Home > セミナー・イベント > 「ビジネス成果をあげるためのWeb戦略」第1回開催レポート
近年、Web はその重要度の高まりとともに、広告や宣伝など事業部のツールとしてだけではなく、企業戦略にも密接に関わるようになってきました。しかし、技術の変化が著しい上に新しいサービスが次々に登場する中、多くのWebマスターや経営層にとっては、 どこから手を付け、戦略立案するとより良い形になるのか、常に大きな課題となっています。
「Web戦略会議」は、単に短期の戦術を次々に実行するのではなく、数年先を見据えて企業活動に最大限に貢献するためのWeb戦略にフォーカスし、その考え方や具体的な実践などを様々な角度から検証、検討するセミナー・シリーズとして開催するものです。
第一回は、「ビジネス成果を上げるためのWeb戦略」と題して企業におけるWeb戦略を策定するために必要な要素や標準手法、戦略的な企業サイト・リニューアルで高い成果を上げた事例などをご紹介しながら、ビジネス成果を上げるためのWeb戦略をどのように考えていくべきか検討しました。
そもそも「戦略」とは何か、そして、Web戦略を考える上で最も基本となる基本的なことがらについて、株式会社インプレスビジネスメディア「Web担当者Forum」編集長の安田英久氏が登壇しました。
そもそも「戦略」とは、具体的・実際的な行動に関する「戦術」や「施策」に対して長期的な計略のことを指すのですが、Web戦略を考える際には、考えておかなければならないことがあります。
・その戦略は経営理念や経営方針に沿ったものであるか
・達成したいビジネス目的は何か
・対象となるユーザーセグメントは何か
「その戦略は経営理念や経営方針に沿ったものであるか」ですが、戦略はとにかく作ればいいというわけではなく、企業活動のベースとなる企業理念や経営方針があって初めて決められるものです。
そうした上で、サイトの「達成したいビジネス目的は何か」を策定します。この「目的」というのが、曖昧に設定されがちです。たとえば、
× とにかくたくさんの人にホームページに来てもらいたい
というものは「ビジネス目的」だとはいえません。そのサイトで達成したいこととして、ものを売りたいのか、宣伝がしたいのか、採用がしたいのかということが決まってから、多くの人に来てもらうための工夫が始まるのです。何のためのサイトかの定義が明確でないと、費用対効果の測定もできません。目的によって「効果」は変わってくるのですから。
では、どんな人に来てもらいたいのでしょうか? そこが「対象となるユーザーセグメントは何か」の設定です。ここでひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。
・万人を満足させるWebサイトなどは、無い。
企業としての対象ユーザーは幅広くても、各事業でセグメントできるはずです。まずは顧客の姿を明確にし、優先度を決めましょう。ここまでが決まってはじめて、どんなサイトにするか決めることができるのです。今話題のソーシャルやSEOということは、その次に議論すべきことです。
続いて、Web戦略を決定する上で有用なテクニックについて、株式会社ロフトワーク、代表取締役の諏訪光洋がお話させていただきました。
諏訪は、まずはじめにロフトワークにおいても実際に活用されている標準的ノウハウを紹介。
・Project Management(PMBOK) プロジェクト管理の標準知識体系
・Balanced Scorecard(BSC) 戦略立案・実行評価フレームワーク
・Project Portfolio Management 戦略策定技法
この三位一体による戦略を実施することで、Web戦略においても最大限の効果を発揮することができます。まず「Project Management(PMBOK) プロジェクト管理の標準知識体系」ですが、PMBOKとは、世界で200万部以上読まれ、25年以上蓄積されてきたビジネスノウハウをつめこんだガイドブックです。ロフトワークでは、これに基づき、Webディレクター向けのPMBOKを出版しております。
たとえば、PMBOKに載っている手法に基づき、プロジェクトを9つの知識エリアに分けることができます。
さらにそれを、立ち上げ、計画、実行、監視・Control、集結という5つのプロセスごとに整理することで、計画において弱いところ、難しいところ、挑戦することを把握でき、バランスのよいマネジメントを行うことができます。
