Home > セミナー・イベント > レポート Eng.3 キャンペーン ~Web/モバイルキャンペーン成功のヒントを探る~

レポート Eng.3 キャンペーン ~Web/モバイルキャンペーン成功のヒントを探る~

株式会社ロフトワークは、NECビッグローブ株式会社との共催で、エンゲージメントを実現するためのインフラ、事例を全5回のシリーズで解説する無料セミナー「Webエンゲージメントセミナー」を順次開催しています。2010年12月7日に開催された第3回目のテーマは「キャンペーン」。エンゲージメントを意識したキャンペーンは今後どうなっていくのか。「角ハイボール」をはじめとして、Webを含めたユニークなマーケティング展開をしているサントリーからゲストスピーカーを迎えるとあって、会場には、成功のカギを探ろうと多くの企業担当者が詰めかけました。

頻繁で透明性の高いコミュニケーションの重要性

セッション資料  嘘のキャンペーン、対話のキャンペーン エンゲージメントが生む信頼の重要性

第1部に登壇したロフトワーク代表取締役社長の諏訪光洋は、最初に全5回を通じたテーマ「エンゲージメント」の定義を復習。「一言で言うと“オープンで継続的な対話”。対話と行動を通じてさまざまなステークホルダーの信頼を得て、目的を共有し、より良い関係を築くこと。これは個人が日常的に行っていることであって、企業もきちんと行っていかなければなりません」(諏訪)。

続いて本題に入り、最近Webで話題になったキャンペーン映像を流しつつ、かつてのマス広告時代を振り返り、「まず予算のかけ方が億単位と桁違い。広告代理店が編成する優秀なギルド的クリエイティブチームがいて、年間10種類以上のスポット広告を打っていた。たとえヒットが生まれなくても、ある程度の効果が見込める仕組みがあったわけです」と説明。

メディアを3つに分けて考える「トリプルメディア戦略」

一方Web時代はというと、メディアバイイングとクリエイティブの分離、多様なメディア形態と技術の進化のスピード、変化する流行、効果測定の難しさといった複数の要因から、手堅いヒットメーカーをなかなか見つけられない現状があります。「こうなると、『成果を保証します!』みたいな動きに乗っかって失敗するケースも出てくる」と諏訪。ヤラセ疑惑などはその象徴的なもので、実際に火傷する企業が多数生まれてしまったのです。

こうした高リスクな手法、強引な手法によってダメージが発生するのを回避するには、メディアをペイドメディア(広告)、アーンドメディア(口コミ、CGM)、オウンドメディア(自社メディア)の3つに分けて考える「トリプルメディア戦略」が欠かせないといいます。「特に、効果的なキャンペーンにはアーンドメディアが無視できなくなっていますが、注意したいのが、広告文脈でアーンドメディアにアプローチしても失敗する可能性があるということ。あくまでもオウンドメディアを起点に、長期的な視点でアプローチしていくことが望まれます」(諏訪)。

オウンドメディアの強化を支援したエースホーム株式会社

ここでオウンドメディアの強化によってエンゲージメント力が向上した例として、ロフトワークが支援したエースホーム株式会社の成功事例を紹介。それらに共通するのは、積極的かつ定期的な情報発信を行い、PDCAサイクルを回し続けるためのプラットフォームを整備している点です。第1部を通して「頻繁で透明性の高いコミュニケーション」の重要性を訴えた諏訪は、「プラットフォームがないところには良質なエンゲージメントも作れないし、良質なキャンペーンも生まれない」と声を大にしていました。

これからのキャンペーンはフローからストックへ、コストから投資へ

セッション資料  Web・モバイルキャンペーンを実現する最適ソリューション

第2部では、NECビッグローブ株式会社(以下、ビッグローブ) ビジネスサービス事業部 部長の山本隆範氏が、自社のサービスや事例の紹介をからめながら、効果的なキャンペーン実現のヒントに迫りました。冒頭で「最近は、キャンペーンを考える際に必ずソーシャルとの関わりに触れざるを得なくなっている」と指摘した山本氏は、自社で支援した事例から、ソーシャルとの緩やかな関わりを広げる取り組みをしているUSJのサイト「We are USJ」や、Twitterを活用したパナソニックのキャンペーンを紹介。

その上で、「従来の4マスを前提としたアプローチから、Webを中核としたアプローチになってきたことで、マーケティングのあり方は大きく変化している。従来のマスメディア広告の文脈でソーシャルにアプローチするなど、やり方を間違えれば失敗することもあります。エンゲージメントという観点でアプローチしていくことが重要なポイント」と語りました。

ここで山本氏が提案したのは、意外にも電子メールの活用です。「メール広告を過去のもののように言う人もいますが、我々はむしろ重要性が高まっていると考えています。ビッグローブではメール配信の仕組みをASPサービスで提供していますが、メールマーケティングの事例を見ても、それぞれのステージにいる人に対して適切なメッセージを送り続けるのに、非常に柔軟で優れたツールであることは間違いありません」(山本氏)。

