Home > セミナー・イベント > レポート Eng.1 成果を上げるWebインテグレーション
株式会社ロフトワークは、NECビッグローブ株式会社との共催で、エンゲージメントを実現するためのインフラ、事例を全5回のシリーズで解説する無料セミナー「Webエンゲージメントセミナー」を予定しており、その記念すべき第1回目が2010年9月2日に開催されました。第1回のテーマは「成果を上げるWebインテグレーション」。エンゲージメントに知見の深いゲストスピーカーを迎え、企業のWebマネジメントのあり方を解説しました。
テレビを中心にメディア戦略が作られていた時代は終わりを告げ、今やWebを中心にコミュニケーションの設計を行う時代。ロフトワーク代表取締役社長の諏訪光洋は、エンゲージメントの背景に触れつつ、「進化し続けるWebの業界において、ユーザーがどんどん力を持ってきている。これからの企業は、その力を恐れるのではなく、どう向き合えばよいかを考えていくべきです」と強調。
さらに、「ロイヤリティとは異なり、エンゲージメントはまず顧客の声に耳を傾けることから始まります。そして、オープンな対話と行動を通じてさまざまなステークホルダーとの関係を築きながら、信頼を得て、目的を共有し、より良い関係を構築していく。日本語で一番近い言葉を探すなら“絆(きずな)”でしょう」と語りました。
では、エンゲージメントをどう実現していけばよいかというと、“トリプルメディア戦略の時代”が声高に叫ばれているように、企業はペイドメディア(広告)、アーンドメディア(口コミ、CGM)、オウンドメディア(自社メディア)の3つの領域でエンゲージメントを考えていく必要があります。
中でも、「中心部分になるのがオウンドメディア。ここに、コンテンツの設計から配信、計測、分析、見直しまでのエンゲージメントサイクルを回す仕組み(プラットフォーム)が重要になってくる」と諏訪。つまり、“継続的な対話”を実現するための鍵は、プラットフォームの整備であり、たとえば“話す”という観点では伝える力を強化する適切なCMSの導入、“聴く”という観点ではエンゲージメントの効果を計測するアナリティクスの体制などが必要になります。
「要は、プラットフォームを整えてPDCAを回し、エンゲージメント自体を改善していくこと。これが顧客の声を聴くことの基本です。こうした取り組みが、結果的に組織自体の改善にもつながっていきます」と語る諏訪は、自社で手がけたCMS導入企業の成功例を紹介。頻繁で透明性の高いコミュニケーションを実現し、ユーザーとの絆を結ぶ上で、CMSが果たす役割についても強調していました。
第2部に登壇したNECビッグローブ株式会社 ビジネスサービス事業部 部長の山本隆範氏は、第1部の内容を受けて実際のプラットフォームづくりにフォーカス。はじめに「自社のWebサイトを次の7つの観点で見直してみてほしい」として、PDCAサイクルを回す上でのチェック項目を紹介しました。
1. 使い勝手は悪くないか
2. 収集データの活用計画があるか
3. 小手先の手法に頼っていないか
4. プロモーションやコミュニケーションに関する計画を用意しているか
5. ストレスなく表示できるか
6. メルマガ配信などにガイドラインを用意しているか
7. パーソナライズ機能があるか
続いて山本氏は、Webマーケティングプラットフォームの考え方に言及。「リアルな世界、バーチャルな世界など、いろんな所にお客様とのタッチポイントがあります。それらを洗い出し、利用方法を見極め、最適なマーケティングプランを検討していくためには、Webプラットフォームを有機的に統合していく必要がある。そうすることで一人ひとりの創造的な行動を支援し、お客様とのコラボレーション、水平的なコミュニケーションを実現できます」と説明。
ビッグローブでは、この“Webプラットフォームの有機的な統合”を「Webエンジン」というサービス体系を通じて支援。Webマーケティングの上流から下流まで、エンゲージメントサイクルに応じたサービスをトータルで提供しています。「重要なのは、変化に対応できる環境づくり。つまり、お客様の声や行動をよく見て、それに合わせて戦略を変えていける環境です」と山本氏。
