Home > セミナー・イベント > 商談に繋がるWebコンテンツとは?~ NECが語る、CRM戦略におけるWebメディアの活用法 セミナーレポート

Webがますます企業活動に欠かせないものになる中、BtoBの世界でも、新規顧客獲得や既存顧客との継続的な関係構築に向けて、Webが「営業マン」として大きな役割を担うようになっています。そこでロフトワークは、2010年8月31日、商談に繋がるWebコンテンツについて考えるセミナーを開催。日本電気株式会社(以下、NEC)CRM本部からスピーカーを迎え、NECが展開するビジネス情報サイト「Wisdom」を起点としたCRM戦略とWeb制作ナレッジを紹介しました。
メインセッションを前に、主催者代表としてロフトワーク代表取締役の林千晶が登壇。ロフトワークには、NECのビジネス情報サイト「Wisdom」で展開される「eセミナー」の制作を、30本近く手がけてきた実績があります。遡ること7年前、そのスタート当初を知る一人として、林はまずeセミナーの歴史を振り返りました。
「Webサイトにはいろんな人が訪れます。そのすべての人たちを同じページで受け止めるには限界がある。だったらその人に応じて伝えるメッセージを変えていけば、もっとコンバージョンを高められるのでは?と考えた。ここがeセミナーの起源です。そこから、ユーザーにどんな風に語りかければよい?こんなこともできるのでは?といった試行錯誤を繰り返しつつノウハウを蓄積してきました」(林)。
さらに林は、2010年に入り声高に叫ばれるようになった「トリプルメディア戦略」に触れ、「企業がお金を払って買う従来型のペイドメディアと、最近急増しているソーシャルメディア、それから企業が自社で所有するオウンドメディア。企業はこの3つを通じて顧客にアプローチできる。つまり、前者の2つだけではなく、オウンドメディアも非常に重要というわけです」と強調。
2003年から続くNECの活動は、まさにこのオウンドメディアの価値にいち早く着目し、Webに“カタログ”ではなく“営業マン”として役割を持たせ、成果に繋げようとの発想の上に成り立っています。Webを単なるカタログサイトにしてしまってはいけない。この点が重要であり、そのための工夫も必要になります。
そこで林は、オウンドメディアの価値を高めるために大切な視点として、次のポイントを挙げました。
●自社の価値観に基づく実直なコミュニケーションを実現する
製品を訴求する時代ではない。もっと感情的に、自社の価値観に基づいて、自分の言葉で語りかける。
●ユーザー視点でベネフィットを考える
ユーザー視点で考えるつもりが、いつの間にか自分の視点になってしまうことは多い。ユーザーにとっての価値を追求すれば、発するべき言葉も自ずと変わってくる。
●PDCAサイクルを細かく回す
Webサイト構築のプロセスに最初からPDCAサイクルを組み込むこと。まず実行し、結果を見てから直すという前向きな考え方も重要である。
●良い文章家を育てる
ライターに丸投げではなく、会社として、相手の視点に立って不要なものを見分け、人を理解させるコミュニケーション能力に優れた人材を育てる。要は他人事にはしてはいけないということ。
最後に林は、「誰に何をどんな風に語りかけるのかを企業活動に関わる全員が考える時代。Webはバーチャルですが、そこに訪れる一人ひとりとの会話の場であり、“Heart to Heart”の会話が大事になってきます。自分が伝えるとユーザーも返してくれる。そんなメディアに育てたいものですね」と語りました。
続く注目のセッションでは、NEC CRM本部 主任の市川貴洋氏がスピーカーを務め、「eセミナー」が実践するCRMとWebマーケティングについて紹介。まず市川氏は、「営業力の強化とCRM活動の強化を両輪として、お客様にとっての付加価値を高め、顧客満足度の向上を目指す。これが当社のCRM戦略の大筋です。特に生産財のビジネスは人と人の商談で始まるため、営業が一番大事。NECでは、商談プロセス全体の強化、プリセールス・アフターセールス活動の効率化の2点に注力しています」と説明。
しかし、すべてを営業がやるとなるとリソースの限界もあります。そこで、プロセス全体で枠組みをベースアップするべく、マーケティング活動が重要になってくるわけです。その活動中心にあるのは同社が独自に構築した顧客基盤。顧客DB、企業DB、SFAなどのデータと、企業サイトおよびビジネス情報サイト「Wisdom」を組み合わせ、アウトバウンドアプローチを通じてお客様とのコミュニケーションを行い、商談を獲得していきます。
ここで市川氏は、「ポイントは、リアルの営業とWebをどう組み合わせて使っていくかです」とした上で、具体的な戦略・考え方に触れ、「営業マンがリーチできずにいるセグメントに対し、マーケティング部門が連携して一緒に活動を行うこと。それから、顧客属性によって打ち手が異なるため、最初に目的とゴールを明確化することが重要です」と語りました。
