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みんなの力 vs 編集長の目! PR講座キックオフ説明会 レポート

これからのWebコミュニケーション×メディア編集術

2011年7月14日、アートプロジェクトのプロフェッショナルを養成する「Tokyo Art Research Lab パブリックリレーション講座」のキックオフ説明会が開催されました。

PR講座キックオフ説明会

▲アーツ千代田3331でのキックオフ説明会。募集人数の倍にあたる60名もの人が駆けつけました。アートプロジェクト広報担当者のほか、学生や一般企業 広報/PR部門の方など、幅広い層が参加。

今回のパブリックリレーション講座では、2人の講師が2つの分野の授業を担当します。Web時代のコミュニケーション術を担当するのは、ロフトワーク代表の林千晶。ペーパーメディアを中心としたメディア編集術については、東京ピストル代表の草彅洋平氏が受け持ちます。

学ぶことで「残念な現場」を回避したい (東京アートポイント計画 森司氏)

 森司氏力強い口調で趣旨を説明する東京アートポイント計画ディレクターの森司氏

なぜ、今、アートプロジェクト担当者にパブリックリレーション講座が必要なのか? 講座開催の背景に、現場で頻繁に起こる残念な事態があると主催者側の森氏は解説しました。

それは例えば、プロジェクトの企画担当者とデザイナーの不幸な関係。本来、地域との関係づくりを重視するアートプロジェクトは、多くの人に共感してもらい、参加してもらうことで成立する企画です。にも関わらず、その最初の一歩、多くの人に周知するためのメディア(チラシやWebサイトなど)制作の段階で、トラブルに発展する事態が少なくないとのこと。

「プロジェクト担当者に企画への熱い想いはあるものの、制作サイドへの眼差しが欠けている場合が多い」

必要な情報を的確に提供すること、対価に見合う作業を依頼すること、締切を守ること……そういった、基礎的知識や意識合わせが足りない現場では、メディアづくりも成功しません。また、Web先行の情報発信や双方向のコミュニケーションなど、より現在的な手法を取り入れる必要にも迫られています。

何より、3.11以降、大きなパラダイムシフトが起きています。「すべてのプロジェクトは、『なぜ、これをやる必要があるのか?』という問いに答えていくことで、その意義と共感の強度を表明していかなくてはいけない」と、森氏。そのために、改めて今、パブリックリレーション、つまり公共との関係性を保つ活動の重要性が増しているのです。

アート関係者はネットが苦手? 何人と対話できるかが鍵 (ロフトワーク 林千晶)

林千晶新しい著作権の仕組み「クリエイティブ・コモンズ」のアジア・パシフィック地域の普及責任者でもある林千晶


「アート関係の人が『ネットってちょっと苦手なんです』ということをやめにしたい。アート関係者が一番ネットに強いようにしたい」

オンライン上のクリエイターコミュニティを核とした総合制作代理店・ロフトワークの代表である林千晶は、Web以降に起きた情報伝達の変化を説明しました。

従来、メディアと呼ばれるものを使えたのは、いわゆるマスコミだけ。でも、ご存知のように今では多くの人が、組織が、自分たちのメディアをWeb上で持っています。それは、何万人に一斉に情報を届ける「大きな伝達」に負けないぐらい、一人が誰かに伝えた情報の連なり「小さな伝達」の威力が増している時代です。

人から人へ伝える力、シェアしたくなる情報の作り方……Web時代にはWeb時代の新しいPRの形が生まれつつあるのです。
「わたしが担当する授業では、講義形式だけでなくワークショップも交え、スパルタかつ楽しく進めていきたいと思います!」

4トントラックを横転させる! それも「編集」 (東京ピストル 草彅洋平氏)

。書籍、雑誌チラシ、Webメディアはもちろん、様々な領域に「編集」の可能性を拡げている草彅洋平氏


「僕の授業では、編集を紙とWebの情報を扱うことだと考えないでほしい。編集とは、誰もやっていないことを考えることでもあるのです」

メディア編集に関しての講座を担当するのは、編集とデザインのプロフェッショナル集団・東京ピストル代表の草彅洋平氏。

編集の概念を説明するために、草彅氏が例にあげたのは、アートイベントやライブなどでもお馴染の「フライヤー」でした。フライヤーが実質的な来場につながるのは、だいたい2%だと言われています。残りの98%は資源の無駄とも考えられるわけです。

「もし本当に集客を第一に考えるなら、フライヤーを1万部刷ってただ配ったって効果は薄いですよね。でも、1万部刷って、4トントラックに積んで、それを渋谷のど真ん中で横転させて撒いたら、きっとみんな手にするし、そのイベントを忘れないでしょう。法律的には完全にアウトですけど(笑)」

授業では、ペーパーメディア編集の基礎知識はもちろん、デザイナーやライターなどの仕事を知ってもらう時間や、企画力を磨くような機会も設けるとのこと。びっくりするようなアイディアを一緒に考えるという、「編集」の鍛錬の場になりそうです。

思考の交点で、これからの「関係性」を考えよう

インターネットを通じた「みんな」による情報発信を重視する林と、編集長的一人称視点による情報編纂を重視する草彅氏。お互いに「考え方がまったく逆だ!」と言いながらもトークは大変盛り上がりました。

PR講座キックオフ説明会

▲笑いが絶えないトークの様子。講座では毎回様々なゲストを迎えるほか、最後の授業で合同ワークショップを開催します。

どちらのアプローチ方法もこれからの情報発信やステークホルダーとの関係づくりに不可欠な要素を含んでいます。森氏は「どの手段が正しいということではなくて、まずは知ることで選択肢を増やしてほしい。それがこれからの時代に大事なこと」と言われていました。

様々な考え方を持つ人々の交点で、これからのパブリックリレーションを考えるのはとても楽しそうです。開講に向けて期待に胸が膨らむ、刺激的なキックオフイベントでした。

Tokyo Art Reseach Lab パブリック・リレーション講座

チラシや記録集、ウェブサイトのための情報の編集や、デザイナーとのやりとり、市民やメディアなどとの関係づくり等々......アートプロジェクトの運営と浸透には、パブリック・リレーションに関する知識やスキルが欠かせません。パブリック・リレーションや訴求効果の高い広報制作物のつくり方について、ゼロから知識やスキルを身につけるとともに、ウェブサイトやソーシャルメディアなどを用いた新たなプラットフォームのありかたについて、実践的に考える講座です。

開催日:2011(平成23)年7月 ~ 12月 19:00~21:00 木曜日
会場:東京文化発信プロジェクトROOM 302
受講費:全10回(全講座セット15,000円、各回受講2,000円)
定員:約30名

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