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~コンセプトダイアグラム再び~ アクセス解析研究会 番外編

ロフトワークがクライアント企業のWeb担当者を招き、全4回にわたり実施してきたアクセス解析研究会。そこで参加企業が取り組んだことのひとつに、「コンセプトダイアグラム」という新手法があります。ロフトワークは、この手法を学ぶ場を一般向けに用意。研究会の番外編として、2011年12月22日、ワークショップ形式のセミナーを開催しました。セミナーには、清水誠氏を講師に迎え、既存の研究会メンバーと抽選で選ばれた企業計10社が参加。即実践につながる有意義な時間となった会の様子をレポートします。

[参加企業(五十音順・敬称略)]
医療法人常仁会、エースホーム、大阪ガス、オプティア、オムロンヘルスケア、コベルコビジネスサポート、Z会、ネクスウェイ、メナード、ゆめみ

結果を分解し、改善につながる“知るべきこと”を知る

はじめにロフトワークの君塚美香が、今回の会について、「テーマはコンセプトダイアグラムを作ること。さらにダッシュボードの作り方について新しいワークも盛り込んでいる」と説明。これを補足する形で、ロフトワークのWebマスターを務める山口謙之介が、「みんな同じように悩んでいる。それなら知識を共有してお互いを高め合い、漫然と行いがちなアクセス解析を成果に結び付けましょう!」と提案。

さらに、今回の目玉であるコンセプトダイアグラムについて、「どのような経路でサイトへ流入し、サイト上の目的やゴールに到達するために、どのようなコンテンツが存在するのか。これを整理し、関係者間で共有するためのアイデアだと思う」と語る山口は、各参加者が最大限の収穫を手にして帰るよう、積極的な議論を促しました。

続いて、ワークショップを前に、講師を務める清水誠氏がコンセプトダイアグラムについて解説。清水氏はまず、「アクセス解析の目的は宝の発見でも、効果測定でも、顧客の理解でもない。成果の原因を探り、施策のヒントを得て、アクションを通じてビジネス成果を出すことです」と指摘。アクセス解析においては、予測可能であること、アクションできること、反復可能であることの3つが重要になると説明しました。

これらの課題を解決するための手法のひとつが、今回のテーマであるコンセプトダイアグラムです。そのポイントは、誰にどうなってほしいのか(目的)、そのためにどんな機能やコンテンツを提供しているのか(施策)を考えた上で、誰が何をしているのかを図解すること。「ただし、図解して考えを整理することがゴールではない」と強調する清水氏は、ここで実例を用いて3つの作成パターンを紹介しました。

●ECサイトの例
サイトマップよりもっとざっくりとしたオーバービューを描き、誰が何をしているのかをマッピングする方法。
●サイト構造のまま軸を設定した例
サイト構造を抽象化し、顧客がどうなるとゴールを達成できるのかをイメージしながら軸を設定する方法。
●コミュニティサイトの例
顧客の行動の流れを示し、そこにサイトの機能・コンテンツをマッピングする方法。

「登場人物(顧客、社員、協力会社など)をもれなく描き出し、その人たちが何をしているのか、その行為は何に関係しているのかを図解してモデル化することにより、結果としての成果(売上アップ、満足度向上、コンバージョンアップなど)を分解できるようになる。この“結果の分解”(ブレークダウン)こそが重要で、最終的なゴールの手前にあるKPIをいくつか立て、そのKPIへの影響要因を分解するとヒントが得られるようになる。つまり、アクションできるようになるということです。」

清水氏の言う“結果の分解”とは、言い換えれば“改善につながる「知るべきこと」を知ること”。そのためのステップは次のとおりです。

1.サイトのゴール達成までのフローを分解(売上、リード、ファン化など)
2.機能とコンテンツをマッピング(誰が何をするため?)
3.運用・改善業務をマッピング(誰が何のために何をしているのか)
4.影響を与える要因に分解
5.KPIとレポートをイメージ(誰が何をどのように知ると改善できるのか)

さらに重要なポイントとして、清水氏はレポーティングの設計を挙げ、「アクセス解析は社内のプロセスをデザインすること。それぞれの登場人物が数値によってパワーアップすると、全体として組織が成功し、ゴールの達成に向かっていく。そのためには必然性を作ることです。必然性を作れば各部門は自ら動けるようになり、PDCAが回っていきます」と総括。

究極のゴールは、アクセス解析を通じてノウハウのエコシステムを作り、放っておいてもどんどん良くなっていくこと。コンセプトダイアグラムは、そこへの第一歩を踏み出すためのものであり、続くワークショップでは、前半で自社のWebサイトについてコンセプトダイアグラムを作成、後半ではさらにKPIを定義し、改善アクションのプラン(誰がその数値を見たとき、どういうアクションが可能なのか)を考えてみることになりました。

