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第一回Webライティング研究会 開催レポート

魅力的なWebサイトは、魅力的な記事コンテンツから生まれます。Webサイトに求められる成果が大きくなっている今、単にWebサイトにプレスリリースを載せているだけでは振り向いてもらえません。質が高く、価値のある記事コンテンツが豊富なオウンドメディアは、企業そのものの価値を高めます。 そこで今回のユーザー会では、まさにWeb業界の最前線で活躍する株式会社アスキー・メディアワークス、Web Professional編集長の中野 克平氏をお招きし、Webライティングのスキルアップを目指します。全3回に渡ってから構成されるこの研究会の第1回目を6/24に開催しました。アイ・オー・データ機器、エースホーム、NEC、ネクスウェイ、サイボウズ、つなぐネットコミュニケーションズ、Z会の7社、総勢15名に参加いただきました。

知っていましたか? Webの文章の最初の読者は、ロボットなのです

Web Professional 編集長 中野 克平氏

今回の研究会は、文章の表現力を漠然と向上させるための作文教室と違い、数値的な効果を出すことが目標です。よって、ここで学んだライティングを実践することで、 参加企業のみなさまのサイトへのアクセス増や、コンテンツへのツイート数や「いいね!」数が増えていかなければなりません。そのためにはどういった心構えが必要なのでしょうか。そこでまず中野氏はWebライティングの前提条件について話しました。

「人に物事を伝えるためにストーリーを作る、という本質的な部分では、Webと紙メディアなどの“非・Web”において違いはありません。しかし、たとえば Webの文章の最初の読者は、人ではなくGoogleなどの検索ロボットなのです。そこで解析されて、適切な検索にひっかかり、はじめて人の読者に届くのです。こうしたWebの特性を知っていないと、せっかく伝えても、まったく届かない、ということも起こるのです」

「よって、Webライティングは、ライティングの本質に、Web特有の要素を付け加えた、方法論になります」

起承転結では書けない!? Webライティングに必要なのは“2つのストーリー”

では、実際のWebの文字コンテンツにおいて、読者に求められるストーリーとはどんなものなのでしょうか?ところで、ストーリーといえば、「起承転結で書け」とよく言われるものです。Webでは違うのでしょうか?

「結論から言うと、違いはありません。そもそも起承転結になっているものがストーリーなので、"起承転結で書け”と言われても設計上当たり前。これはストーリー作りにおいてコツでも何でもないのです」と中野氏。

これには会場からも驚きの声が上がりました。起承転結は小学校で習う文章の構成方法で基礎中の基礎です。つまり、特別な訓練を受けていない限り、文章の書き方というのはここで止まっているのです。ただし、読者に求められる、魅力的なストーリーを作るにはやはりコツがあります。 

「ごく単純に言えば、退屈でなくなると、人は楽しくなります。退屈な日常というのは、起承転結でいえば“転”を欠いた“起承結”です。よって、退屈な日常に“転”をプラスし、楽しい非日常を体験させるのがストーリーを魅力的にする基本的な考え方です」と中野氏。

そして中野氏はここでWebライティングに必要な、2つのストーリーを挙げました。

小さなストーリー:単純プロットで形成される、読み手の関心を引く“転”のあるストーリー。キャッチコピー的。
大きなストーリー:複雑なプロットで形成される、読み手の喜怒哀楽を制御し、行動させる。小説的。

そしてこれらが、日頃の作業としてルーチン化できることが大切だと中野氏は話します。そのためには、

・一定のルールにおいて量産できること
・名文を目指すのではなく、悪文を回避すること
・さらっと理解できるものをつくる

が必要です。では、いよいよその手法について学んでいきましょう。

全てのイノベーションの源!? 非日常を生み出す“小さなストーリー”

まず、小さなストーリーです。「小さなストーリーは“転” をつくるのが目的です。そして“転”は量産できるものでなくてはなりません。そのためには、対象がもともと持っている本質をとらえ、転換することから始めてみましょう」と中野氏。本質とはつまり、日常的で平常な退屈さです。それを否定することで、非日常の楽しみへと導きます。

VERTU

「数、量、値段が本質と異なる場合を見てみましょう。たとえば携帯電話です。携帯電話といえばせいぜい2〜3万円が相場ですが...ノキアのVERTUは800 万円!と言われれば誰しもびっくりして、それが何か知りたくなります。この1行を読むだけでクリックしたくなりますよね? これが転を生み出している小さなストーリーなのです」と中野氏。

続いて中野氏は“転”の生み出し方について、5つのパターンを挙げました。

1.数/量/値段が本質と異なる

中野氏 「VERTUはまさにこれです。まったく相場とつりあわない値段。それだけで、目を引きます」

2.縮尺が本質と異なる

中野氏 「巨大プリンというものがあったとしましょう。本来のプリンならば近所のコンビニにもあり、珍しくもありませんが、それが抱えきれないほど巨大なものだったらどうでしょうか?」