続いて「Balanced Scorecard(BSC) 戦略立案・実行評価フレームワーク」は客観的にプロジェクトの評価を行うものです。最近では大企業の人事評価にも導入されています。
業績というのは儲かる・儲からないだけでは判断できません。そこでバランススコアカードは、企業のもつ重要な要素が企業のビジョン・戦略にどのように影響し業績に現れているのかを可視化するための業績評価手法です。
この評価の実践は、客観的にプロジェクトを見ることができるほか、経営層に馴染みのある評価システムなので、上司に提案する際にも有効です。
最後に「Project Portfolio Management 戦略策定技法」です。これは複数の事業を行う企業が、戦略的観点から経営資源の配分が高効率で効果的な事業の組み合わせを決定するための経営分析・管理手法です。つまり、プロジェクトの全体最適化を行うことです。
やりたいことの見える化、今何をしていて、それは何のためかを常に明確にしておくプロセスです。
以上、この3つのグローバルな標準手法にのっとってWeb戦略を行うことで、高い効果を得ることができます。
先の2つのセッションでは、まず、「Web戦略」は闇雲にたてるものではなく、達成したいビジネスの目的を明確にし、ターゲットとなる顧客の姿を意識した上でたてるものであるということ、そして、そのWeb戦略をたて、プロジェクト化をする上で必要な要素をPMBOK、BSC、PPMといった、グローバルスタンダードを意識することで、プロジェクトそのものの全体最適化を促進し、高い効果をあげることができるということがわかりました。
それでは、具体的にはどのように進めればいいのか。最後はCMS製品のベンダーとして、長年お客様のWebサイト制作のサポートを行っているアシスト 中田文紀子氏が登壇。企業のビジネス戦略をどのようにWebサイトに体系化するべきか、その具体的な手順をについて解説しました。
まず、Webサイトを作る「目的」を明確にする必要性は、はじめのセッションで理解したことですが、中田氏はその「目的」を明確化させ、目指すWebサイトにむかうための工程には5つのステップがあると述べました。
今回のセッションでは、Webサイト構築にあたっては1番の「肝」となるStep1:Webサイトの要件定義についてご紹介しました。
要件定義はそもそもそのシステムに、どのような振る舞いをさせ、さらにはそこからどのような効果を得ようか、得たいかを考える重要なポイントです。中田氏はこのフェーズで必要とされる6つのポイントを紹介。この要件定義は投資に対する「意思決定」をさせるためのデータを見える化することであり、また目的を明確にすることでROIを算出するための指標作りとなると述べました。
●実践1 今のサイトを知る。現状分析
リニューアルや、ソーシャルなどの新しいツールの導入の前にまずは現状把握です。実際にサイトをしっかり見て、関係者から意見を聞いて、サイト訪問者がどう感じるかを客観的に知る
●実践2 自分の会社やビジネスについて整理
Webサイトだけではなく、会社全体の理念や事業計画を再考し、すり合わせを行い、会社の強みや競合、
周りの環境など、改めて会社を捉え直す。
●実践3 Webサイトのユーザを明確に
取り入れたい技術ややりたいことを抜きにして、まずターゲットをどこに設定するか、セグメントを明確にする
●実践4 ユーザが欲しい情報、ユーザへ伝えたい情報を明確に
発信する情報と、受信される情報のすり合わせを行う。
●実践5 Webサイトのコンセプト(目的)を 定義
Webサイトで何を伝えたいのか、Webサイトのゴールは何か目標を具体的に設定する
●実践6 導線設計・情報構造設計を実施
コンバージョンポイントは何にするか、どんなコンテンツを準備するか、導線はどうするか、さらに具体的な要素の設計
大切なのは、知り、考え、そして定義することです。目的や目標はもちろん、自分たちの会社、そして周りの環境も観察することで、自分達がWebサイトに望むことがはっきりします。Webサイトはすべてを網羅できるわけではありません。Webサイトにどのような役割を担わせるのか、それを明確にすることで、より高い効果を生むWebサイト構築が実現すると締めくくりました。
株式会社ロフトワーク セミナー・イベント担当 : お問い合わせ時間10:00~18:00(土・日・祝祭日を除く)
TEL 03-5459-5123
Copyright© 2000-2012 Loftwork inc. ALL Rights Reserved.