Home > セミナー・イベント > 決戦!2012年 Web戦略 ~ソーシャル、スマートフォン、CRM、そしてメディア戦略の行方~
ぼんやりと雲をつかむような話だったエンゲージメントという言葉も、すっかり浸透した感のある昨今。ロフトワークは2011年12月7日、2011年の締めくくりにふさわしく、来年のWeb戦略を展望するセミナーを開催。Webの第一線で活躍するプロの視点から、Webマーケティングが変革期を迎えた2011年を振り返りつつ、2012年を戦い抜くために企業のWeb担当者がすべきことについて考えました。
最初に主催者代表で登壇したロフトワーク諏訪光洋は、本セミナーのタイトルに自ら入れたという「決戦!」の文字に思いを込め、2012年を大きく展望。まず、「まだまだソーシャルの流れは続くと思うが、今年はエンゲージメントの年だったなと感じている」と語り、来年を勝ち抜くためのキーワードに「コンテクスト」を掲げました。
コンテクストは、前後関係や文脈、背景、状況、場面などを表す言葉。つまり、顧客との関係において、文脈を読む、空気を読む、関係性を読むといったことがますます重要になってくるということです。たとえばメルマガを例に取ると、相手にとってまったく関係のない、もしくは興味のないメールを送りつければ怒りを買うだけであり、「特にソーシャルにおいては、マイナスのエネルギーになって跳ね返ってきて、いろんな部分で足を引っ張ってしまう」と諏訪。 反対に非常によく出来た例のひとつがFacebookだとして、「あそこに飛び交っているメッセージは関係性の中で生み出されたものであり、すべてが共通ではない。表示される広告を見ても、プロフィールを細かく登録するごとに精度があがっていく仕組みがあります。今後、もっと精度の高い広告を我々にぶつけてくることは間違いないでしょう」と説明しました。
では、企業側はどのようにして文脈を読み、空気を読み、関係性をも読むべきなのでしょうか?諏訪はそのポイントに次の5つを挙げます。
さらに諏訪は、「2012年はユーザーとどう関係性を作っていくか、つまり、関係づくりが重要になってくる。この関係づくりこそがコンテクストの本質」と語り、「それぞれのユーザーにとって心地よい関係は異なります。ユーザーがどういう関係づくりを望むのか、それを我々自身がデザインしていかなければならない。言ってみれば超一流ホテルのコンシェルジュみたいなもの。そこまで踏み込める時代になってきたということでもある。だからこそ、関係づくりをきちんと戦略的に考えていくことが求められます」と総括しました。
■セッション資料
第2部では、オグルヴィ・ワン・ジャパンの川井啓亘氏が、諏訪のセッションを受けて企業のスマートフォン戦略にフォーカス。「劇的なスピードで技術が進化する一方で、情報の受け取り手も変化している。このことを踏まえてコミュニケーションを設計しなければいけない時代」と前置きした川井氏は、台頭するスマートフォンによってユーザーのエクスペリエンス(体験)が大きく変わりつつあることに言及。次のように語りました。
「ユーザーにとってはWebサイトにアクセスしているのかアプリを使っているのか、まったくわからないようなシームレスな使われ方になっていく。つまり、利用感もスマートフォン化されていくということ。加えて、スマートフォンの高性能化は著しく、PCに迫るパフォーマンスです。こうなってくると、スマートフォンの登場で起きていることをユーザーの視点から見ていくことが重要になってきます。」
この川井氏の言う「スマートフォンの登場で起きていること」のひとつに、消費行動の変化が挙げられます。たとえば、ウォルマートに行ってアマゾンで買うといった行動に見られるように、店頭購入とネット購入の融合が起きており、来店してもモノが売れるとは限りません。消費者の行動をよく観察した上で適切な対応を取らないと、時代に乗り遅れることもあり得るのです。
こうした状況下で、企業はどのようにスマートフォン対応を進めるべきなのか。まず対応方法は、シンプルに「Webサイトのスマートフォン対応」か「アプリの制作・配信」の2つ。ただし、重要なのはスマートフォンでできることや制約事項、PCとの操作性の違い、開発コストなど、その特徴を理解した上で対応することです。また、取るべき対応を見つけるために、「何を行いたいのかというゴール・目的、伝えたい対象(ターゲット)、伝える内容を明確にする必要があります」と川井氏。
さらに、「モバイルではいろんなことができるが、モバイルだけでコミュニケーションは図れません。マス広告、店頭での接触などを含め、どこが自社のビジネスの中で強化すべきポイントなのかを総合的に判断した上で対応することです」と強調。セッションを通じて伝えたかったことを次のように整理しました。
■セッション資料
第3部で、企業のソーシャルメディア活用にヒントを提供したのは、アジャイルメディア・ネットワークの上田怜史氏です。はじめに“おさらい”として、ソーシャルメディアの特徴や魅力を解説した上田氏は、「聞こえてくるのは、プラットフォームは何がいい?何を発言すればいいの?どうやったらファンが増えるの?といった悩みばかり。いかに自社のブランドや商品を話題にしてもらえるかが重要なのであって、考えるべきことはたくさんあります」と指摘。
そこで、企業が考えるべきこととして次の4つを提示しました。
また、ソーシャルメディア活用においては「“量”ではなく“質”が問われる」として、そのポイントに次の3点を挙げます。
・“どこで何を語るか”よりも、“誰にどう語ってもらうのが効果的か”を考える。
・「いいね!」やフォロワーの数ではなく、“どのくらい反応があったか”に着目する。
・発言者だけでなく、その向こう側にいる“発言をしないファン”を意識する。
上田氏は、以上を総括する形で、これからのコミュニケーションとマーケティングにおいては、「共感」「共創」「コラボレーション」の3つがカギになると説明。さらに「ソーシャルメディアによって近くなったのは企業と顧客との距離だけではありません。異業種企業間や、自治体と企業などのコミュニケーションも活性化します」と補足しました。
最後に、余談であることを前置きしつつ、「流行の言葉ばかりが独り歩きすると、先進的な事例のみがもてはやされ、みなが同じことをやり始める傾向がある。そして失敗するとやめてしまう。重要なのは、ファンでいてくれる方々が有意義だと感じるような、その企業、そのブランドに合ったやり方を模索すること」と語った上田氏。余談とは思えない、実に本質をついたアドバイスでセッションを締めくくりました。
■セッション資料
全セッション終了後は、ロフトワークの君塚美香をモデレーターに、登壇者3名によるパネルディスカッションが行われました。テーマは、企業担当者が本当にすべきこと。メディアの使い分けや、ネットとリアルの融合に話題の多くが集中。2012年を勝ち抜くための実践的なノウハウも飛び出し、密度の濃い貴重な時間となりました。
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