3.色・形が本質と異なる

中野氏 「真っ黒のたこ焼きというのがあります。普通のたこ焼きなら味も想像できますが、色が全く異なることで、やはり気になるものです」

4.素材が本質と異なる

中野氏「イチゴがあるはずのケーキに、プチトマト!この奇妙な出会いの味やいかにと気になりますね」

5.本質に何かを付け足す/取り除く

中野氏 「ボタンがたくさんついているはずの携帯電話からボタンを取り去ったものがiPhoneでした。あの近未来的な発想にワクワクしたのは私だけではないはずです」

このように、意外性を感じさせるものは全て本質をとらえ、それを転換することから始まっているものばかりなのです。こうしたことをふまえ、さっそくワークショップへと移りました。 ワークショップは、参加企業が2社一組となり、互いに相手の企業の小さなストーリーを考えてみるというもの。中野氏も豊富な経験から、各企業にアドバイス して回ります。

エースホーム 金森氏

たとえばZ会のペアになったのはエースホーム。Z会といえば通信教育事業で、数多くの子供たちを有名校に日々送り込んでいます。そんなZ会を転換すると...

エースホーム 「Z会、やる気の出ない教材発表」

これは会場が大きく盛り上がった回答でした。教材にとって、やる気を出させるというのは本質的なこと。それを実に上手く転換しました。続いて、NECのペアになったのはネクスウェイ。日本を代表するパソコンメーカーであるNECを転換しました。

ネクスウェイ 垣内氏

ネクスウェイ「NEC、折り畳めるノートパソコンを発表」

狙うのは薄さではなく、折り畳めること。これは斬新ですね。コンパクトになるために必要なことと、今のパソコンにできないことを、うまく本質の転換として盛りこんでいます。

「クリックしたくなることが大切です。そして日常の本質が否定されたら面白くなります。iPhoneもボタンがいっぱいついている携帯電話の本質を、ボタンを取り去ることで転換したことで生まれました。結果的にイノベーションそのものも、元はこうした、本質を転換する小さなストーリーから始まっているのです」 と中野氏は話しました。

人をびっくりさせたり、笑わせたりするのは楽しいもの。終始笑いが絶えないワークショップでした。

ハリウッド映画の感動モデルは実はひとつだけ? “大きなストーリー”の作り方

“転”の非日常でクリックさせたら、次は感動して購入のボタンを押してもらいましょう。“大きなストーリー“はまさに人を“感”じさせて“動”かすためのストーリーです。

「何か映画を思い浮かべてみましょう。ハリウッド映画には感動モデルがあるのです。このモデルは、古今東西、ずっと使い古されているにも関わらず、効果抜群です。なぜか我々の脳はこのモデルに、感動しないわけにはいかないようなのです」と中野氏。ハリウッド映画の感動モデルとはどんな流れなのでしょう?

<ハリウッド映画の感動モデル>

多くのハリウッド映画が、設定は違えとも、このモデルに当てはまりそうです。これをよくあるダイエット法に応用すると...

<バナナダイエットの場合>

「この、正しいダイエットを学ぶというところが、文字コンテンツなのです。このコンテンツの力で、オススメ商品を買わせるのです。大きなストーリーの大切なポイントは、ずばりこのハリウッドモデルです。感動させて納得させ、あわよくば購入させるということです。これさえ守っていれば、誰でもひとを感動させ、行動させることができるのです」と中野氏。

大きなストーリーでもワークショップが開かれ、それぞれの企業から発表がありました。
NECは、パソコンとエコをテーマに次のようなストーリーを考えました。

NEC CRM本部 萬野氏

<自家発電できるパソコンの巻>

電力不足の今、企業で電力を15%節約しようということになる。

なんとかしてみようとするが...

パソコンは必需品。どうしようもない。

世の中にあふれる省エネとは一線を画す"逆エネ(発電)”・”蓄エネ(蓄電)”可能なパソコンの開発を行うNECに出会う。

キーボードで自家発電できるパソコンを手に入れる。

さっそく試してみると...

電力会社に余った電力も売れて一石二鳥

キーボードで発電ということも大変興味をそそられますし、節電という関心ごとに、自社製品のパソコンを使ってうまくアプローチできる手法です。他にも「サイボウズ、伝書鳩とパートナー契約です」など、実にユニークなストーリーがたくさん飛び出しました。

最後に中野氏はこのようにまとめました。「豊かな社会では、ストーリーに基づく感動とイノベーションが常に必要とされています。とはいえ、基本構造はひとつだけです。自社の商品やサービスを作るときも、こうしたストーリーを意識していれば、後のPRでライティングもしやすくなります

ワークショップでは終始、参加企業と中野氏が、いかに面白く伝えるかを楽しく、時に真剣に分かち合いました。そしてプレゼンテーションでのリアクションを見て、これから作るストーリーに生かしてゆくことができるのです。

もりだくさんの内容でWebライティング研究会 第一回は終わりを迎えました。次回は「釣りでもいいからクリックさせろ!な見出しづくり」について詳しく、具体的なWebライティングに進みます。

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