Home > セミナー・イベント > コミュニケーション戦略最前線!これからのマス広告とデジタルマーケティング
日立情報システムズとの共催してきた「次世代サイトを考えるNextWebセミナー」。2011年3月8日に開催された最終回では、 日経デジタルマーケティング副編集長の杉本昭彦氏とNexalの上島千鶴氏をゲストスピーカーにむかえ、「テレビ、PC、携帯」のトリプルスクリーンの時代を、今後マスメディアや広告はどうなっていくのかについて解説しました。
最初に登壇したのは、日経デジタルマーケティングの副編集長の杉本昭彦氏です。
日経デジタルマーケティングは、旧・日経ネットマーケティングという誌名で創刊。この1月に誌名を変更し、最先端のマーケティング手法や注目の事例を経営視点で読み解くための情報をWebと紙で提供しています。同紙でも記事はWebで先行し、紙媒体では経営層を対象に一覧性を高めた形に再編集して提供しています。
「マスメディアとは『1対1のパーソナルなコミュニケーションとは違い、大多数の方に発信できるメディア』で、インターネットはこれに加え、双方向に、特定少数への情報発信も可能にしました。1995、96年ごろからネットが普及し、メディアのデジタルシフトが加速しました。インターネットも十分マスメディア的役割を果たすことができます。しかし、サイトの選択肢が多すぎるので1つのサイトだけではリーチが足りないのが現状です」
ネットに広がったマスメディアの現状について振り返ったうえで、杉本氏は、デジタルマーケティングの最大の特徴とは「効果の実数を計測可能なこと」と指摘。そのなかで、従来型の広告(マス)に変化が生じているといいます。
例えば、双方向型テレビCM(インタラクティブアド)を利用したスバルのCMでは、デジタルテレビで視聴すると画面に表示される赤いボタンでプレゼントに応募ができるキャンペーンが行われました。ローソンの前に設置されたデジタルサイネージ「東京media」では、前に立った人の属性を目線などで認識し、それが男性であった場合に画面のなかの女性が話しかけて、電話番号を教えてくるという仕掛けが設定されていました。その広告の場合、何人がその問いかけに反応して、何人が広告を見て電話したのかが測定できる。従来の看板ではとれなかった効果が見えるという結果を生んでいます。
そして大和ハウス、ユニクロの具体的な事例を紹介。大和ハウスは建て替え戦略の商品を宣伝するために、広告を打つのではなく、TwitterやUstreamと連動するインタラクティブドラマを作成。住宅というなかなかメディアに取り上げられにくい商品をニュース性を加えることで、マスメディアの番組・記事に掲載される伝播力を得ました。ユニクロはネット上でFacebookなどを活用するなど、Webをグローバルな発信メディアの中心として位置づけています。その一方でチラシの配布も毎週行い、テレビ・ネット、雑誌など活用した戦略も継続しているのです。
杉本氏は今後、インターネットはグローバル化を、マスメディアは各国独自の事情をくんだローカル化を強みに力を発揮していく可能性があると語りました。
続いて登壇したのは、株式会社ロフトワークの君塚美香です。君塚はほんの数年前までマーケティングといえば、いかに広告費を社内で獲得するか、リスティング広告用のキーワードはどうするかなど、比較的閉じた世界であったと振り返ります。しかし、いまはこれまでのマーケティング成功体験を払拭する時代がやってきており、消費者の方がFacebookやmixiを使いこなし、企業より一歩先を歩いています。では、企業は、そして担当者はどうすればいいのでしょうか?