では、商談に繋げるコンテンツづくりはどう進めればよいのか。顧客の課題軸で開催するセミナー形式のコンテンツ「eセミナー」では、「営業シナリオに即したコンテンツづくりを意識し、課題提起に始まり、メリットの訴求、デメリットの解消、具体例の提示、製品PRという5つの流れで構成。1ページ1メッセージにこだわり、お客様の心にきちんと届くようにしています」と市川氏。
さらに、具体的な工夫点を次のように説明しました。
●読み手視点のコンテンツ
製品・ソリューションの特長(Feature)、利点・メリット(Advantage)、顧客が課題解決できる価値(Benefit)、さらにこれら3点(FAB)の証拠(Evidence)を明確化する。
●社内関係部門との体制づくり
営業プロセスに沿って担当業務を明確化し、事前ネゴを疎かにしない。
●Webのアクセスログを活用した顧客分析
顧客の心理状況が素直に現れるログを活用し、そこから仮説を立て、フォローシナリオを組み立てる。
●一定規模の確保
WebはOne to Oneでもあるが、マスでもある。Webマーケティングにおいては、ある程度ターゲットの規模を確保する必要がある。
これらを踏まえ、成功のポイントを総括した市川氏は、「商談に繋げるためには、“ターゲット数×コンテンツ×フォロー体制”の組み合わせが重要になるということ。そのためにも、購買プロセスの分解と俯瞰的な視点が大切です」と強調しました。
最後のセッションには、実際にeセミナーの制作を支援してきたロフトワーク クリエイティブディレクターの井上果林が登壇。目標の問い合わせ数の約2倍を獲得したという成功事例をもとに、制作時の実践ポイントを紹介しました。
eセミナーにおけるロフトワークの担当範囲は、本編5ページとお問い合わせフォームの作成、およびメルマガ原稿の作成です。要件定義から原稿制作、デザイン、html制作まで、制作期間は約1.5ヵ月。「特に要件定義には、約3分の1もの時間を費やします」と井上。さらに制作時の実践ポイントを大きく3つ上げ、次のように説明しました。
ポイント1. 詳細なヒアリング
コンテンツを何のために作るのかを明確にするため、ヒアリングシートを用いた詳細なヒアリングを実施。ターゲットの業種、規模感、読者となる担当者の部署や役職、商材に対するリテラリシーなどの情報から、具体的な課題やニーズ、購入時の決定要因、製品の特長やPRポイント、競合製品、さらにはプロモーションの視点で効果的なキーワードなども確認します。
ポイント2. ヒアリングに基づいたストーリー設計
ヒアリング結果に基づいてどういうものを作るかを考え、クリエイティブ提案書にまとめあげます。ターゲット層に抵抗なく読んでもらえるコンテンツを意識し、デザイン、コピーのテイストなどを決定していきます。
ポイント3. コンバージョンUPのための制作Tipsの実践
(1)中身が読みたくなるタイトル・見出しを付ける
大きい文字から拾い読みされ、必ずしも上から順番に読むとは限りません。したがって、何が書いてあるのかをきちんとサマライズできているかどうかが重要になります。
(2)本文理解を助ける図表を用意する
テキストを読まなければ拾えない情報でも、図を見ればひと目で内容が伝わるようにします。一つの図にたくさんの情報を盛り込みすぎないことも大切です。
(3)具体的な数値・事例で根拠を示す
低い・高いといった感覚的な言葉については、数値で根拠を説明することで説得力が高まります。また、事例やケーススタディは、読者が自分の身に置き換えて考えることができる有効な方法です。
(4)他社製品との差異を明確にする
単に製品自体の特長をアピールするだけではなく、他社と比較検討しているユーザーに対して独自のメリットを押し出すことが重要です。
(5)問い合わせフォームへの後押し
製品理解を助けるようなインセンティブを用意することで、確度の高いお問い合わせへとつなげます。eセミナーでは各ページの上下2ヵ所にお問い合わせボタンを配置しています。
以上3つのポイントに共通することとして、井上は、「読者の心に届くかどうか、Webコンテンツを通して何を伝えたいのか、メッセージを明確にした上で原稿やデザインを考えることが大切です」と語り、セッションを締めくくりました。
全セッション終了後は、ロフトワークの滝澤をモデレーターに、登壇者によるパネルディスカッションを実施。会場から寄せられた多数の質問が関心の高さを物語っていましたが、「どんなにいいコンテンツを作ろうと、売上に繋がらなければ意味がない」という市川氏の言葉に、改めてWebマーケティングの難しさを痛感した参加者も多かったのではないでしょうか。
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