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海外マーケット進出/強化のためのグローバルサイト戦略セミナーレポート

日本の企業にとって、今やビジネスのグローバル化は急務。その中でグローバルWebサイトが果たす役割は年々大きくなってきています。とはいえ、ビジネスの 種類や企業の規模によってサイトの設計は大きく異なり、さらには国や文化によって、最適なグローバル化の方法論は千差万別です。このセミナーでは、最新の業界動向、サイト構築法、マーケティングまでを標榜しつつ、グローバルWeb構築と戦略を考えました。

ソーシャルメディアが世界との“距離”を縮める

最初に登壇したのは日経デジタルマーケティングの副編集長の杉本昭彦氏は、現在の日本企業がインターネットを通し、どのようなグローバル展開をしているかの最前線を紹介しました。

「現在、日本では、企業の成長には海外への進出が欠かせないという共通見解が生まれています。そこで強い味方になるのは、やはりインターネットです。ソーシャルメディアが現在のように一般化する前からインターネットはグローバルなプラットフォーム。ひとつの情報で、世界へ情報発信するという利点が、海外の進出には大きな味方になります」

そしてユニクロ、パナソニック、キヤノンの具体的な事例を紹介。

ユニクロの展開はFacebookを利用して登録するコーディネート写真投稿コミュニティー『UNIQLOOKS』です。世界44万人超のFacebook上のユニクロファンなどが自分のコーディネートを写真投稿でき、友人とシェアできるというもの。公開から2ヶ月弱で500万ものページビューを獲得しています。

UNIQLOOKShttp://uniqlooks.uniqlo.com/

パナソニックの事例では今までの広報サイトの在り方を変えた『Pnasonic News Portal』を紹介。今までメディアと対話をしてきた広報部門を、ソーシャルツールを通し、世界の消費者へと開放しました。「ネット時代の広報は、消費者へ直接メッセージを届ける役割を担ってゆくものになる」と杉本氏。これにより、パナソニックはソーシャルメディア上の言及数で先を行くサムスンなど、世界の競合への対抗を目指します。

Pnasonic News Portalhttp://news.panasonic.net/

キヤノンの事例では、ブランディングのローカライズをいかにして行うかの試みが紹介されました。「たとえば中国では、“それキヤノンだよね”とすぐに認識され、高いステータスになるかことがブランディングの要です」と杉本氏。キヤノンはまずWebの展開として、自社の歴史を詳細に紹介する仮想博物館『キヤノンカメラミュージアム』の中国語版を開設、ブランド認識率調査『ブランド・チャイナ2011』(日経BPコンサルティング)において、上海地区の日本最高位である34位をマークしているといいます。

佳能相机博物馆http://cmu1.jp.canon.com/camera-museum/

世界のネット利用者の増加はもちろん、世界のスマートフォンの出荷台数も2010年第4四半期は前年比87.2%増の1億90万台に膨らんだといいます。これからのグローバル化にはインターネットの効果をいかにして最大化するかが企業に課された課題といえるでしょう。

◆セッション資料

地域性を重視する「ローカリゼーション」戦略

続いてはロフトワークより諏訪光洋が登壇。杉本氏のお話にもあった通り、日本企業にとって、グローバル化は急務。その中で、グローバルWebサイトの構築法は、まさに担当者の悩みどころです。

「グローバルWebサイト構築は、プロジェクト自体が難しいとよく耳にします。つまり、現状では各国のWeb戦略に最適化された独自のWebサイトがまずあり、そこには各国の販売代理店も介入している。それらをまとまった統一見解にまとめ上げることがまず難しいのです」

こうしたグローバルWebサイト構築のボトルネックとなる各国地域の多様性に、ロフトワークが提示したものは、地域に選択肢を与えることで、根本を統一し、かつローカリゼーションを可能にする“ボトムアップ型”のグローバルサイト構築でした。諏訪は、事例として島津製作所様のケースを紹介しました。

島津製作所様の場合も、もともとは世界各地で独自のサイトが運用されていました。CIやロゴも各国で独自に作成され、さらには社内政治もからみ、ヨーロッパでは支社が現状のWebサイトで成果を挙げているという理由でグローバル化を拒むということもあったといいます。

そこでまず、シンプルなCI規定とデザインを作成し、レギュレーションを規定しました。さらにCMSテンプレも作成し、CMSの導入は各国に任せるという選択肢を用意。そしてXML化したマスターデータ、いわば世界共通の製品カタログを作成・導入したのです。こうすることで各国支社は、必要に応じてCMSを 導入し、マスターデータからローカル戦略に合わせたものをカスタマイズしてWebサイトを構築できるのです。こうした仕組みを導入したことで、各国の独自性を保ったまま、ゆるやかで統一されたデザインと構造を備えたグローバル化の道を、整備することに成功しました。

「グローバルサイト構築は最初のステップを小さくすることがポイントです。Webは改変・改善を繰り返すことができるので、様子を見て、次のステップへと 着実な一歩を踏み出すことが大切です。」

現場の意見を尊重し、選択肢を提示すること。日本企業にとって、グローバル化にまず必要なのは“Harmonization”なのではないでしょうか。

◆セッション資料

ECMで実現する オラクルのグローバルサイト統一手法とは

続いてはダイナミックな”トップダウン型”でWebサイトのグローバル化を成し遂げたオラクルの事例をビジネス推進本部・シニアマネージャーの浅沼隆司氏が解説しました。オラクルは、ビジネス・ソフトウェアおよびハードウェアの統合型システムを、世界の145カ国以上で370,000以上のお客様に提供するグローバル企業。2004年からの買収戦略では延べ80社近い企業を吸収してきました。

