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第一回ソーシャルエンゲージメント研究会

CMS学会、Webアクセス解析研究会、Webライティング研究会と、さまざまなテーマでユーザー会を実施してきたロフトワーク。その第4弾となるのは、ソーシャルエンゲージメント研究会です。今回は株式会社良品計画/くらしの良品研究所コーディネーターの土谷氏を講師に迎え、全3回のプログラムで構成。ソーシャルへの取り組みはこれからという企業から、すでに一定の手応えを感じている企業まで、業種の枠を超えて多様な顔ぶれが揃い、2011年11月25日に開催された第1回目の様子をレポートします。

[参加企業(五十音順・敬称略)]
エースホーム、オムロンヘルスケア、サクラハウス、ネクスウェイ、明治大学、ローランド ディー.ジー.、ロフトワーク

Web担当者の「見えないものを可視化する力」で企業は変わっていく

Twitterアカウントを取れば売上が伸びる、立派なFacebookページを作ればファンが増える、ソーシャルメディアはノウハウがなくてもノリで運営できる、といった間違った認識から、運営を丸投げされたり、予算を確保してもらえなかったり、挙句の果てには売上に直結する成果を求められたりなど、ソーシャルメディアをめぐるWeb担当者の悩みは尽きません。そんな互いの悩みを共有し、解決への糸口を探ろうと、本研究会が発足。

その企画者であるロフトワークの吉澤瑠美は、冒頭で「Twitterのフォロワーの増やし方、売上を上げるためのFacebookページの作り方を学ぶ場ではありません。ソーシャルとはなんぞや?エンゲージメントとはなんぞや?企業のWeb担当者は何を考え、何をしたらいいのか?といったことを、ワークショップ形式で勉強していきたい。ああでもない、こうでもないと意見交換をしながら新しい知見を広げていく。これが本研究会のスタイルです」と語り、有意義な会の実現に向けて積極的な議論を促しました

続いて、本研究会の講師を務める土谷氏が、自らの経験に基づく数多くのヒントを提供。中でも土谷氏が真っ先に強調したのは、見えないものを可視化することの重要性です。

「見えないものをどう見ていくか。これがみなさんの仕事でもある。世の中で起きているかどうかわからないこと、これから起きるかもしれないことまでを敏感に感じ取り、社内に伝えていく窓口。しかも一対一の対応ではなく、場合によっては一対何十万人、何百万人。その窓口となるWeb担当者の感度が高まれば、企業は変わっていきます。」

この「見えないものを可視化する」上で非常に有効なのがアンケートです。ただし、「よい答えはよい問いから生まれる。どれだけよい問いを作れるかが、アンケートの成否を分けるカギ」と土谷氏。そのためには次のような点を考慮すべきだといいます。

・継続的に問いかけのレベルを上げていく(考え続けるプロセスが大事)
・不満を聞くほどつまらないことはない(最も悪い質問は、なぜ売れないかを聞くこと)
・相手に考えさせない(答えている人も気づかないことを引き出す)
・テーマを絞り、答えやすい小さな単位にして投げかけ、最後につなげる

また、この他にも、次のようなヒントが提示されました。

Web上で3つのプロセスを実践する
仮説をつくる(発見)→ 仮説を投げかける(共有)→ 仮説を具現化する(商品化)の3つのプロセスを継続的に回す。

中心は語らない
いきなり何かを伝えるのは難しい。Webのいいところは、何度もコミュニケーションできるところ。行ったり来たりする間に輪郭を浮かび上がらせていく。

平均値では思考が広がらない
ボリュームゾーンから仮説を発見するのは非常に難しい。臨界点にあるものに目を向けることで、アイデアや新しい気づきが得られる。アンケートでも、定性分析だけでなく定量分析で数字にし、マイナーなところに新しい像を見つけていくことが大事。

ニーズは探せない
マーケティングは物を売るための手段ではなく、物を売る前に価値をどう共有できるか。あるビジョン(価値)をメッセージとして伝え、それに対する返答をもらうというコミュニケーションのプロセスの中から新しい価値を生み出し、ニーズが作られていく(ニーズというより知の共有)。

コミュニケーションはひとつのビジネスモデル
コミュニケーションは、言ってみれば「営業しない営業」。潜在顧客をあたためていく作業である。

「場」をデザインする
Web上のコミュニティは、リアルとネットがリンクしている場。単にコンテンツを作るだけでなく、この「場」を意識してデザインすることが大事。

これらをヒントに、土谷氏が全3回にわたって考えてほしいとしたのは、コミュニケーションを通じてどう売上を上げるかではなく、自社の価値をどう伝えていくのか、そのために何を表現していくのかということ。「大きなビジョンのもとに具体的なアクションを作っていく。それがコミュニティを運営するWebチームの役割」と土谷氏。

