Home > セミナー・イベント > 成功事例で解説!CMSプロジェクト全貌とリニューアルの効果
株式会社ロフトワークは、2010年1月26日、年初の開催が定例となったCMSセミナーを開催。毎回、Web担当者の“今”の疑問や悩みに応えてきた本セミナー。今年のテーマは「ウェブ戦略を成功させるCMS導入とその評価手法」です。2010年のウェブ戦略を占うセミナーとあって、会場のTEPIA 4Fホールには企業のWeb担当者を中心に約200名もの参加者が詰めかけ、密度の濃いセッションに耳を傾けました。
主催者を代表して登壇したロフトワーク代表取締役の林千晶は、本セミナーの過去のテーマを振り返りつつ、「今のみなさんの関心は、なぜCMSがそれほどまでに重要なのか?CMSをビジネスの成果につなげるにはどうすればよいか?というところにあるのではないでしょうか。そこで今回は、CMSのWeb戦略プラットフォームとしての活用方法に焦点を当てることにしました」と説明。
「Groundswell(地殻変動)」という言葉にも象徴されるように、Webを中心に世の中の価値観が大きく変化しつつある昨今。「もはや、TV広告を打って残りのお金で何をするか?という時代ではない。Webを中心に効果を測定していきながらコミュニケーションを設計する必要がある」と強調する林は、Webサイトを成果につなげるためのプロセスを水道管ゲームに例え、パイプラインのあちこちで起こる“水漏れ”を指摘しました。
「Webサイトの中だけで考えていてはダメ。ランディングページだけ整えてもダメ。コンテンツやフォームの出来映えが悪ければ最後までたどり着けないように、すべてのパイプが正しくつながっていないと、いくら水を注いでも効果は得られません。つまり、“全体を俯瞰する視点”が非常に重要になってきます」。
成果を得られやすいWebサイトの条件は、「情報量が多い」「更新頻度が高い」「リアルな情報を掲載している」と至ってシンプル。「もちろん、量さえあればよいのではなく、ステークホルダーとの間で、透明性が高く継続的なコミュニケーションを実現することが重要。つまり、“質”と“量”の両立が求められています」と語る林は、さらに「いきなり質から高めようとすると失敗しやすい。とにかくコンテンツを更新し続けながら、その結果を分析、改善し、より良いコンテンツにしていく。このPDCAサイクルを回すことです」とアドバイスしました。
ここで林は、ロフトワーク自身のWebサイトの運用方法を紹介。毎週必ずコンテンツを更新するというルールを徹底するだけでなく、KPIを設定し、毎月異なる仮説を立ててレビュー、改善を繰り返してきた結果、月間の問い合わせ数50%増を達成できたとのこと。
これはまさしくCMS活用の成果であるとして、「CMSなら年に5~6回のリニューアルも不可能ではありません。質はどうであれ、まずはCMSを導入してコンテンツを配信し続けること。あとはPDCAサイクルを適切に回しながらパイプラインの穴を塞いでいけばよいのです。こうすることで必ず成果につながります。CMSは単なるページ制作のツールではなく、Web戦略のための必須のプラットフォームなのです!」と総括しました。
CMS導入企業を代表して登壇したのは、株式会社Z会の寺西隆行氏です。「自分の担当だから仕方ないというモチベーションで導入するなら、やめたほうがよい。CMSを入れるときには、それだけの覚悟が必要ということです」と切り出した寺西氏は、同社のWebサイトリニューアルを振り返り、CMS導入のさまざまな苦労を乗り越えるヒントを紹介しました。
まず、自らの経験から“越えなければならないハードル”として指摘したのが次の点です。
・意思決定者との共通言語が少ない
・人によって共通言語の捉え方が異なる
・費用対効果を把握しにくい
・関係者の主観が横行する
・部分最適論者を味方に付けるのが難しい
「敵は本能寺にあり。お客様に良いものを届けたいという思いをぶらさずにインナー対策を行い、一方のWeb制作会社はWeb担当者のインナー対策の手助けをする。こうやって抵抗勢力を味方に付けていかないと、なかなかハードルは越えられません」と寺西氏。
同社がリニューアルにあたりCMSを導入した理由も、“お客様に自分たちの声を届けたい”という部署がハッピーになってほしいとの思いから。「そういう部署は得てして予算がないことが多い。その苦しみを理解し、彼らがハッピーになれれば、自ずと会社全体が盛り上がっていくはずです」(寺西氏)。
また、「Z会にとっての最適なCMS導入を目指した」という同社は、次のような点にも配慮したといいます。
・そもそも何がしたいのか?を明確にする
・自社の体制の中で何がベストなのかを考える(製品ありき、パートナーありきではない)
・KPIを設定する
・発注側も受注側もコミュニケーションコストを下げ、リスクヘッジが原因のコストアップを減らす努力をする
さらに寺西氏は発注側の心得に言及し、「プロに任せるべき領域はお任せする。その代わり、外部の人にはわからないような専門領域については、自分たちから積極的に提言を行う。プロジェクトをスムーズに進めるためには、この姿勢が重要です」と強調。最後に「教育分野の人間としてこれだけは言わせてください」と前置きした上で、「子どもたちにとって幸せな社会にするためにも、大人である私たちが元気に楽しくやっていきましょう!」とエールを送りました。
