Home > セミナー・イベント > 企業に求められるオウンドメディア戦略

企業に求められるオウンドメディア戦略

トリプルメディア戦略がキーワードとして注目を集める中、これまでマスメディアを活用して集客に取り組んできた多くの企業が、自社サイトをオウンドメディアと位置付け、さまざまな施策に打って出ようとしています。そこでロフトワークは2010年11月26日、先端事例から多くのヒントを提供すべく、オウンドメディア戦略にフォーカスしたセミナーを開催。エースホームからゲストスピーカーを迎え、Webサイト構築プロジェクトから実際の活用、iPhoneへの展開までをじっくり解説しました。

ネットで成功するのはエンゲージメントを〈やめない企業〉である?!

オウンドメディアの価値を高めるポイント

ペイドメディア(広告)、アーンドメディア(口コミ、CGM)、オウンドメディア(自社メディア)の3つのメディア(トリプルメディア)に対し、企業はどう取り組むべきなのか。「かつてはペイドメディアを中心にマーケティングが組み立てられてきたが、これからはオウンドメディアを中心に据えるべき」と指摘するロフトワーク代表取締役社長の諏訪光洋は、自社の取り組みを例に挙げつつ、その重要性を次のように語りました。

「いしたにまさき氏の『ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である』という本の中に、“すべてはログが教えてくれる”“自分のログは自分で作るしかない”という言葉が出てきます。これと同じで、企業のログはその企業にしか残せないのであって、他社が作ることはできません。ここがオウンドメディアの特徴です。ホンダなどは、オウンドメディアの強化こそが根幹であり、アーンドメディア、ペイドメディアはその補完的な位置づけに過ぎないとしています。」

一方で、インターネットが第2のメディアになり、Twitterユーザーが世界中で1億7,500万人という時代に、アーンドメディアが非常に大きな影響力を持ちつつあることも事実。「コトラーのマーケティング3.0」にもあるように、人々がコンシューマーからプロシューマーへと変化し、企業の製品開発や販売活動において、いかに生活者に協力してもらえるかが成果を左右するようになっています。

それでも、「アーンドメディアに対して広告文脈ではなく、オウンドメディアの文脈でアプローチすることが大切」と諏訪。スターバックスが自社メディアとして展開するソーシャルメディア「My Starbucks Idea」を通じて、顧客から募った500ものアイディアを実現してきた例を紹介し、「このように透明性の高い情報を発信し、顧客との対話を増やしてきた企業が成果を上げている。つまり、エンゲージメント(=オープンで継続的な対話)がキーワードになります」と説明しました。

実際、企業を評価する上で重要な指標として、95%もの人が「頻繁で透明性の高いコミュニケーション」を挙げていることからも、ユーザーはもっと企業と対話したいと考えていることが伺えます。そこで、最後に諏訪が言及したのは、「継続」「(ログの)蓄積」「改善」の3つを可能にするプラットフォームづくり。エンゲージメントの実現においては、PDCAサイクルをいかに速く回せるかが鍵になると語りました。

オウンドメディアとして大きく育てるためのリニューアル

エースホームが実現したリアルとネットのシナジー

続いて、本セミナーの目玉となるセッションには、エースホーム株式会社 取締役 企画開発本部 本部長の佐藤直敬氏が登壇。同社は、2010年9月にWebサイトのリニューアルを終えたばかり。佐藤氏はまず、会社設立当初(2000年)からのWebサイトの変遷を振り返り、2007年のCMS導入によるフルリニューアルを機に運用しやすい仕組みを手に入れ、2回目となる今回のリニューアルによって、成果につながるWebサイトが実現しつつあることを紹介。

その上で、今回のリニューアルの目的とその達成に向けて工夫したポイント、さらにはプロジェクトにおける留意点を、次のように総括しました。
目的1. カタログ請求数の拡大
カタログ請求やイベントなどへの来場を促すため、信頼感の持てるデザイン、探しやすい構造、わかりやすいゴール(カタログ請求ボタンの配置など)に注力。また、回遊率の向上を図るため、コンテンツとして蓄積してきた「お客様の声」を有効活用。
目的2. 加盟店からの情報発信量アップ
各加盟店が開催するイベントはエースホームを知ってもらうための大切な機会であるため、現場が自ら情報発信できる仕組みを実現。これにより、Webサイトの規模拡大と多様な切り口での情報掲載が可能となり、検索にもヒットしやすくなる。
目的3. Webサイトへの集客力アップ
「エースホーム」「一戸建て」といった汎用的なキーワードにとどまらず、「長期優良住宅」「住宅エコポイント」「引渡完成保証」など、自社の強みをアピールできるワードで集客できるように設計。

<プロジェクトにおける留意点>
最初に次の点を明確にした上でプロジェクトを始動させることが重要。
・サイトの目的は何か
・自社の強み、大切にしたいものは何か
・伝えたいこと、知らせたいことは何か
・絶対に超えられない予算の上限
・納期
・やりたいことのすべて(+優先順位)

また、リニューアルの成果については、「もともと500ページあったが、リニューアル後約2ヵ月で約350ページも増え、11月20日時点で853ページ。ページビューやサイト来場者数、カタログ請求数も着実に伸びています。また、運用面でも作業量が今までの半分で済むなど、より簡単に更新できるようになっています」と佐藤氏。

