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NextWebセミナー第5回 不測の事態にも対応する企業の情報発信体制を考える セミナーレポート

東日本大震災の発生時とその後、どの企業も自社サイトでどんな情報を、どのように、いつ出してゆくべきなのか、対応に追われました。
今やユーザーの誰もが「サイトにアクセスすれば必ず情報がある」という信頼感を持って企業のサイトから情報を得ています。特に大規模震災により情報の入手方法が限られた今回のような状態においては、ユーザーは普段以上の気持ち(不安や期待)で企業のサイトにアクセスします。しかし震災時、ユーザーの(特に被災者が)期待する適切な情報はそこにあったのでしょうか?企業は適切な情報をタイムリーに提供できていたのでしょうか?

このセミナーでは、危機に直面した3社—キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社ロフトワーク、日立情報システムズ—の具体的な事例をふまえ、これからの情報発信体制の構築について、ともに考えました。

平常時ワークフローがボトルネックになる緊急時に、企業が備えておくべきこと

事業継続と企業サイト  キヤノンマーケティングジャパン株式会社 コミュニケーション本部 ウェブマネジメントセンター所長 増井 達巳氏

最初に登壇したのは、キヤノンマーケティングジャパン株式会社の増井達巳氏です。

開口一番に「今回の震災は、これが正解という対応はありませんでした」と増井氏は話しました。マグニチュード9.0の地震、それに伴う大規模停電、交通網の麻痺、そして放射能汚染…。未曾有の大災害の中、冷静で適切な対応をすることは困難を極めました。

「数年前からすでに、マス以外の媒体として、企業のWebサイトの重要性は高まっていました。しかし、今回の震災発生後は特にこの傾向が顕著に現れました。携帯メール・電話が通じない中でも、インターネットは生きており、人々はマスメディアで全体的の情報を得てから、企業のWebサイトに個別の情報を見に来る流れがありました。さらに、TwitterやSkypeなど、ソーシャルプラットホームを利用する方も多かったようです」

ところが、交通網の麻痺など担当者が出勤できなかったり、計画停電でインフラが機能しないなどの予測できないことが次々と起き、平常時は適切なワークフローで発信されているはずの企業からの情報が遅延したり、発信されないという事態が起こったのが今回の震災でした。

「人的リソースの問題があったことから、平常時は適切に動いているワークフローが、ボトルネックになったことは否めませんでした。緊急時は、承認する1人が機能しないだけでも情報発信が止まってしまうリスクがあります。このことを踏まえた上で、BCP(事業継続計画)発動時に、適切な権限委譲と止まらないシステム環境の整備、さらには、復旧を見越して安全にシステムシャットダウンができる訓練をしておく必要があります」

さらに増井氏は、平常時から生活者の視点で情報発信を心がける必要性に言及しました。特に、被災地の情報ソースは、被災地外にいる人々の認識と大きな違いがあったといいます。「たとえば、今回の被災地に限らず地方都市では、普段からテレビは地方局中心で、地元企業のCMが流れるものです。つまり、テレビのAC対応は、被災地には届いていない自粛だった可能性が高いのです」

これを知っていれば、企業の情報発信の姿勢にも大きな差が生まれたのではないでしょうか。「被災者の状況を可能な限り正確に把握し、現場の状況と発信すべき情報をマッチさせ、被災地の方々が今知りたい情報を優先して提供することが何より大切なことなのです。」と締めくくりました。

増井氏は、地震発生直後からの社内対応を詳細に記録するとともに、企業の震災後の対応についてもアンケート集計し、今後のためにデータベース化していると言います。緊急時も止まらず、適切な情報発信ができる企業サイトの模索は、こういった姿勢から生まれてくるのではないでしょうか。

企業の中と外を、Webを使って考える姿勢が最重要課題

緊急時の企業サイトの情報発信 株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪光洋

続いて登壇した株式会社ロフトワークの諏訪は、「ロフトワークでは震災時、社内Twitter、「Yammer」が絶大な効果を発揮しました。」と切り出しました。

震災発生時、生きていたのは、オンライン上でのコミュニケーションだけでした。「我々は普段から「Yammer」を使ってのコミュニケーションに慣れていたため、このタイムライン上で社員の安否確認、現在の状況を全員に共有することができました。」

「この企業向け社内Twitter"Yammer”は、楽天でも3.11以降、7000人に全社導入されています。一般的に平常時でも、社内のコミュニケーションチャネルは、プロジェクトメンバーが増えると、乗数的に複雑かつ膨大になります。そうなると、誰が何を考えているかが全く分からなくなり、人は他のメンバーに無関心になります。そこに自主的な情報発信と関心を創造できるのがこの"Yammer”なのです。平常時からAutonomy(自律的自治)な社内のコミュニケーションを活性化させておけば、緊急時にそれがさらに効果的に働くことは間違いありません」