さらに、Webの基盤を整える要素として次の5つを挙げ、エンゲージメントの強化に高い関心を寄せる企業担当者にアドバイスを贈りました。
1. チャネルミックスを最適化する
個々のサービスやデバイスの特性を踏まえ、Webをハブにしてお客様を適切に誘導する。
2. 消費者自身がカスタマイズできるようにする
ゴールまでのルートは複数あってしかるべき。お客様が自分で選んで確実にたどり着けるようにすること。
3. コンテンツを統合的に管理する
CMSのようなツールを積極的に活用し、ニーズに合った質の高いコンテンツを実現する。
4. 企業自身もプラットフォームに参加し、サポートする
一方的な情報発信ではなく、お客様主導の世界を作り、そこにきちんと耳を傾ける姿勢を持つ。
5. 今この瞬間を分析する
今何が起きているかを把握し、きちんと対処していく。
最後にゲストスピーカーとして登壇したのは、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 コミュニケーション本部 ウェブマネジメントセンター 所長の増井達巳氏です。「エンゲージメントは顧客主導のマーケティング。“心が動く”“選択する”“共有する”“きずなを感じる”の四輪を同時に動かして効果を生み出すものであり、この四輪は、生活者の“自分ごと化”を促す仕掛けを作ることによって実現します。ただし、そこに企業側の論理を持ち込んでもダメ。さりげないきずなづくりが重要です」と増井氏。
さらに4大メディアとの違いに触れ、「ネットの場合、おもてなしをしたり、参加してもらったり、継続的にプレゼンスをすることができる。Webマーケティング担当者は、この3つの重要性を通じて、企業の中でWebの価値をアピールしていく必要もあるでしょう」と強調。
もちろん、アピールしていくには、仕掛けたマーケティングの効果を測定する必要が出てきます。そこで、そもそもどんな考え方でコンテンツを作り、どうやって計測すればよいのか。この点ついて増井氏は、自社の経験とノウハウを踏まえた主なポイントを紹介しました。
●仮説を作るところから始める
目的やターゲットを明確化し、来訪者ごとに最適な価値を提供できるように設計。キヤノンでは、透明性、継続による利便性、スイッチングコストの3つの視点から、理想の顧客関係設定を考えた上で、コンテンツの目的と来訪者が期待する内容によってWebサイトを分類している。
●目的に到達するように導く
Webマーケティング担当者が、事業部門と一緒になって考える。事業部門がいつでも計測結果を含むWeb関連情報を閲覧できるように、情報共有の仕組みを作ることも重要。
●管理会計の考え方を採用する
企業サイトである以上、いくら費やしていくらの効果が出たのか、コストの視点は不可欠。
●解析結果を詳細なレポートをまとめる
キヤノンでは、ログ解析に加え、タグ方式(ビーコン方式)、パケットキャプチャ方式の3つを組み合わせて効果を測定。サイト全体、主要サイトごとに、社内のアナリストによる解析結果を詳しいレポートにまとめている。
さらに増井氏は「Webの予算が取れないと、Webの最新技術を実装したり、社会が要請するサイト品質を提供することができなくなる。もはや世の中に付いていけない。結果として、正しい情報発信、エンゲージメントの強化もできないことになる。今後は、テレビのGRPや視聴率、や新聞・雑誌の広告換算値や発行部数のように共通の指標を持って経営にアピールできるようになることが望ましい」と指摘。
実際、Web広告研究会の企業広報委員会などを中心にWebサイトを広告費に換算する手法や,時間単位での接触人数を割り出すepm(engagement per minutes)といった指標も検討されていると言いいい,関係者の一人として、「Webサイトの価値をきちんと伝えていくためにも、エンゲージメントの価値を理解してもらえるような指標を考えていきたい」と語りました。
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