さらに、Webサイトのリニューアルと並行で進めたというiPhoneアプリ開発にも触れ、「当社のメインターゲットは子育て世代。商談中に一番困るのが子どもの扱いです。これまではクレヨンと画用紙を渡して遊ばせていたのですが、これに代わるものとして開発を依頼。iPhoneなら、出来上がった作品をその場で当社が実施するキャンペーンに投稿したり、後でWebサイトに公開したりすることも簡単です」と説明しました。

iPhoneアプリ以外にも、同社のチャレンジは続きます。たとえば、加盟店とのコミュニケーションの拡大を目指して開始したのが、本部スタッフblog。これにより、組織全体での販促ナレッジの共有が可能になりつつあります。また、本部からの情報発信の強化策として、TwitterやUstreamの活用も始まっています。

佐藤氏は、「今後はアクセスログの解析なども行いながら、Webサイトの継続的な改善を続けていく」として、「成果につながるWebサイトの実現に向けて、本部と加盟店とが協力して有用なコンテンツを増やし、エースホームのオウンドメディアとして大きく育てていくことが目標」と決意を語っていました。

エースホームWeb戦略を実現したサイト構築

第3部では、エースホームを支援したロフトワークのクリエイティブディレクター2名が、制作現場の視点からプロジェクトを解説。Webサイトリニューアルにあたり実施した具体的な施策を太田聡が、iPhoneアプリ開発の実際とTipsを北島識子が紹介しました。

リニューアルはゴールではなく次のステップに向けた準備

Webサイトリニューアルにおける具体的な施策

目的1. 問い合わせの増加
1)デザイン面での改善
●エースホームのブランディングをさらに強めるデザイン
信頼性を高める洗練された色味やトーンでまとめると同時に、子育て世代がメインターゲットであることを踏まえて親しみやすさにも配慮。
●商品をより魅力的かつわかりすく表示
エースホームの一番の強みでもある商品力をアピール。

2)構造面での改善
●問い合わせの表示方法の検討
リテラシーの高くないユーザーも取りこぼすことなく問い合わせにたどり着ける導線を確保。
●ユーザー導線の改善と回遊性の向上
ユーザーの欲する関連情報を過不足なく提供できるように配置。

目的2. 情報発信力の強化
●既存コンテンツの活用
これまで蓄積されたコンテンツが埋もれてしまわないように、再整理して有効活用。
●店舗ごとの情報発信の強化
各店舗が更新できる範囲を拡大。爆発的にページ数を増やしてLPO対策にも期待。
●自由なキャンペーンの実施
キャンペーンページ用のテンプレートを開発。制作フローを圧縮して、いつでも速やかにキャンペーンが打てる環境を実現。

目的3. 同一CMSを用いたリニューアル
●資産の活用
CMSではコンテンツとデザインを個別に管理しているため、既存の登録コンテンツを極力流用し、見せ方だけを変える形でテンプレートを構築。
●移行コストの削減
既存のコンテンツを流用することで移行に伴うコストと期間をゼロに。
●運用負荷の軽減
運用時のインターフェイスには変更なし。同一プラットフォームなら特別なトレーニングは不要。

「Webサイトはどんどん成長させていかなければなりません。リニューアルはゴールではなく、次のステップに歩みを進めるための準備です」(太田)

iPhoneアプリ開発の実際とTips

ユーザー体験度の高いプロモーションを行いたいとのエースホームの要望を受け、絵が描けない未就学児にも楽しんでもらえるものをと、iPhoneアプリの開発を提案したロフトワーク。開発にあたっては、HTMLとJavascriptで機能するサービスを利用することで開発期間を短縮するなど、限られたコストと期間で質の高い成果物を実現することに注力したといいます。

「実際のプロジェクトの流れは『制作』と『申請』の2ライン。制作は通常のWebサイトと同じ流れですが、操作性を重視すべきとの判断からビルド作業を何回も繰り返しました。実機検証による調整作業は欠かせません。それから、意外と面倒なのが申請作業です。申請の手順や書類などの準備期間に配慮し、スケジュールに余裕を持たせておく必要があります」(北島)。

さらに北島は、iPhoneアプリ開発時のTipsとして、次の3点を強調しました。

●アプリを作る目的を明確に!
来客促進、ブランディングといった目的を共有することで、より良い提案につながる。
●検索ワードがものを言う!
Apple Storeに登録する説明文は引きのあるテキストにする。
●開発後の告知も忘れずに!
アプリを育てていくことも大切。PR戦略についても、あらかじめ考えておきたい。

全セッション終了後は、ロフトワークの君塚をモデレーターにパネルディスカッションを実施。登壇者からは、バランススコアカードやKPIといったキーワードも飛び出し、オウンドメディア戦略は試行錯誤の繰り返しであり、長期戦になるとの認識で一致。とはいえ、本来こうあるべきという遠い目標に一歩ずつ近づいていけるのがWebのいいところ。だからこそ難しくもあり、面白い作業でもあることを感じさせてくれました。

blog comments powered by Disqus

次回セミナーのご案内

株式会社ロフトワーク

  • 開催日時 : 2012年06月07日(木) 14:30~17:30 (受付開始 14:00)
  • 場所 : 梅田 ブリーゼプラザ 805号室 大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー8階 【 地図・行き方
  • 参加費 : 無料

お問い合わせ

株式会社ロフトワーク セミナー・イベント担当 : お問い合わせ時間10:00~18:00(土・日・祝祭日を除く)

TEL 03-5459-5123



Copyright© 2000-2012 Loftwork inc. ALL Rights Reserved.