Home > セミナー・イベント > NextWebセミナー 第6回 世界で勝つ日本企業のグローバルサイト・ソーシャルメディアの設計・運用
日立情報システムズ主催、次世代Webを考えるNextWebセミナーは、好評につき全4回シリーズの予定を変更して追加開催が決定。その第6回目となるセミナーが2011年7月27日(水)に開催されました。製造業を中心に海外進出の準備を急ピッチで進める日本企業が増えるなか、今回は、グローバルマーケティングを設計する際に欠かせないソーシャルメディアやグローバルサイトの活用にフォーカス。世界で勝つための考え方やプロジェクトの進め方、戦略のあり方について、実践に基づく多くのヒントが提供されました。
第一部で、海外進出のチャンスを狙う多くの日本企業の関心に応えたのは、アジアを拠点に事業を展開するアウンコンサルティング株式会社 代表取締役の信太明氏です。「この3年から5年がチャンス」とする信太氏はまず、近年大きな伸びを見せるアジアにフォーカスし、マクロな視点から海外進出について考察。進出先の検討に際し重要な指標となる調査データをいくつか提示しました。
人口と年齢:国の平均年齢によって売れ筋は変わる。先進国では42歳がもっともお金を使うと言われ、今後42歳人口が増えつつある国にはぜひ注目したい。
GDP:国単独ではなく、進出したい都市のGDPを見ることが重要。
親日度:親日的な地域のほうが仕事は進めやすい。日系マーケットを開拓したい場合は、日本人の居住人数や日本人学校の数なども重要。
政治体制:選挙が近くなると外国人の雇用を減らす傾向が見られる。タイミングとしては、選挙後の落ち着いたところで会社を設立するのがよい。
主要空港:便数やコストなどが重要な指標。羽田直行便がある、またはLCCが利用できる地域のほうが圧倒的に楽かつ有利。
「家賃や人件費、人材の定着度や勤勉度などもしっかり調査すること。あとは税制も非常に重要です。資本規制などもありますから、法人を作る前に何%で作れるか、どの程度の期間が必要かをリサーチしておくとよいでしょう」(信太氏)。
一方、マーケティング事情はというと、アジアの広告市場もインターネットが主流になりつつある。FacebookやTwitterの人口も急激に伸びており、「マーケティング手法として無視できなくなっている。特に、Facebookの中であらゆることが実現できるようになると、Facebookそのものが競合になってくる可能性もあります。ここから自社の競合が生まれないか常に見守っていくことが必要」と信太氏。
こうした状況の中、海外向けプロモーションにおいて最も効果的と期待されるのが、検索エンジンマーケティング(SEM)です。
<SEMのメリット>
・出稿までスパンが短い
・現地ユーザーのニーズをリサーチできる
・セグメントされたユーザーのみを流入させることができる
・上位表示された場合に信頼獲得ができる
・費用対効果の計測が容易
信太氏は、「事実、検索広告のシェアは既存のインターネット広告よりも上昇傾向にあります。進出しようとする国で、どこの検索エンジンが強いかを分析しておくことも重要です」と強調。最後に、同社が世界64ヵ国語で展開するSEM関連の支援サービスを紹介。その実績にも強い自信を覗かせていました。
◆セッション資料
第2部ではロフトワーク代表取締役社長 諏訪光洋が、多くの困難なプロジェクトを率いてきた経験からグローバルサイトの難しさに言及。「対応すべき要素は実に多様で、パターンは1つではない。ステークホルダーが多く、誰がイニシアチブを取ってどう調整するかという難しい問題も出てきます」として、まずはロフトワークが支援したグローバルサイトを紹介。ここから成功のポイントを解説しました。
●島津製作所様
背景:混沌とするサイトナビゲーション、各国独自に進化したCIとロゴ、バラバラな画像
解決策:サイトの品質を高めつつ、既存サイトにも合うシンプルでクリーンなCI規定とデザインを策定
<ポイント>
・CMSとXMLの活用による「マスターデータ」の配布
・各国ステークホルダーへの配慮と選択肢の提示
・信頼できる「チーム」の作成
・各国が受け入れられるデザインとコンテンツのクオリティ
●東京化成工業様
背景:製品点数が3万点以上。グローバルは視野に入っているが、まずはCMSを導入しないと多言語対応は困難。
解決策:CMS導入による英語サイト展開、ドイツ、フランス、スペイン語サイト展開による欧州拠点の強化(現在は30ヶ国語に対応)
<ポイント>
無理をせずにWebサイトを起点にして世界展開を実現。
成功事例に学ぶポイントは次の3つです。
1)最初のステップをできるだけ小さく
2)戦略、シナリオをきちんと作る
3)実行に不足しているもの、障害となるものを列挙し把握する(紙に書き出すことも重要)
さらに諏訪は、「日本人の特性を活かし、調和によって成果を生み出すことが成功への近道」とアドバイス。「各企業にフィットしたグローバル戦略があるはず。重要なのは、適切なシナリオ・適切なチーム・適切なシステム選定の3つ。まずはストラテジーとストーリーを明確に。プロジェクトがスタートしたらプロジェクトマネジメントと権力がカギを握ります。権力のある役員やキーマンに参加してもらいつつ、現場の意見を尊重し選択肢を提示すること。みんなで話し合う機会をできるだけ確保したいものです」と語り、改めて“調和”の大切さを強調していました。