さらに諏訪は、こうした緊急災害時における内部コミュニケーションとは別に、外部コミュニケーション“クライシスコミュニケーション"の重要性に、以下の動画を紹介し、言及しました。


透明性の確保、対処の迅速性、危機の長期性を視野に入れた思考などの
10のルールでクライシスコミュニケーションの重要性を解説

「BCP(事業継続計画)そしてマネジメントであるBCM(事業継続マネジメント)については、日本企業の80%が導入しており、そのうち75%が今回の震災で機能するという素晴らしい数字を残しています。とはいえ、これは企業内部の問題対処の数字です。

外側のステークホルダーへのコミュニケーションについて、日本にはまだその考えが浸透していない。それを一番感じたのが、東京電力だったと思います。彼らにこうしたクライシスコミュニケーションの考えがあれば、ここまで評判を落とすに至ったのでしょうか?炎上や飛語流言を止めるには正しい情報を適切に出す必要性があるのです」

さらにそうした情報を出してゆくLeadership(主体性)も重要です。社内で議論している間にも時間は過ぎ、外部へのコミュニケーションが無く過ぎた時間に対する民衆の不安・不満は加速度的に増大します。

「ようやく行われた記者会見が、納得のいくものでなければ大炎上です。もっともここまでハードルの上がった状態でステートメントを出すこと事態、非常に難しいものになります。これを防止するには、とにかくまず、言えることを発言をしようという迅速性を担保したリーダーの存在が不可欠です」

BCP(事業継続計画)、Autonomy(自律的自治)、そしてLeadership(主体性)この3つに支えられた、Webを中心とした緊急時の情報発信が、何より大切なのではないでしょうか。

◆セッション資料

緊急時に平常時のオペレーションを可能にするクラウドの選択肢

企業サイトの継続性を確保するための情報インフラ 日立情報システムズ新市場・グローバル市場開発営業本部 市場開発営業部 部長 中田龍二氏

最後に登壇したのは日立情報システムズの中田 龍二氏。現在、アップルが「iCloud」を発表して話題を呼ぶなど、 “クラウド"は、現代の情報管理における最も重要な位置を占めています。

「コストをかけずにいかに必要な情報インフラを構築するか。これは企業の担当者にとっていつも主眼となることです。そして今回の震災の影響で、BCPやバックアップなどを配備する必要性も多くの企業から関心が集まっています。しかし、いちからお金かけてつくるのは難しいため、クラウドを使ってこれらを既存のシステムに取り込んでいく動きが目立っています」

クラウドコンピューティングには、パブリッククラウドと、プライベートクラウドというものがあります。前者はAmazon.comの「AmazonEC2」、Microsoftの「Windows Azure」などに代表される不特定多数の利用者に提供されるクラウドサービス。後者は、自社内でクラウドコンピューティングのシステムを構築し、企業や部門、さらにグループ会社などに、自社からクラウドサービスを提供するクローズドな仕組みです。セキュリティーポリシーなどの観点から、このプライベートクラウドの市場が近年大きくなっているといいます。

「クラウド化は今回の震災によって、さらにその利点に注目が集まっています。たとえば、仮想化データを管理するため、現在100台使っているサーバーが10台で間に合うようになります。そうすることで、電力を80%低下させることができるとともに、BCPサイトも作り易く、バックアップも容易になります。加えて、トータルコストが確実に30%落ちるのです。まさに平常時・緊急時にシナジーを発揮するソリューションなのです」

従来のパソコンはもちろん、スマートフォンなどでも、社外からでもデータにアクセスできるため、増井氏の話にもあったような、人材リソースが不安定になりがちな有事の際にも安心です。さらにシンクライアント端末であれば電力も従来の1/10に節電できることから、電力不足に対しても好適であると言えます。

今までの「会社で、会議で、デスクで」のワークスタイルから、「いつでも、どこでも」のワークスタイルへ。クラウドはビジネスを加速すると同時に、BCP発動時にも、そのスピードを損なうことなく、業務を遂行できる、理想的なソリューションなのです。

企業のあるべき情報発信体制、社内外のコミュニケーション、そして災害時・平常時ともに効果的な情報管理、クラウド。どんな時も、止まらず、効果的な情報発信ができる企業サイトの姿が、三者のお話から見えてきました。日本経済にとって大きな痛手であったとともに、多くの尊い人命が失われたこの災害を超えて、日本に、そして世界に示すことのできる情報発信体制づくりが、これから企業活動に求められています。

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次回セミナーのご案内

株式会社ロフトワーク

  • 開催日時 : 2012年06月07日(木) 14:30~17:30 (受付開始 14:00)
  • 場所 : 梅田 ブリーゼプラザ 805号室 大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー8階 【 地図・行き方
  • 参加費 : 無料

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