Home > セミナー・イベント > NextWebセミナー第8回 まだ間に合う!2012年トレンドと企業が考えるべきWeb投資
スマートフォンとタブレット端末が爆発的にヒットし、ソーシャルメディアが浸透した2011年。昨年は、Webを活用する環境がさらに進化した年でした。ただ、変化の激しいWeb業界では、前年のトレンドがそのまま続くとは限りません。果たして2012年は何がマーケットをけん引するのか。大手SI・ITサービスベンダーの日立システムズとロフトワークは、12年のトレンドとユーザーのWeb投資事情について、複数の有識者が解説するイベント「NextWebセミナー第8回 まだ間に合う!2012年トレンドと企業が考えるべきWeb投資」を開催。Web戦略の立案・推進で課題を持つ方々向けに、2012年のWeb業界の先行きと打つべき策を提案しました。
最初に登壇したアイティメディアのITmedia エンタープライズ編集長を務める石森将文氏は、「ITmediaエンタープライズ編集部調査で考える、2012年トレンド」をテーマに講演しました。ITmedia エンタープライズの編集部が定期的に行う読者アンケート調査の結果を披露。今回は、ソーシャルメディアとモバイルという2つのテーマを取りあげ、主要な調査結果の内容を解説しました。
まず2011年5~6月に行ったソーシャルメディアの調査結果で、「TwitterとFacebookの企業利用は着実に進んでいますが、業種や企業規模によって活用状況は変わります」と指摘。「業種では、ITサービスを手がける企業は積極的に活用し、一方、製造業や建設業といった“トラディショナル”な業種は、ほかに比べて低い傾向があります。企業規模で言えば、大企業になればなるほど、利用に慎重です」と話しました。大企業が利用を控える理由は、「(情報流出などを懸念して)『顧客から利用しないで欲しいと言われている』が意外に大きく、全体の50%程度。また、『就業期間中に遊んでいるように思える』も半数を占めています」。
ITmedia エンタープライズ リサーチインタラクティブ「企業のソーシャルメディア活用に関する意識調査(有効回答数339件)」より
続けて、企業がソーシャルメディアを導入する目的に対する回答結果を分析し、「売り上げの拡大に直接結び付けようとは考えていません。多くの企業は、製品や会社の認知度向上につなげることを狙いにしており、約60%がその成果を実感しています。ソーシャルメディアを1つのメディアとして、顧客との接点づくりに活用していることがうかがえます」と説明しました。また、ソーシャルメディアのガイドラインを策定・運用しているか否かについても言及。ガイドラインがある企業は約25%、ない企業が63.1%にも達する状況を明らかにしました。
その後には、2011年10~11月に行ったモバイルに関する調査結果を解説しました。スマートフォンとタブレット端末の導入状況について、「まだ普及期には入っていません」としながらも、「非公式で使っている(私物を利用)ユーザーは20%程度に達し、今後『急速に導入する』『徐々に導入する』との回答は91.4%にものぼります。モバイル端末に対する投資を増やすという回答が40%もあり、今後導入が進むことは間違いないでしょう」と予測しました。導入意欲が高い端末のOSはAndroidが多く、「セキュリティを懸念しながらも、カスタマイズして新たな機能を追加しやすいがその理由」としています。
ITmedia エンタープライズ リサーチインタラクティブ「企業のモバイル活用に関する調査(有効回答数349件)」より
ただ、利用状況については、「スマートフォンとタブレット端末の特徴を生かした使い方がまだ少ない」と指摘しました。その見解の理由として「導入しない理由で多いのは『利用方法が分からない』。ユーザーは導入意欲はあるものの、どのような使い方をすればよいか悩んでいる部分があります」。ユーザーの大半は、グループウェアやメールといった基本的なアプリケーションの利用に終始し、「モバイル端末特有のアプリを使っているケースは稀」としました。普及のカギとしては、「ITベンダーが利用用途とその効果を明確に示せる提案をすること。そして、MDM(モバイル・デバイス・マネジメント)を活用したセキュリティソリューションで情報漏えいの不安を取り除くこと」と話しました。
石森氏は、最後に最近アクセス数を集める記事の傾向を紹介。「リーマン・ショック以降は、コスト削減関連の記事が多く読まれましたが、最近ではあまりアクセスを集めません。クラウドも一段落かな、という印象を持っています。2012年はモバイルとソーシャルメディアがやはりけん引するでしょう」と話し、今後の編集方針にも生かす姿勢を示しました。
続いて登壇したロフトワークの代表取締役である諏訪光洋は、「2012年のウェブ投資とそのバランス」と題した講演内容を話しました。冒頭、石森氏同様にソーシャルメディアについて言及し、「2009年にTwitterが普及して、2010年はFacebookが浸透した年でした。Facebookの国内ユーザー数は、昨年12月25日時点で620万人に達しています。訪問者数はmixiは超えています」と、2大ソーシャルメディアの普及を強調しました。