海外進出の際に押さえておくべきインフラ事情。株式会社日立情報システムズ ネットワークサービス事業部 ネットワーク事業推進本部 グローバル戦略センタの大川健氏は、「当社への問い合わせの多くが、電子メールの送受信が遅い、業務システムの使用中に通信不能になる、グループウェアなどの情報共有資産を活用できず業務効率化が低下している、現地のキャリアやベンダーの対応が悪いといったトラブルです」と語り、グローバルネットワークの典型的な課題に次の4つを挙げます。
●通信事情
通信インフラの整備状況に格差がある、限られた通信事業者の選択肢しかないなど
●通信事業者
工事スケジューリングが不確実、サービス品質に対する認識が低いなど
●現地SIベンダー
ベンダーの信頼性確認が困難、複数ベンダー利用時の調整が煩雑、設置作業が正確に行われないなど
●その他
本社IT部門の調整が困難、国によって手続きが異なり煩雑、言語の壁があるなど
続いて大川氏は、同社の対応の多くを占めるという日中間ネットワークにフォーカスし、メールやグループウェアが正常に利用できないケースを分析。疎通試験の結果を提示しながら、「これはパケットロスの発生によるトラブルですが、中国側の国内ネットワークが不安定なのではなく、通信ニーズに対して国際接続部分のキャパシティが不足しているのが最大の原因」と指摘。
この有効な解決策となるのが、国際IP-VPNです。「急がない通信ならインターネットでも問題ないが、即時性を求めるなら、国際接続部分にIP-VPNという企業向けの品質の高いネットワークを使うことを推奨します。通信にADSL回線を使いつつネットワークをIP-VPNにしたことで、コストを抑えて安定した通信環境を実現した事例もあります」と大川氏。
日立情報システムズでは、コンサルティングから現地拠点のサポートまでをカバーする国際ネットワーク構築・運用サービス「NETFORWARD/GL」、海外拠点のICT環境をワンストップで準備する「海外ICTまるごとパック」を提供しており、大川氏はその概要を紹介してセッションを締めくくりました。
◆セッション資料
第4部では、日産自動車株式会社 グローバルメディアセンター 小川正太郎氏が同社のソーシャルメディア活用を紹介。「情報の伝わり方が昔とは大きく変わりました。一方通行だったのが、今では企業がお客様に直接語りかけられるようになり、お客様同士もつながっている。ただし、ソーシャルメディアは万能ではなく、トリプルメディアを使ってバランスよくネタを出していくことが重要」と小川氏。
実際同社では、グローバルサイトとソーシャルメディアを効果的に連携させることで、自社ブランドおよび商品への理解度、好意度向上を目指しているといい、グローバルサイトとの関係におけるソーシャルメディア活用に注目が集まるのも当然です。
セッションでは、同社のTwitter活用例として次の5つが紹介されました。
●東京モーターショーの情報提供
ブースでの情報提供だけではなく、ユーザーとのゆるいつながりを実現。期間限定で終わらせるはずだったアカウントが、企業のメインアカウントに昇格。
●新車「ジューク」の発表
欧州での新車発表の模様をTwitterで実況中継。
●電気自動車「リーフ」のPR
これまでの宣伝の手法を取らず、Twitterをハブにしてソーシャルメディアをフル活用し、繰り返し情報を発信。徐々に理解を広げることで購買意欲を刺激する狙い。
●モータースポーツの実況報告
放映権がないため、レースそのものではなく舞台裏を中心に実況し、ファンと臨場感を共有。Twitter上で呼びかけたチャリティイベントには1,000名以上が来場したことも。
●決算や株主総会に関する情報公開
「顔の見える日産」を目指してトップの役員などにも登場してもらい、Twitterの質問に回答。
小川氏は、こうした取り組みを通じて実感したことを次のように整理します。
<気づき>
・フォロワー数の追求が目標ではない
・いいネタがあればフォロワーはついてくる
・フォロワー数はストーリーの質の指標でもある
・ソーシャルメディアで広報とマーケの垣根は極めて低くなっている
<ソーシャルメディア活用のポイント>
・ニュースマイニングとグローバルアセットの活用
・双方向の対話
・発言内容とシナリオ(ただの雑談では意味がない)
・部門間の連携
・既存メディアとの共存
・PDCAを回すための効果測定
・ガイドラインの策定
これらを総括し、「Twitterはさまざまなソーシャルメディアのハブになり、いろんなコンテンツと連携することで相乗効果を発揮します。ライブ感、速報性を重視するならTwitter、情報のストックならFacebookといった使い分けもポイント」と小川氏。日産自動車では今後も引き続き、ソーシャルメディアを積極的に活用したブランド戦略への挑戦が続くようです。
◆セッション資料
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