実際、顧客の反応を見ながら使い方を変えていけるのがメールマーケティングの大きなメリットです。「弱いつながりでも、ないよりはずっと価値がある」と考えれば、アドレスの変更プロセスを容易にしたり、配信頻度を段階的に変更できるようにしたりなど、「オプトダウン」という選択肢を用意することで配信停止を踏みとどまらせることもできます。

一方で、今後のトレンドを考えると、スマートフォンやタブレットPCといった新しいデバイスへの対応も重要になってきます。山本氏は、「属性と行動履歴、ロケーションなどを掛け合わせたキャンペーンなども考えられそうです。特に人の流れを作り出すことに取り組む企業は、いろんなツールをどう使いこなすかが鍵になってくるでしょう」と語り、こうした企業の取り組みを後押しする環境について、「今は、ちょっとした仕掛けでWebから大量のデータを取得できる時代。従来とは異なり、キャンペーンの実施中に施策の方向性をチューニングすることもできる。しかも、解析サービスを上手に活用すれば、データに翻弄されることなく、手間をかけずに今の状況を把握することも可能です」と強調しました。

・フローからストックへ(ノウハウの垂れ流しではなく蓄積へ)
・コストから投資へ(痛い出費ではなく継続的に積み重ねていくことができる投資へ)
こうした考え方をもってキャンペーンに取り組める状況になってきたのは、歓迎すべきことだと言えるでしょう。

飲む場、買う場、メディア、口コミを通じて新カテゴリーの提案が成功

第3部では、ハイボールブームの火付け役となったサントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー) から広報部の坂井康文氏が登場。同社のWebサイトやソーシャルへの取り組みからハイボールのキャンペーン展開に至るまで、密度の濃いプレゼンテーションが展開されました。

坂井氏は、はじめに昨今のメディア環境や消費者行動の変化を細かく分析した上で、サントリーが自社サイトやソーシャルメディアの存在を重要視しつつも、ものづくりの現場が重要な情報発信拠点であること、依然として人々の報道への高い信頼があることは軽視できないと説明。こうした考えのもとで1995年から運営してきたホームページの変遷を振り返り、「インターネットを活用して新しいことにも積極的にチャレンジしていこうとしており、ホームページやマーケティングへのWeb活用において高い評価を得るなど着実に成果を生んでいます」と語りました。

そんな同社のソーシャルへの取り組みはというと、2006年3月に工場をPRする目的でブログを立ち上げたのが始まりです。その後2008年にサントリー公式ブログ「サントリートピックス」(サントピ)を開設し、現在は全部で6つのブログを運営。さらに、作り手の思いをダイレクトに伝えられる場としてブロガーイベントを開催。この他にも、Twitter連動サイト「ほろったー」を運営したり、サントピでつぶやきを開始したり、Twitterを活用したキャンペーンを展開したりなど、ファンづくりの仕組み強化に積極的に乗り出しています。

こうして継続的に消費者の声に耳を傾けてきた結果、大きな成果につながったのが「角ハイボール」キャンペーンです。「ウイスキー市場は1983年をピークに右肩下がり。そんな中でもお客様の声を聞きながらきっかけを見つけ、色々な部門が連携して全社一丸となって取り組みました。飲む場、買う場、メディア、口コミを通じて、総合的に新カテゴリーの提案がうまくいったということだと思います。我々広報部としては、気づく(Attention)、興味を持つ(Interest)、調べる(Search)、購入する(Action)、意見を共有する(Share)のAISASを意識して活動してきました」と坂井氏。

つまり、自社のホームページだけでなく、報道との連鎖、ブロガーイベントや工場見学などのリアルな場での情報発信、それに伴う口コミの広がりなどが相乗効果を発揮して、ウイスキー復権に向けた大きな流れが出来てきたと言えます。

最後に、ハイボールのこだわりの作り方を伝授した坂井氏は、「今の流れが一過性のブームで終わってしまっては意味がありません。ハイボールはあくまでも入り口。そこからさらにウイスキーの奥深い世界に興味を持っていただけるように、これからも情報発信を続け、より多くのお客様にファンになってもらう活動を続けていきたい」と語りました。

全セッション終了後の質疑応答では、会場から多くの質問が飛び出し、Webを活用したキャンペーン運営に悩む企業担当者の課題が見え隠れしていました。確かに、成功事例を後から振り返るのは簡単でも、どうなるかわからない中で実施している最中は難しい。わからないながら乗り越えてきたサントリーは、ユーザーの声を聞くことからスタートしたからこそ信じてやってこられたのかもしれません。そして、これこそが、まさにエンゲージメントの力と言えるのではないでしょうか。

blog comments powered by Disqus

次回セミナーのご案内

株式会社ロフトワーク

  • 開催日時 : 2012年06月07日(木) 14:30~17:30 (受付開始 14:00)
  • 場所 : 梅田 ブリーゼプラザ 805号室 大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー8階 【 地図・行き方
  • 参加費 : 無料

お問い合わせ

株式会社ロフトワーク セミナー・イベント担当 : お問い合わせ時間10:00~18:00(土・日・祝祭日を除く)

TEL 03-5459-5123



Copyright© 2000-2012 Loftwork inc. ALL Rights Reserved.