ステークホルダーの目線で好感度に影響する要因をブレークダウン

各社から出揃ったホワイトボードの中から、特徴的だった2社について、その概要と清水氏によるコメントを紹介します。

新規で参加したコベルコビジネスサポートの中島氏とチームを組んでサポートしたのは、既存の研究会メンバーである大阪ガスの三上氏です。奇しくも課題を同じくする二人は、コベルコビジネスサポートのWebサイトを元にコンセプトダイアグラムを作成しました。

<コベルコビジネスサポート/大阪ガス>
現在、ページビューや滞在時間、一人当たりのページ数くらいしか整理できていないことを理由に、敢えて企業情報サイトに絞り込み、KGIを「好感度アップ」に設定。まずはステークホルダーが見たい情報という観点から、「会社からのメッセージ」「環境・社会貢献活動」「即応性」「技術力」「健全性」の5つの指標を導き出し、この指標を作り上げているものをブレークダウン。具体的な指標を洗い出しました。

「5つの指標は経営層や広報部が見るべきで、数値の変化について指摘を受けたときは、Web担当者がこれらの具体的な数値を見て回答できます。今後はこれを、登場人物(投資家、お客様、学生)ごとに特化した指標に分けられたら、もっと美しいだろうと思います。」(大阪ガス 三上氏)

「実際に好感度が上がったかどうかは、アンケートやオフラインで調査して、そことの相関関係を見ればいいでしょう。好感度アップも立派なゴールだし、このアプローチも正しい。オンラインで取れるデータとしては、この5つの指標をどれくらい満遍なく伝えきれているか、というのもひとつの指標になります。あとはGoogle Analyticsの話で言うと、“ページを見た”ときに“購入した”という扱いにしてEC機能を使って分析してしまうのもアリです。リッチなレポート機能が使えるようになるのでオススメですよ。」(清水氏)

受注数をKGIに設定し、来期に向けてコンテンツの質と量の強化に注力

アクセス解析研究会に初回から参加しているとあって、実務に即した完成度の高いコンセプトダイアグラムを披露してくれたのがネクスウェイです。

<ネクスウェイ>
今回は、登場人物をお客様に絞ってみたというネクスウェイは、KGIを「Web経由の受注数」に設定し、KGIを構成する要素を次から次へとブレークダウン。中でも4Qと来期に最も注力していきたいKPIとして、「コンテンツの量と質」を挙げました。ただ、「質を測るためにはどうしたらよいかが課題」とネクスウェイの垣内氏。続いて「検索からの流入や広告からの流入」「Web経由の問い合わせ数」の順に注目していく考えだと言います。

「これらを誰に報告するかですが、KGIは経営層ですね。受注数をKGIに置くことで、たとえば営業マン数人分を代替できるような成果が出れば、Webにあまり興味のない経営層の目も変わるでしょう。その他のKPIを見るのは、一部を除いてWebチームが中心になります。当社は初回から参加してきたので、お陰さまで4Qと来期の上期はこれでいきたい!と思えるものが出来上がりました。すでに下期に設定したいKPIも見えつつあります。」(垣内)

「一年間一緒にやってきましたが、すばらしいです。あとは、コンテンツの質のところをなんとかしたいですね。必ずしもその場でコンバージョンするわけではないので、たとえば今日10ページ見て、翌日また3ページ見てコンバージョンしたなら、13ページの中に対象ページが含まれていたかどうか、その貢献率を見るのもひとつでしょう。」(清水氏)

セッション資料 

すべての参加者がコンセプトダイアグラムの意義を実感

各社からの発表を終え、清水氏は「この短期間でここまで出来るとは正直思っていませんでした。自分で考え出した手法が意外と行けるな、ということもわかり嬉しかったですね。まだまだ伝えきれていないことも多いので、また今後の記事なども参考にされてください」と総評。

他社の事例をみんなで一緒に考えることで、新規の参加者だけでなく、既存の研究会メンバーにとっても刺激の多かった今回のワークショップ。実際にどんな気づきがあったのか、最後に参加者のアンケートからその一部を紹介します。

「アクセス解析は振り返りではなく予測の方が重要。」
「大きく広げてシンプルにレポートをまとめること、誰に見せたいかを意識することが大切。」
「今まで目をつぶっていたサイトの指標を明らかにすることができた。」
「今まで出来ていなかったWebサイトレポーティングの展望ができた気がする。」
「Webサイトをもう一度0から見直すことができ、削ったコンセプトが再浮上した。」
「自社サイトのコンセプトダイアグラムが、キャンペーン時と平常時でまったく異なることに気が付いた。」
「Webで誰にどうしてもらいたいか?という原点が大事。」

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株式会社ロフトワーク

  • 開催日時 : 2012年03月01日(木) 14:30 ~ 17:00 (受付開始 14:00)
  • 場所 : loftwork 8F 【 地図・行き方
  • 参加費 : 無料

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