諏訪は、仕事でのコミュニケーションを活性化するツールとしてもソーシャルメディアが有効であることを強調。自社の利用事例を説明し、「ロフトワークは、約1万6000人の外部のクリエイターを組織し、年間4000人ほどのクリエイターとともに、月に約2000個のモバイルコンテンツをつくり、年間500個ほどのプロジェクトを動かしています。社外のパートナーと仕事する機会が多いため、効率的にコミュニケーションを取ることがカギ。ツールを活用してオンライン上でバーチャルチームを組織して蜜な連携を取っています。また社内のコミュニケーションを活性化するために、『Yammer』を使い、スタッフには全員『iPod touch』を配布して内線電話として活用しています。『Facetime』で顔が見える形で話すことで、スムーズな会話を助成でき、コミュニケーションは活性化しています」と話しました。
そのうえで、顧客のサービス向上に対してもソーシャルメディアが効果を発揮することを説明。イタリアの自動車メーカーであるフィアットグループオートモービルズが約1万7000人のユーザーコミュニティを形成して、新商品の開発に生かしたことや、大手コーヒーチェーンのスターバックスコーヒーがソーシャルメディアを活用し、ユーザーから集めた500個以上のアイデアをサービス向上に役立てたことを紹介しました。
諏訪はこうしたソーシャルメディアの活用事例をもとに、「Webが社内的も社外的にも益々重要になってきます。そのなかで、イノベーションを起こす大きな役割を担っているのは、Web担当者です。多くの経営者は、既存の広告予算やキャンペーン予算の増額にはなかなかOKを出してくれませんが、ウェブサービスの強化には関心が高く、お金を出す感覚を持っています」と話し、企業の成長には、Web担当者が果たす役割が重要であることを訴えました。
具体的な策として、「まずCMSの導入は必須。昔は、数千万円かけなければCMSの導入は不可能でしたが、今は種類が多様化し、価格もリーズナブルになりました。各企業によってWebの戦略はさまざまだとは思いますが、基盤となるCMSがなければ、すべて難しい。経営者はWebを活用した成長戦略を待っており、それを提案できるWeb担当者はチャレンジする時だと確信しています」と強調。Web担当者の果たす役割とCMSの重要性を語りました。
最後のセッションには、CMSの構築力で評価が高い日立システムズが登場。産業・流通営業統括本部第五営業本部クラウドソリューション開発営業部第二課主任の小野寺和則氏が「目的と予算で最適化する、Webプラットフォームの選び方」について講演しました。
日立システムズは、国内十数か所のデータセンターを生かしたITサービス事業とSIを得意とする日立情報システムズと、保守サービスを得意とする日立電子サービスが経営統合して2011年10月1日に生まれた企業。旧・日立情報システムズは、1996年にWebサイトや関連コンテンツの制作事業を始め、2006年には独自開発の「INTERCMS」をリリース。2008年には、グローバルで約3000社に納入した実績がある「HeartCore」の代理店になり、両CMSで10年末時点で約100サイトを構築した力を持ちます。
小野寺氏は、クラウドの登場で、情報システムの基盤(プラットフォーム)が多様化していることを説明。具体的なケースとして4種類を紹介しました。1つは、ユーザーが自社でシステムを所有・運用するオンプレミス型システム。「セキュリティレベルが高いシステムで、パフォーマンスも優れるものの、高価で利用までの時間がかかるのがデメリット」と解説。そのほかが、クラウドでIaaSとPaaS、SaaSを紹介しました。
IaaSとは、サーバーとネットワーク関連システムをネットワーク越しに提供するもので、PaaSはサーバーとネットワーク関連システムに加えて、ミドルウェアもセットにして提供するタイプ。そしてSaaSがPaaSに加えてアプリケーションソフトも一緒にネットワークを通じて提供するモデルです。
小野寺氏は、「各クラウドの特徴について、ネットワーク越しに提供するシステムやソフトウェアが多ければ多いほど、自由度はなくなりますが、導入期間は短くなり、低コストで利用できるのが特徴です」と述べました。
そして、CMSを導入する際でも、これらのプラットフォームを柔軟に選択できることを強調。「コーポレートサイトなどの基幹系はオンプレミス型システム、キャンペーンサイトなど短い期間しか開設しないが、一気に立ち上げたい場合はクラウドを使うといった選択ができると思います。日立システムズは、オンプレミス型でも各クラウドでも、ユーザーの利用用途や予算に合わせて柔軟に対応できるラインアップを持っています」と自社の優位性を訴えました。
3セッション終了後には、小野寺氏をモデレータ、石森氏、諏訪をパネラーとしたパネルディスカッションを開催しました。「Web予算の裏話」と題し、ユーザー企業のWeb予算を巡るさまざまな秘話を、メディアとWeb制作者、システム構築会社の立場から披露。参加者の関心を集めました。
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