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レポート Eng.2 ソーシャルメディアプラットフォーム ~企業自らがリードするソーシャルというメディア~

株式会社ロフトワークは、NECビッグローブ株式会社との共催で、エンゲージメントを実現するためのインフラ、事例を全5回のシリーズで解説する無料セミナー「Webエンゲージメントセミナー」を順次開催しています。その第2回目が2010年11月9日に開催。「ソーシャルメディアプラットフォーム」をテーマに、エンゲージメントを成功させるためのソーシャルの設計やインフラの考え方、ガイドラインづくりなどが紹介され、トリプルメディア時代のマーケティング戦略について考える有意義な時間となりました。

企業に求められるのは「頻繁で透明性の高いコミュニケーション」

トップバッターで登壇したロフトワーク代表取締役社長の諏訪光洋はまず、エンゲージメントの意味に言及。この概念が誕生した経緯に触れつつ、「エンゲージメントとは、対話と行動を通じて信頼を得、目的を共有し、さまざまなステークホルダーとより良い関係を築くこと。“続けていくこと”がエンゲージメントの本質です」と説明。

続いて台頭するソーシャルメディアの現状に迫り、「まだ2年も経たないのに、Twitterユーザーは全世界に1億7500万人。しかも、全体の14%が日本語によるツイートです。海の外の話でマーケティングには関係ないとは言えないでしょう。また、facebookがついにGoogleを抜いたというニュースもあります。さらに、インターネットはメディアの中でNo.2のポジションを獲得。25%の人がマス広告は参考しないという時代です。マス広告を主体に展開しても、25%の人にはリーチできないわけです」と語りました。

では、企業はいったい何から始めればよいのでしょうか。

ここで諏訪は、ソーシャルへの対応に最も成功していると言われるスターバックスの例を紹介。スターバックスでは、オウンドメディア(自社メディア)として、顧客からアイディアや意見を募る「My Starbucks Idea」というソーシャルメディアを持ち、ここで出た500ものアイディアを実際に採用してきました。しかも「いいねボタン」が押された回数は1679万、Twitterのフォロワー数は110万人にも上るから驚きです。

「それってスタバだから出来たんでしょ?と思うかもしれないが、そうではない。たとえば、街の小さな飲食店で、顧客の10%がTwitterを見て訪れるような店もあるのです」と諏訪。その上で、ソーシャルへの対応を成功させるためのアプローチとしてトリプルメディア戦略の重要性を挙げ、「ユーザーは、オウンドメディア、ペイドメディア(広告)、アーンドメディア(ソーシャルメディア)の間を遷移します。企業はこの3つに対して戦略的に取り組む必要がある」と説明。その際には、次の点に留意すべきだといいます。

・バズマーケティングの失敗に見るように広告文脈でのアプローチは失敗する
・企業として明確な戦略がなければならない
・短期的な成果を求めるのではなく中長期的な視点で取り組む
・3つのメディアのエンゲージメントサイクルを回しながらソーシャルメディアと向き合う

さらに諏訪は、「ユーザーが企業を評価する際の重要な指標は、頻繁で透明性の高いコミュニケーションです。エンゲージメントを深める努力をしているからこそ、ソーシャルメディアを通じて顧客と信頼関係を築けるのであって、その逆ではありません」と語り、エンゲージメントの本質である“続けていくこと”の意味を再び強調していました。

スピードに追随するための鍵は「クラウド」と「PDCAサイクル」

第2部には、NECビッグローブ株式会社 ビジネスサービス事業部 部長の山本隆範氏が登壇。全世界のソーシャルメディアサービスの勢力図を示しながら、“ノッってるソーシャルメディア”と“残念だったソーシャルメディア”に言及した山本氏は、「幻想だけでビジネスモデルが描けていなかったり、自分たちで運営して商売道具にしたりというのでは長続きしない」と指摘。ソーシャルメディアへの取り組みは、企業として中長期的な戦略があって、初めて実現できるものであることを強調しました。

さらに、「ソーシャルメディアとは何かというと、結局はお客様そのものだったり、市場そのものだったりする。お客様と向き合うことはマーケティング活動そのものであり、企業はこれまでにも、電話や手紙、FAX、接客、サポートセンターなどを通じて、エンゲージメントを高める取り組みをしてきたはず。つまり、昔から当たり前にやってきたことがソーシャルメディアを活用した活動に取って代わっただけのこと。実は、特別なものでも新しい取り組みでもない」と山本氏。

ただし、やっていることは変わらなくても、圧倒的にスピードが高まっていることは事実。そこで、そのスピードにどうやって追随すればよいかが重要になってきます。車に例えるなら、エンジンやサスペンションが速く走るための道具、ステアリングやハンドリングが速く走り続けるための道具。これをWebの世界に置き換えると、次の2つが鍵を握ると山本氏は説明します。

●速く走るための道具=クラウド型のプラットフォーム
ソーシャルメディアを活用すると、ローコストで大量の顧客を誘導できるため、肝心なときにサーバーがダウンするようなことも起こり得る。これは大きなマイナス要素となるため、柔軟性と拡張性に優れたクラウド型プラットフォームの採用が選択肢の一つになる。