そこでワークショップでは、自社のコミュニケーションサイトについて(これから実現しようとするものも含めて)、コンテンツの目的とアウトラインをホワイトボードに書き出してみることになりました。

コミュニケーションサイトの設計における各社の課題が浮き彫りに

30分後、各社から出揃ったホワイトボードの中から、特徴的だった2社について、その概要と土谷氏によるコメントを紹介します。

<ネクスウェイ>
ネクスウェイが展開しているコンテンツは、大きく次の3つに分類されます。
・共感を育てるコンテンツ(読み物)
・お客様の本音に触れ、“自分ごと”にしてもらうコンテンツ(事例・リサーチなど)
・商品の魅力を伝えるコンテンツ

「これらに共通する目的は、やっぱり商品を売ること。売ることが主目的になってしまっています。売った結果、お客様や世の中がどうなっていってほしいのか。その先にあるビジョンを整理して、お客様と共有するために、サイトなりFacebookなりを運営していきたい。」(ネクスウェイ 垣内氏)
「売ることとダイレクトになり過ぎていて、もっと大きな共感をつくっていくためには、大きなビジョンが必要じゃないかという話ですね。」(土谷氏)

<明治大学>
一般的な大学紹介のためのサイトリニューアルを終えたばかりで、ソーシャルへの取り組みはこれから。次のような点から、コンテンツの作り方、情報発信の仕方が難しく、試行錯誤を続けているといいます。
・大学が提供できる商品(教育、研究)がわかりにくい
・卒業生に大学のことを思い出してもらう機会がない
・ステークホルダーが多岐にわたる(受験生・高校生から、保護者、若い卒業生、年配の卒業生、一般の人まで)

「大学がどんなことをやっているのかを幅広く伝えていく上では、社会的現象や事象を専門家の立場から解説するといった手法も考えられます。」(担当者)
「受験生や高校生にダイレクトに伝えるのではなく、そこに立体的につながる人たちと関係性を築いていくことで、マーケットを広げていける可能性もあります。このような考え方はみなさんにとっても参考になるでしょう。」(土谷氏)

コミュニケーションは「物を売ること」とは切り離して考える

各社が発表を終えたところで、土谷氏は、コミュニケーションサイト設計のポイントを次のように整理しました。

「物を売るところではない」がキーワード
物を売る以外のところをどう作るかが課題。たとえコミュニケーションをする場所が物を売るところと一体になっていたとしても、コミュニティサイトとはいったい何なのか、どうあるべきかを分けて考えるべき。

共感できるビジョンが必要
物を売ることとは別の、もう一段上のレベルの大きな目的(ビジョン)を設定する。より多くの人たちの共感を得るためにはビジョンが必要。それがないと人は離れていってしまう。

新しい発見があること
コミュニティに訪れたとき、そこに新しい知が生まれる仕組みがあるかどうかが重要。5回に1回でも、10回に1回でもいい。ライクというより感動があること。

これらのポイントは、いずれも最終的にコンテンツの質につながるものです。土谷氏は、今回のワークショップを通じて最も伝えたかったこととして、「よい答えはよい問いから生まれる、と最初にお伝えしたように、問い続ける循環をつくるためには、コンテンツが大事」と強調。その問いをどうやって見つけるのか、良質のコンテンツをどうやって生み出すのかといえば、これもまた冒頭で説明のあったアンケートが重要になってきます。

そこで、本研究会の第2回(2012年1月20日)では、アンケート設計をテーマにワークショップを実施。コミュニティサイトで発信すべき情報を検討するために、誰に何を聞きたいか、そこから何を導き出したいか、そのためにはどんなアンケート項目を作ったらよいかを考えていきます。また、次回に向け、参加者には「アンケートをつくる」という宿題が出され、今回考えたWebコミュニケーション戦略を軸に、アンケートの目的や各設問を検討することになっています。

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次回セミナーのご案内

株式会社ロフトワーク

  • 開催日時 : 2012年06月07日(木) 14:30~17:30 (受付開始 14:00)
  • 場所 : 梅田 ブリーゼプラザ 805号室 大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー8階 【 地図・行き方
  • 参加費 : 無料

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