続いて、Z会とは別の切り口でCMS導入に迫ったのは、大阪ガス株式会社の岩木圭氏です。導入から約2年が経過した同社は、CMS導入評価の指標づくりを目指すCMS学会の活動を通じて、導入効果を評価する機会に恵まれました。CMS学会が提言するのは、バランススコアカードという共通のフレームワークの活用です。
▲BSC(バランススコアカード4つの視点)
現在もリニューアル作業が進行中である同社は、財務の視点を除く他の3つの視点で評価を実施。各視点で設定された評価指標と検証結果は次のとおりです。
<顧客の視点>
評価指標:直帰率・平均滞在時間の変化
コンテンツのシーズによる配置をニーズによる配置に変更し、トップページで多くの情報発信するのではなく、振り分けページという位置付けにしたことで、直帰率22.3%削減、平均滞在時間19.1%増を達成。
<業務プロセスの視点>
評価指標:プロセス数、工数の変化
ヘッダー変更時、バージョン管理、プレスリリース配信の各プロセス数、工数の削減に成功。
例)プレスリリース配信のプロセス数を37.5%削減、更新にかかる工数を38%削減
「検証対象期間の3ヵ月で25回の更新があったので、CMS導入によって1,475分も削減できたことになります。最初は今までのやり方を変えることに抵抗感を示す人もいましたが、いざ導入してみると、入れて良かったという声が大半です」(岩木氏)。
<学習と成長の視点>
評価指標:CMS利用組織・人数の変化
独自で更新を行う部署が皆無だったのに対し、現在は7部署、22人が更新作業を担当。
「定量的効果だけでも1年で投資費用相当の効果が出ており、定性的効果を加味すると約3倍の効果を実感できています。リニューアル完了時には、財務の視点での効果検証によって、さらに効果が明確になるはず」と岩木氏。さらに会場に向けて、「今どの部分にどのくらいのコストがかかっているかを明らかにしておくと、導入効果の判断に役立ちます。上層部と同じ視点で投資対効果を考えることもできます」とアドバイスを送りました。
セッション終了後は、ロフトワークセミナー初の試みであるリレーショナルトークが行われました。Web業界をリードする各社より、Web戦略を成功に導くためのソリューションやヒントが紹介されました。
eコマース向けのサービスプラットフォーム事業を展開するCSKプレッシェンドでは、eコマースで成功を目指す企業に対し、eコマースシステムおよびフルフィルメントサービスを提供。「流通業界においても地殻変動が起きており、有店舗とネットが大きく連動するようになるはず。Web系のビジネスをされている企業にとっては、ビジネスチャンス!」(寺田氏)。
セッション資料
株式会社CSKプレッシェンド
ネットワークを利用した情報通信サービスや、情報提供サービスを手がけるNECビッグローブのビジネス事業部では、Webサイトの運用から構築まで一気通貫で対応。
1. CMS All in One for WebRelease(CMSとレンタルサーバーをワンセットで導入可能)
2. WebMil(わかりやすいインターフェースが特徴のアクセス解析サービス)
3. Android関連事業(Androidベースで作り込んだクラウドデバイスを提供)
セッション資料
NECビッグローブ株式会社
日本発の技術ベンチャー企業として、高度なIT技術をベースに新しい価値を創造するSyncThoughtでは、高機能なサイト内検索のASPサービス「SyncSearch」を提供。導入企業数は約50社に上る。お客様の要件に応じてカスタマイズできるのが特徴。ASP型、SaaS型のサイト内検索であれば、事前にデモ比較が可能で、失敗のないサイト内検索の導入が可能。
セッション資料
株式会社SyncThought
先進テクノロジーでお客様のWebマーケティングROIの改善を提案するデジタルフォレストでは、Webアクセス解析ツール「Visionalist」を提供。「Webマーケティング成功の秘訣は、正しい現状分析(定性的評価と定量的評価)を行い、勝ちパターン、負けパターンを見極め、ビジネスの意思決定に直結する適切なKPIを策定すること。Z会様のプロジェクトでは、当社にてテンプレート作成のための現状分析、KPI策定を支援しました」(有澤氏)。
セッション資料
株式会社デジタルフォレスト
この後、ロフトワーク代表取締役社長の諏訪をモデレーターに、富士通デザインの高橋氏、大阪ガスの岩木氏、NIMSの荻野氏、キヤノンマーケティングジャパンの増井氏を迎えてパネルディスカッションを実施。テーマである「CMS導入評価のポイント」について、各社とも一様に、関係者間での共通言語の重要性を強調されており、バランススコアカードを活用した指標づくりにますます注目が集まりそうです。
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