2010年の時点で、Twitterを5人に1人が利用しています。ADKインタラクティブのレポートによると、10代から20代の主要な接触メディアの傾向は、男性はテレビよりもPCとモバイルの閲覧時間が長く、女性は知人との会話が長く、クチコミで情報が波及するというデータも出ています。これまでのテレビから、雑誌、ラジオ、Webに繋がっている状態からWebを中心としたコミュニケーション設計の時代へとシフトしていることがわかります。
デジタルメディアの特徴として、広告の効果が計測可能で安価なコストでも実現できること以外に、消費者と直接コミュニケーションができることがあります。
フィリップ・コトラーが「マーケティング3.0」のなかで、「企業も人と感情でつながっていく、消費者がこれまでは企業を少し怖いと思っていたのが、強力なサポーターになりうる、そしてBtoCからさらに進化した「BwithC」として一緒にブランドを作っていくことができるようになる」と記しています。消費者としっかりと向き合うことを主としたコミュニケーションは「エンゲージメント」という言葉で定義され始めています。
では、企業がやるべきことは何なのでしょうか。消費者とエンゲージメントを作るために、企業が取り組むべきことについて、君塚は以下のように解説しました。
今は消費者の声をダイレクトに聞くことができます。それはもしかすると批判かもしれません。しかし、壁打ちからキャッチボールする相手ができたことが今度は消費者同士が「いいね」と言い合ってまたチームとして広がっていく。その手ごたえをマーケティングに携わる方たちにもっと楽しんでほしいと思います。と締めくくりました。
最後に登壇したのは、Nexalの上島千鶴氏。NexalはPDCAのうちのPとC、つまりビジネスサイクルとコンタクトポイントの最適化のために行動分析を行う専門集団で、上島氏はその代表取締役を務めています。今回のパートでは、購買マインドを育成する・醸成する(ナーチャリング)のをデジタルマーケティングでどのように行うかについての語られました。
上島氏は、いままでは自社サイトは集客力がポイントだったが、これからは「接客力」が問われるといいます。ある大手IT系企業では問い合わせや資料請求数は増えたが、営業が出向いても案件につながらないケースが増加。ネットを通じて、営業提案が欲しいという客に契約営業を合わせるとミスマッチが起きているという事例を紹介。それを防ぐためは「顧客の関心商品など、営業に伝えているか?」「Web来訪者全てが通販方を望んでいるのか?」という導線をきちんと考えなくてはならないと指摘。
リードナーチャリングを旧来の「集めたリード(見込み顧客)を電話やメール、訪問などを通じて育成・醸成するマーケティング活動」という定義は既に時代遅れで、今は「(ネットを通じて集めた顧客を)デジタルマーケティングによって購買意欲の高いリード=見込み顧客にナーチャリング(育成・醸成)するマーケティング活動全般のこと」だと解説。間接的な効果を見ていかないと、これからのデジタルマーケティングは難しいと語りました。購買マインドと接触頻度の傾向で考えても、やはりマスを通じて接触してくる率は高いです。しかし、そこですぐに購入行動にはつながりません。そこから何回目で購入につながるのか、それを見ていかなくてはなりません。
いままでのデジタルマーケティングではペイドメディアに広告をうち、オウンドメディアはリードを獲得するためのサイト(リードジェネレーションサイト)と位置づけていました。しかしこれからのデジタルマーケティングでは、接点を増やすことが重要となります。ペイドメディアでは購買マインドにあわせた接点を作り、マインドを育成・熟成するタイアップなどを行う。そこで接触率を増やして、自社のサイトでナーチャリングし、マインドを促進するコンテンツ要素とコンテクスト設計(文脈や感情シナリオ)を行い、購入マインドを高めていく。また、オウンドメディアでも公式のTwitterやFacebookページなどを作り、接点を増やす。そしてリード情報をチェックし、反応を見ていくという流れが重要となっていると語りました。
最後にセミナー登壇者3名によって「デジタルマーケティングの未来」というテーマでトークセッションが行われました。
登壇者同士でも、それぞれの視点からの生のセミナー内容に対し、先端事例が多く聞けたことは有益だったというコメントが寄せられました。
司会者からの「デジタルの有効性は本などでもいわれているが、お客様にいくと肌で感じながらもどうやったらいいのかわからないのです。実際のところはどうなのでしょう?」という問いかけに対し、君塚は「経営者の年齢にもよるかもしれません。ネット世代の経営者だと通りやすいが、そうでない世代だとすごいCMを打っているがそれの受け皿がないのです。担当者の方はなんとなくわかっていますが、経営者はまだまだCM重視の傾向が。まずは小さく初めてしまえばよいのではないでしょうか」と回答。上島氏は本来の業務ではないが、「経営者教育を代わりにしてくれないか?という相談も寄せられる」とコメントしました。
株式会社ロフトワーク セミナー・イベント担当 : お問い合わせ時間10:00~18:00(土・日・祝祭日を除く)
TEL 03-5459-5123
Copyright© 2000-2012 Loftwork inc. ALL Rights Reserved.