「買収させていただいた企業様には、日本法人がある場合とそうでない場合があります。買収によって提供できる製品数が日に日に充実してゆく反面、もはや各国それぞれ主導のWebサイトでは、コントロールしきれなくなったのです。そこで、製品メッセージの統一と、マーケットへの訴求力の向上の両立をかかげ、Webサイトのグローバル化を行ってゆきました。そのために、サービス・製品上の基本情報のコーポレートサイトと、各国地域単独でスピーディーにメッセージ出して販促に結びつけるためのキャンペーンサイトの2つをグローバルWebサイトの基本支柱としました

コーポレートサイトでは、まずサイトの構造を統一。製品が何階層目にあるかなどの基本構造に世界基準を設けました。そして製品などの基本的な情報は 全て英語によるデータをマスターに、これらを翻訳する形でローカリゼーションを実現しました。併せて各国地域それぞれの販促等は、独自にキャンペーンサイトを立ち上げて行うという仕組みです。こうした統一化によって、年間3500~4000万円ものコストカットも実現しています。

さらにオラクルでは、自社製品であるECMでさらなる効率化を図ります。

「旧来のCMSだと、たとえばマーケティング担当者がWebサイトでニュースリリースを出したい場合、それが一旦Webサイト管理者のところへ回って変換され、Webサイトが更新されるというフローです。よって、扱う情報の数が膨大になり、種類が多様化するにつれ、Webサイト管理者への負荷が増大し、ボトルネックになりがちです。ECMはこの更新作業のフローを自動化することで、全社基盤のウェブコンテンツを効率よく処理することができます

ECM によってサイト管理者の作業はワークフローの承認のみになり、どれだけ情報の数が増えようとも、効率よくWebサイト運用が可能なのです。また、先の震災のような緊急事態においてはワークフローを飛ばしてWebサイトを更新できる緊急配信機能を備えています。

コーポレートサイトとキャンペーンサイトで、世界統一規格とローカリゼーションを成し遂げ、それらをECMでマネジメントする。扱う情報が膨大になったとしても、常に高効率を保たなければならないグローバルサイトの在り方の、理想型と言えるでしょう。

◆セッション資料

オラクルCMSで実現したグローバル・ブランディング

最後はオラクルのCMSを導入してグローバルデザインを統一し、各国地域ごとのCMS管理を実現したグローバル企業、ブラザー工業株式会社の事例をブラザー工業株式会社営業企画部の田中裕子氏よりお話いただきました。

ブラザーは40以上の国と地域に拠点を置くグローバル企業。ホームユースからオフィスユースまでのプリンティングソリューション事業を中核に据えています。 2000年から各国でCMSを導入し、2006年にオラクルのCMSを使い、グローバルでデザインを統一し、マーケティング戦略を最適化しました。

「2006年までは、ある国ではプリントスピード、あるところではプリンターのデザインで、というようなバラバラな販売戦略が敷かれていました。よって、マーケティングツールの品質も国それぞれで違いがありました。各国でローカライズができているという点はあったのですが、重複したマーケティングツールが存在していたりとリソース面での無駄が多く、ブランディングに統一感がありませんでした。そこでグローバルにそれぞれのリソースを最適化し、生かしてゆく”共生”の 環境を構築するためにオラクルのCMSを導入し、全社でのブランディングと意識の改革を実施しました」

そうして生まれたグローバルなブランディング戦略こそWebサイト「Brother CreativeCenter」でした。

グリーティングカードの作成等を無料で行うことができ、さらにサイトにアクセスすればいつでもどこでも簡単に高度な編集が可能です。ブラザー製品だからできる高品質なプリンティング環境を、誰でも使える高いユーザビリティとともに提供するこのソリューションをグローバル規格で打ち出すことで、世界的なブランド力の向上を図ったのです。

「デザイン、レイアウト、メンテナンスが全て統一されているため、サイトの更新やテンプレート・コンテンツの作成を行う販売会社のスタッフへの教育も全世界で統一化できます。CMSを通してWebサイトを簡単に編集できることから、無駄がなく便利。低コストで高い効果を実現できます」

メインページとテンプレートは各国文化に合わせて独自にカスタマイズすることができるため、ブランドイメージを統一したままにローカライズが可能です。現在は約40の国と言語に対応し、サイトへの訪問者数は年々成長傾向にあるということです。

◆セッション資料

グローバル戦略の最前線から、グローバルWebサイトの構築法、そしてその事例としてのグローバル・マーケティングと、盛りだくさんの内容でお届けしたこのセミナー。

成功の鍵は、自社の企業特性を再確認するところから始まるのではないでしょうか。トップダウン型なのか、ボトムアップ型なのか、その見極めもまずは企業の規模、社内政治、現在のグローバル展開の様子、そして今後の展開を見据えた上で選択されるべきです。そして参考となる事例は、日に日に増えてゆきます。それらの考察を繰り返してゆくことで、理想的なグローバルWebサイトの姿は自ずと浮かび上がってくるはずです

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株式会社ロフトワーク

  • 開催日時 : 2012年06月07日(木) 14:30~17:30 (受付開始 14:00)
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  • 参加費 : 無料

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