を優先すべきです。また、トップページからの動線ばかりにとらわれてはいけません。訪問者はどのページから入って来るか、わからないからです。従来とは逆の発想が必要です。
「つまり、決してCMSが難しいのではないということ。発注側も、従来のやり方が通用しないことを認識し、意識を変えなければうまくいきません。そこで、もう1つ重要になってくるのが、プロジェクトマネジメントの知識です。」
ここで林は、プロジェクトマネジメントのデファクトスタンダートとされるPMBOKという知識体系を紹介。さらにロフトワーク自身も、このPMBOKに則って、プロジェクトの3大制約条件となる「スコープ(仕様)」「タイム(スケジュール)」「コスト」の絶妙なコントロールを発揮しながら、数々のプロジェクトを成功に導いているという話が披露されました。
発注側にも、PMBOKのような知識体系を学ぶことを勧める林は、そのメリットに次のような点を挙げ、「ぜひ多くの人に興味を持っていただけたら」と締めくくりました。
<PMBOKを学ぶことによるメリット>
・プロジェクトの成功率が高まる
・スケジュールの遅延の割合が減る
・(長期的に見て)発注価格が下がる
・制作物の品質が高くなる
・ストレスが減る
・資格としても有効
CMS導入の成功を目指すためには、従来のようにプロジェクトをベンダーや制作会社任せにするのではなく、発注側も、いい意味でもっと賢くなるべきということでしょう。
セミナーの最後を締めくくったのは、グーグル株式会社 広告営業企画 シニアマネージャーの高広伯彦氏です。「Google AdWordsとは、どのようなことができるマーケティングツールなのか?」という、CMS導入とは少し離れたテーマであるものの、Web担当者が抱える「集客」という最大の課題に応える興味深いセッションとなりました。
高広氏は、Googleのすべてのソリューションは、このミッションに基づいていることを強調。さらに、企業理念として展開されている「Googleが発見した10の事実」のうちの1項、「6.悪事を働かなくても金儲けはできる」の中で、同社の広告ソリューション「Google Adwords」について言及された一文を紹介しました。
そこには、「Googleは、派手な広告でなくても効率よく宣伝ができることも証明しています。ポップアップ広告は邪魔になってユーザーが見たいコンテンツを自由に見られないので、Googleでは許可していません。Googleは、閲覧しているユーザーに関連性のあるテキスト広告(アドワーズ広告)の方法が、ランダムに掲載される広告よりずっとクリック率が高いことに着目しました。~(中略)~クリック率が高いということは、広告がユーザーの興味に合っていることを意味するからです」とあります。
これだけ読むと、多くの人がそうであるように、Google AdWordsは検索連動型広告である、と認識してしまいがちです。しかし、実はそれだけではありません。Google AdWordsでは、「検索連動型」「コンテンツターゲット」「サイトターゲット」の3つの配信方法を提供しており、そのフォーマットには「テキスト広告」「イメージ広告」「動画広告」「ガジェット広告」の4つがあります。「マーケティングの目的に合わせた組み合わせが可能で、顧客の購買行動のプロセスに合わせて使えます。マーケティング全体を預かるような仕組みなのです」と、高広氏。
「検索連動型」は、あるキーワードに関して、すでに興味があることが明らかになっている顧客にリーチする手法であるのに対し、「コンテンツターゲット」「サイトターゲット」は、さらに広範な潜在顧客にアプローチするための有用な手法となります。その具体的な仕組みについて、高広氏は実際の画面を示しながら解説しました。
[コンテンツターゲット]
ページの内容(キーワード、出現回数、文字の大きさや位置、書かれている言語など)を解析して、サイトのコンセプトを認識し、配信すべき広告のテーマを把握する仕組み。
[サイトターゲット]
Google AdWordsの「サイトツール」でトピックを入力すると、広告を掲載可能なサイトのリストが表示され、そこから広告の配信先を自由に探せる仕組み。
「消費者は自分に有益な情報を探していると考えること。大規模なサイト=いい媒体とは限らない時代なのです。大きなサイトからふるいにかけるのではなく、小さなサイトを束ねることで、ターゲット含有率の高い仕組みを作ることができます。」
さらに高広氏は、今後ますます活用シーンの広がりを見せつつある2つの広告フォーマットとして、「動画広告」と「ガジェット広告」の事例を紹介しながら、その魅力をアピールしました。これらは広告でありながら1つのコンテンツとしての役割も果たし、その特徴を活かして、企業はよりダイナミックにメッセージを発信することできます。
「ユーザーにとっては、広告=情報です。適切な場所、適切なタイミングに、適切なメッセージを発信することが大事。つまり、“消費者の興味があるところが広告枠”、ということです」。高広氏のまとめの言葉が実に印象的でした。
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