●速く走り続けるための道具=PDCAサイクルを回す仕組み
Twitter分析サービスや、ブログ解析サービスなど、現状の問題点を見極め、改善につなげるためのツールの活用が不可欠となる。単純に数値を見るだけなく、どこで何が語られているかを知る意味でも活用の意義は大きい。

企業のソーシャルメディア活用において、これらのプラットフォームの提案から、企画立案、サイト運営までをトータルに支援するビッグローブ。最後に山本氏は、成功例から導き出した実践のポイントとして、次の5つを挙げました。

<ソーシャル活用を成功させるためのポイント>
1.まずは小さく、そして長く、ムリなく続ける
2.柔軟なシステムと理解者を確保する
3.効果測定の考え方を大まかに描く
4.柔軟に変化できるように、特定のサービスに固執しない
5.緩やかだが確かなルールをつくる

運用リスクを回避するアプローチとルールづくりのヒント

注目の第3部には、ヤマハ株式会社 国内営業本部 営業企画部 WEB・IT推進室長 兼 eヤマハ室CGMプロジェクトリーダーの鞍掛靖氏がゲストスピーカーとして登場。ヤマハのソーシャルメディアへの取り組みを紹介しました。

そもそもヤマハがソーシャルメディアの活用を決めた理由を、鞍掛氏は、「企業サイトのアクセス数が頭打ちであるのに対し、ソーシャルメディアは急速に伸長している。消費者は企業が発信する情報だけでなく、他のユーザーの評価や情報を非常に重要視しているという事実があり、もはや自社サイトでの情報発信のみでは不十分。こうなると、なんらかの形で参加せざるを得ないでしょう」と説明。

さらに、早い段階からソーシャルメディアの活用を進めてきた経験から、次の3つの留意点を挙げます。

留意点1:継続的なコミュニケーションをする
継続的なコミュニケーションが成果を生む。ソーシャルメディアは双方向のコミュニケーションを続けていくのに最適なメディアである。
留意点2:傾聴する
お客様の声は商品開発のネタの宝庫でもあり、非常に重宝する。ソーシャルメディアを活用すればいつでも情報を拾うことができるため、あとは感度を高めて傾聴し、いかにアイディアがひらめくかにかかっている。
留意点3:個人のアカウントでまずは参加し、自らはまる
ソーシャルメディアはユーザーのメディア。土足で踏み込むのは失礼である。参加させていただくという姿勢が大事。だからこそ、個人でアカウントを取得してまずは体験し、そこでの雰囲気や暗黙のルールを把握すること。眺めているだけでなく、使いこなしてはまってみないと、自社で活用できるかどうかの判断はできない。

ヤマハではこれらを実践しつつ、次の5つのステップで活用を進めているといいます。

1.専任体制をつくる
片手間ではできないし、やりたい人がやらないと続かない。ヤマハでは社内公募をしてチームを編成した。
2.トップの承認を得る
万が一炎上した場合のことも考える。トップに対してはリスクを含めてきちんと説明し、重要性をアピールする。
3.ルールをつくる
勝手にやるのは会社としてリスク。最低限のルールをつくる。ヤマハでは「ソーシャルメディアの新規開設と運用管理」の決済申請ルールをつくって運用している。
4.担当者を育てる
継続的なコミュニケーションが重要であり、やりたい人がやると同時に、やれる資質、センスも必要。ヤマハでは、担当者にワーキンググループへの参加を求めている。
5.ガイドラインをつくる
ヤマハでは、「運用ガイドライン」「運用ポリシー」「個人利用のガイドライン」の3つのガイドラインを用意している。

いずれも運用上のリスクを回避するためには不可欠ですが、中でもガイドラインづくりは多くの企業が頭を悩ます部分です。そこで鞍掛氏は、3つのガイドラインの内容についてさらに詳しく紹介。ガイドラインづくりのヒントを提供してセッションを締めくくりました。その主なポイントは次のとおりです。

「運用ガイドライン」
運用責任者、担当者の指針となるもの。はじめる前に注意すべきこと、ソーシャルメディアの特徴とリスク、遵守事項、注意事項、トラブル対応方法などを記載し、実務に即したマニュアルにする。
「運用ポリシー」
お客様に対するソーシャルメディア活用の考え方と留意事項を明らかにしたもの。「企業としてちゃんと考えてやっている」という意志表示をすることが大事。
「個人利用のガイドライン」
社員がプライベートで参加する場合のガイドライン。問題を起こしたり、顧客に誤解を与えたりするリスクを減らすため、社員にインターネット上のリスクを把握してもらい、自覚を持って行動してもらうのが狙い。人事部門、法務部門とも協議しながら作成。


全セッション終了後の質疑応答では、ヤマハの鞍掛氏に質問が集中。ガイドラインづくりに関する質問が大半を占め、多くの企業担当者がソーシャルメディアの活用になんらかの不安を持っている実態が伺えました。

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